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2025.06.02

"Oh, Good Grief!" の75周年記念盤CDを入手する

"Oh, Good Grief!" の75周年記念盤CDが届きました。

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5月4日の記事にて、今回はアルバム単位の単独リリースではあるものの、リマスターは2018年のセット版と同様のものである可能性が高く、価値的にはデリック・バング氏の新しいライナーノーツだけになるだろう、と書きました。

エンジニアのマイケル・グレイブス本人がSNSなどで説明してくれていれば話が早かったんですが、ちょっと見つからず(同名の人も多い)、色々調べた結果、再マスタリングはされていなかったと結論づけました。ということでライナーノーツに期待がかかってきますが果たして?

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その前に、このアルバムが何なのか?というところから始めます。

これは、ヴィンス・ガラルディの3枚目のピーナッツ関連のアルバムになります。先の2枚は言わずと知れた "A Boy Named Charlie Brown" と "A Charlie Brown Christmas" です。

ガラルディは長年契約していたファンタジーとの不利な契約を不服として訴訟を起こし契約解除を勝ち取りました。その後、D&Dという自主レーベルを立ち上げますがうまく行かず、1968年にワーナーブラザーズと契約して第1弾としてこのアルバムが制作されました。

先の2枚はサントラですが、本作はサントラではありません。ピーナッツのTVスペシャル用に書いた曲のセルフリメイク・アルバムです。ガラルディは「チャーリー・ブラウンのクリスマス」以降も、「チャーリー・ブラウンのオールスターズ」の"Rain, Rain Go Away"、「チャーリー・ブラウンとカボチャ大王」の"Great Pumpkin Waltz"、「恋しているんだよ、チャーリー・ブラウン」のテーマ曲、そのほかペパミント・パティ登場シーンでよく使われる"Peppermint Patty"などなど名曲を沢山作っており、これらの曲はこのアルバムに収録されたおかげで陽があたっていたのです。ファンであるワタシにとっては非常に重要なアルバムでありました。

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さて、今回のライナーノーツで得られた情報は…

・1968年4月3日、ガラルディがワーナーブラザーズと契約したことがデイリー・バラエティ紙によって報じられた

・同年4月6日、ガラルディがビッグバンドと共演、"Oh, Good Grief!" と題するピーナッツ用の曲を集めたアルバムを発表するとキャッシュ・ボックス紙が報じた(ビッグバンドについては結果的にはガセネタ)

・実はガラルディはプレス発表前の3月22日すでに同アルバムのセッションを開始していた

・"Oh, Good Grief!" は1968年5月上旬に発売され、6月29日付ビルボードのジャズLPチャートで20位にランクインし、2週間その座にいたのち圏外になった

・ギターのエディ・デュランはこのアルバムでアコギからエレキに持ち替えた、また、ドラムのカール・バーネットがガラルディと共演したのはアルバムとしては本作のみ

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3月下旬にレコーディングを開始し、4月にプレス発表、5月上旬に発売、とすごい急ピッチで進んでいたわけですが、まあ新曲を書きおろしたわけではないですから早かったんでしょうな。ガラルディは本作こそチャート的には成功しましたが、次作は当時のサンフランシスコの音楽事情にも影響された作風で大爆死、次々作では盛り返したものの契約終了となり、70年代はアルバムを1枚も作ることなく1975年に早世してしまいました。

ともかく本作は明るくていいアルバムです。エレクトリック・ハープシコードのダビングによってカラフルになっているのと、イイ感じでスイングしている曲を選んでいるというのが大きいでしょうな。しかし、エレクトリック・ハープシコードを使用せず生ピアノを最大限活かした"Rain, Rain Go Away"と"Great Pumpkin Waltz"が中々に名演・名曲だというのがまたこのアルバムの深さでもあるところです。

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因みに、マイケル・グレイブスは1968年生まれ。奇しくもこのアルバムが発売された年の生まれなんですな。

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