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2025年6月

2025.06.30

今年のピーナッツ関連の雑誌記事

一昨日に今年の出版状況について書きましたが、雑誌については抜けていました。

ワタシの認識では、「クロワッサン」と「ku:nel」という2つの雑誌で特集が組まれました。

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「クロワッサン」では、5月25日号と6月10日号の『お茶の時間』という連載ページで『なぜ私たちはスヌーピーが好きなのか』という対談企画が組まれていました。1回目が祖父江慎さんと坂崎千春さん、2回目が永井玲衣さんと西川あやのさんでした。

祖父江慎さんと坂崎千春さんの2人はワタシと同世代…というか年齢的にはワタシが2人の中間に位置しますが、ピーナツブックスを小学生の時に読み始めていたりとか、書店に回転ラックがあったことを話していたりとか、世代的に似たような体験をしていると感じました。

対して永井玲衣さんと西川あやのさんは、1990年代の生まれという若い世代です。こちらの2人も出会いは幼少時から小学生にかけてのようですが、最初に読んだのがピーナッツエッセンスだったりとか、やはり若いですね。

この2組を比べますと、前者が割と世界観やグラフィック的な部分に惹かれているのに対し、後者は共感や自己投影という精神的な部分に惹かれている、というようなところに違いが感じられます。

ワタシにはこれは単に2組の違いではなく、結構世代感が出ているんじゃないかな~と思えます。

アメリカでも当然ジェネレーションギャップはあるでしょうが、殊ピーナッツに関しては新聞を見れば毎日読めて毎年TVスペシャルの新作が観られる、といった体験はどの世代にも隔てなく共通しているでしょうから、あまりギャップは無いんじゃないかと思います。

しかし日本では、書店に行けばいくらでも立ち読みができるくらいに身近だった時代もあれば、全く本が売られていない時代もあり、また哲学書やセラピー関連書籍として売られている時代もあったりと、生まれた年代によって違った体験をしていると思うんですよね。

そうするとやっぱり世代ごとのピーナッツ観というのも違ってくるのでしょうから、そういった部分が提示されている感じがして面白かったと思います。

次に機会があれば違う世代での対談を組んでいただきたいです。

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「ku:nel」の方ですが、7月20日号(隔月誌で発売は5月)で『人生を豊かにする「言葉の力」』という特集が組まれていて、その中で香山リカさんが『ポジティブマインドなルーシーの言葉。』というのを執筆されているようです。

実はまだ読めておらず、図書館で予約していますが現在9人待ちです。地元の図書館は貸し出し期限が最大2週間ですから、読めるのはいつになることやら…。

表紙はルーシーとスヌーピーになっていますね。

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こちらは最初から「言葉の力」というのが特集テーマになっていますので、まあ仕方がないかな~と思いますが、ともかくは気長に待ちます。

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2025.06.29

解釈は人それぞれとはいえ

昨日の記事(後半)を書いたことでエンジンがかかってしまいましたので、続けてもう少し書きます。

ピーナッツと『友情』と『幸せ』についてです。

6月9日の記事ソニーフィナンシャルグループ㈱がピーナッツとライセンス契約を締結したことを書きました。ソニーFGは自社の『企業理念』と PEANUTS の世界観の一つである『日常生活にあふれる何気ないHappiness...(幸せ)」に親和性があるということ表向き謳っています。この時の記事ではやんわり書きましたが、今回は明確に書きます。『ピーナッツの世界観の一つ』と言うほどには『幸せ』は描かれてません。『友情』も然り。

ピーナッツが描いている主要なものっていうのは、勝てなくても諦めずに挑戦し続けることだったり、決して成就しない片思いだったり、ペットに愛情を注いでも報われない飼い主とか、虹を掴む男よろしく空想の中に生きる犬とか、うまくいかないことだらけの世間の辛さとか、そういったことなんじゃないですかね。『友情』や『幸せ』というのはそういう主要部分の隙間に時折挟み込まれる程度のもので、要素としては数パーセントだと思いますよ。

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こういう販促用のイラストがまた誤解を招くんだと思いますが、こんな風にキャラたちが一堂に集まって『みんなで仲良く』的なことはまず無いわけです。普段の彼らはもっと個人主義的で『幸せ』の描き方にしてももっと個人的な慎ましいものだったりするんですよね。

『友情』と言えるものもペパーミント・パティとマーシーくらいのもので、スヌーピーとウッドストック、チャーリー・ブラウンとライナス、チャーリー・ブラウンとフランクリンなどを加えても『友情』に値するのはせいぜい4組程度です。これで「ピーナッツと言えば友情」なんて言う某館長は完全に的外れなんですな。

以上、個人的見解ですし解釈は人それぞれですが、そんなに外していないと思います。

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2025.06.28

最近の出版状況についておさらい

もうすぐ今年も折り返し、ということで国内の出版状況についてまとめてみました。

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まず、2023年8月から続いている「スヌーピー・ブックス」のバラ売り(但し電子書籍)は、最新の情報を見ますと5月に60巻まで到達してます。60巻というとちょうど旧ピーナツブックスの区切りですね。1冊627円の本をこれだけ時間をかけて販売するというのはお財布には優しくていいことだとは思いますが、この刊行にどれだけの価値があるのかというのには些か疑問があります。

ハッキリ言って「ピーナッツ全集」がある今となっては中途半端な編集の本でしかないわけで、昔読んでいたけれど売ってしまった…というような人用のノスタルジックな価値しかないような気がします。アメリカでもペーパーバックの復刻版が出版されたりしていますが、あれは当時の装丁そのままだから意味があるわけで、いま行われているような復刊ドットコム版の装丁になってしまってはそれもないですよね。不思議な感じです。

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「SUNDAY SPECIAL PEANUTS SERIES」の再販は7月に9巻が発売で、もうすぐ完結ですな。これは当時の正方形っぽい判型から普通の単行本サイズに変更になっていまして、中のレイアウトも随分変わっています。

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『ためし読み』から引っ張ってきた画像ですが、個人的には2年分のサンデー版がギッチギチに詰まっている旧版よりも、このように隙間がある方が好きです。

また、完全編年体でフルカラーですから、「スヌーピー・ブックス」と違ってコレクションする価値もあると思います。ただ、ちょっと高いですね。

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その他単発ものは以下の通りです。

『心の免疫力を高めるPEANUTSシリーズ』として、第1巻「背中を押してくれるスヌーピーのことば」が3月11日、第2巻「どんな自分にもなれるスヌーピーの133面相」が7月18日に発売になります(KADOKAWA、1540円)。

香山リカ監修による「心によりそうスヌーピー 不安やモヤモヤがなくなるセルフケア」が5月26日に発売になっています(リベラル社、1540円)。

8月7日頃予定という情報で2018年に出版された「スヌーピー ともだちって、こういうこと」が文庫化されるようです。これは元は「しあわせはあったかい子犬」のような正方形っぽいハードカバーでしたが、文庫ということで中のレイアウトは変更されるんでしょう(朝日文庫、770円)。

その他にもデアゴスティーニやら付録がメインのムックやらが色々と出てまして、出版と一括りにすればまあまあ盛況という感じですかね。

惜しむらくは75周年ならではの本が無いというところでしょうか。

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ここでちょっと話題を変えまして…。

「スヌーピー ともだちって、こういうこと」について指摘させていただきますが、はっきり言ってこの本は悪書です。

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かつてはこのように大々的にディスプレイされていたこともありますが、内容はとんでもないものです。合成して有り得ないカットを作ったり、ご都合主義的に世界観を捏造しています。

たとえばこんな。

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何が『勝てばみんなで大喜び』ですか。

このカットは非常に悪質な合成です。本当はスヌーピーを担いでいるみんなの後ろでチャーリー・ブラウンがうなだれて歩いているという『ヒーローになったスヌーピーと、なり損ねたチャーリー・ブラウン』という図なのです。

何故このようなことが行われるのかは解っています。この国には『ピーナッツは友情を描いた作品』と捉えたい一定の層が存在しているんですよね。あのスヌーピーミュージアムの館長も「ピーナッツと言えば友情」みたいなことを平気で言ってますし。しかし、いざ友情を推した本を出版しようとしても、そのようなカットが非常に少ない…そりゃそうです、そういうコミックじゃないんですから。で、自分たちが作りたい方向性に合わせたカットを捏造する、ということになるわけなんですな。

このような本には復活してほしくなかったですな。これを読んでピーナッツの世界観を誤解する人が増えないことを祈ります。

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2025.06.24

スヌーピーin銀座にベルの着ぐるみ登場

あえて着ぐるみと書きます。中の人は居る!

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ベルの着ぐるみと言いますと、思い出されるのが2012年の『USJベル=スヌーピーの恋人』事件ですな。

ガセネタではあったんですが、当時の『スポーツ報知』のWEB記事にもなっていたんですよね。

どのような内容だったかのかといいますと、
1. USJにスヌーピーの女の子キャラクター「ベル」の着ぐるみが8月6日から登場する
2. エルモ、キティ、ウッドペッカーには同種の恋人がいるが、スヌーピーには犬の相棒がいなかった
3. ベルはまつげが長く、リボンをしている、スヌーピーの女きょうだい(姉か妹かは不明)で、息子がいる説もある
4. あまり知られていないキャラクターだけに、USJでは恋人のイメージで売り出す方針

といった感じで、まあ当然ファンは激怒したわけです。それでそれに対してUSJサイドは『そのような計画はない』と発表して一応終息したわけですが、ベルの着ぐるみが『スヌーピーのきょうだい』としてUSJに登場することもなかったので、やはりガセだったんでしょう。

しかし、ライセンス側もそれまで『スヌーピーとベルのウェディング人形』や『スヌーピーとベルのひな人形』など、誤解を招くような商品で散々商売をしてきたわけですから、そんな戦略をするかも?と疑われる余地はあったかもしれませんな。

因みに、この2012年というのはUSJのユニバーサル・ワンダーランドがオープンした年です。それに起因したガセだった可能性もあります。

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で、ベルの着ぐるみですが、ワタシの認識としては初登場ではないかと。今後イベント等にスヌーピーと一緒に登場するのか、はたまた件のUSJにも登場するのか、今後の展開はわかりません。果たしてどうなるのか。

個人的には、ビッグバードもとい巨大ウッドストックに本邦デビューしてもらいたいですな。

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2025.06.20

75周年イベントが銀座で開催決定

Ginza Sony Parkで75周年イベントが開催されることになりました。イベント名は「スヌーピーは、今日も語る。 – PEANUTS 75th Anniv. -」とのことです。

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日程は、2025年7月16日(水)から8月11日(月・祝)まで。料金は、前売が 一般1,300円 中学/高校生 800円、当日券が 一般1,500円 中学/高校生 1,000円、小学生以下は無料だそうです。

あそこはソニービル時代に行ったのが最後ですので、久々に行ってみようかと思います。有料ですが仕方なし。折角の周年イベントですしね。

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もちろん、宣伝されている内容が気になっていないわけではありません。オリジナルグッズや内容に関する情報はGinza Sony Parkの公式インスタグラムで随時公開されるそうですが、ワタシはインスタグラムはやっていませんのでコレは見られません。

プレスリリースによれば、『10人のゲストキュレーターが選ぶ大切にしたい言葉』からインスパイアされた作品のディスプレイというのがメインのようですね。

ゲストキュレーターの面々は、音楽家、詩人、ラッパー、クリエイティヴディレクター(?)などなど多岐に渡りますが、無形物の創作家がどのようなものを展示するのかは単純に興味があります。ただまあ『言葉』なんですよね、切り口が結局。

果たしてどのようなチョイスをするのか…。

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あと、プレスリリースにあったコレはいただけませんな。

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地下3階にあるカジュアルダイニング "1/2 (Nibun no Ichi)" のコラボメニューで、スヌーピーの『人生最大の喜びの一つはジャンクフードをガツガツ食べること!』というセリフにインスパイアされたメニューなんだそうですが、ちょっと違うんじゃないですかね。これではスヌーピーの喜びは全然共有できません(出典元のコミックを見るべし)。

おかしなメニューというのは過去にもありまして、ピーナッツカフェで『ヴァイオレットの泥パイ』にインスパイアされたメニューとかがありましたが、泥をイメージしたメニューとかよく出せるよなって思いましたよ。誰も冷静に判断できなかったんでしょうかね。

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2025.06.09

ソニーフィナンシャルグループ㈱がピーナッツとライセンス契約を締結

5月29日にでていたプレスリリースでちょっと古いんですが、ソニーフィナンシャルグループ㈱がピーナッツとライセンス契約を締結したんだそうです。

ソニー?もうしてんじゃん、という感じがしますが、ライセンシーのソニー・クリエイティブプロダクツとは別会社ですからね。現在この会社は非上場で、9月に東証に上場するにあたってブランドイメージの強化をするといった感じのようです。

プレスにはこんな図もありました。

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企業理念と PEANUTS の世界観の親和性があるということなんですが、本当に皆さんピーナッツを『幸せ』という切り口で語るのが好きですよね。まあいいですが。

今後、このソニーFGはピーナッツをどのように活用していくんでしょうか?

当然ですがノベルティ展開はするでしょう。ソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行や介護のソニー・ライフケアなど、こういったところで色々なグッズが作られていくんでしょう。契約者増には大いに貢献すると思われます。

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ピーナッツと金融業、というと真っ先に思い出されるのがメットライフですね。メットライフは商品価値が弱くなったと判断して2017年で契約を打ち切っています。そこだけを切り取ると、大手生保が切り捨てた中古品と契約するのか?という感じになりますが、当時と比べるとピーナッツは復調傾向にありますので価値はあるのかもしれません。

余談ですが、1990年代はピーナッツに対して『面白くなくなった』『もうやめた方がイイ』といった声が多く(特に海外、日本ではそんな声が出るほど読まれていなかった)、リアルタイムで読んでいたワタシとしても同感でした。メットライフはよく2017年(契約終了の決定は2016年)まで引っ張ったと思います。ピーナッツが復活した理由は皮肉ですが連載が終わったことが大きいでしょう。リアルタイムでつまらないコミックを読まされた時代が過ぎ、60~70年代の黄金期が普通に読まれるようになったことで再評価が進んだんだと思います。…本当に余談。

あと、これはメットライフ生命契約時代から気になっていたんですが、日本生命の立ち位置はどうなんだ問題です。

『ニッセイのマスコットキャラ=ピーナッツ』というわけではありませんが、USJのスヌーピースタジオに協賛していますよね。加入者には優待特典もあります。今回また同業他社がライセンシーになったわけですし、今後もこのままで行くんでしょうか。スヌーピースタジオのノベルティグッズに社名を入れることもできないので、あまりメリットが無いように思えます。USJ本体のアンバサダーでありつつピーナッツとは距離を保ってもいいんではないですかね。他社の宣伝にもなりかねませんし、余計なお世話ですが。

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関係ないですが、ディズニーが「フィニアスとファーブ」を再開させたそうです。シーズン5ということですね。アメリカでは今月から、日本では8月から放送開始のようで楽しみです。正直「マイロマーフィー」がイマイチパッとしませんでしたから、再起をかけるということなんでしょう。

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2025.06.08

ピーナッツ75周年の途中経過

今更ですが、2025年も6月に入りまして、今月が終われば上半期も終了となります。更に連載開始記念日(「スヌーピーの日」とも言うらしい…登場していないのに)まで4か月となるんですが、あまり盛り上がりは感じられませんな~。

このところの日本における周年祭は前年から翌年にかけて足掛け3年行うのが通例になっていまして、今回も2024年から仕掛けが始まっていました。NiziUがアンバサダーになったりとか。しかし…なんか地味ですよね。

まあ、自分がそういう情報に触れていないだけかもしれませんので一応調べましたが、コラボアイテムのニュースばかりですね。うーん、周年祭っていうのはこういう事なんですかね?

個人的には、サントラ盤のリリースやヴィンス・ガラルディの2枚のリイシュー盤が発売されましたので、この上半期は非常に充実していました。まあ前者は75周年とは関係ないですし、どちらも海外の動きですが。

NiziUのアンバサダーってのは今どうなっているんでしょうね?

本来アンバサダーというのものは、商品でいえばそれが好きで普段から愛用している人がなるべきものです。その人が「いかに好きなのか」ということを発信してファンに訴求するものなので、単なる広告塔とは違うんですよね。ここからして履き違えているような。やっていることはアニバーサリー・ソングを歌っているくらいで、一応専用のサイトはありますが、 コラボグッズとか、ツアー最終日にスヌーピーの着ぐるみが登場するといったニュースしかなくて、むしろ逆に利用されてしまっているような気もします。

改めて自問してみましょう。ワタシは75周年をどう祝うのか。

やはり10歳の時に出会ってから自分の人格形成に多大な影響を与えてくれたコミックが、あれから50年超、連載開始から数えれば75年という長きに渡り愛され続けているということ。そして今でも自分に影響を与え続けてくれていることへの感謝ですかね。大げさでなく、人生の大半がピーナッツですからね。

残り半分で何が起こるのか?。周年に関係なくサントラ盤は発売され続けますし、新作アニメの配信もありますし、年末には恒例の書籍の出版もあるでしょう。この辺を励みにして生きていく。そんな年になるでしょう。

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2025.06.02

"Oh, Good Grief!" の75周年記念盤CDを入手する

"Oh, Good Grief!" の75周年記念盤CDが届きました。

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5月4日の記事にて、今回はアルバム単位の単独リリースではあるものの、リマスターは2018年のセット版と同様のものである可能性が高く、価値的にはデリック・バング氏の新しいライナーノーツだけになるだろう、と書きました。

エンジニアのマイケル・グレイブス本人がSNSなどで説明してくれていれば話が早かったんですが、ちょっと見つからず(同名の人も多い)、色々調べた結果、再マスタリングはされていなかったと結論づけました。ということでライナーノーツに期待がかかってきますが果たして?

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その前に、このアルバムが何なのか?というところから始めます。

これは、ヴィンス・ガラルディの3枚目のピーナッツ関連のアルバムになります。先の2枚は言わずと知れた "A Boy Named Charlie Brown" と "A Charlie Brown Christmas" です。

ガラルディは長年契約していたファンタジーとの不利な契約を不服として訴訟を起こし契約解除を勝ち取りました。その後、D&Dという自主レーベルを立ち上げますがうまく行かず、1968年にワーナーブラザーズと契約して第1弾としてこのアルバムが制作されました。

先の2枚はサントラですが、本作はサントラではありません。ピーナッツのTVスペシャル用に書いた曲のセルフリメイク・アルバムです。ガラルディは「チャーリー・ブラウンのクリスマス」以降も、「チャーリー・ブラウンのオールスターズ」の"Rain, Rain Go Away"、「チャーリー・ブラウンとカボチャ大王」の"Great Pumpkin Waltz"、「恋しているんだよ、チャーリー・ブラウン」のテーマ曲、そのほかペパミント・パティ登場シーンでよく使われる"Peppermint Patty"などなど名曲を沢山作っており、これらの曲はこのアルバムに収録されたおかげで陽があたっていたのです。ファンであるワタシにとっては非常に重要なアルバムでありました。

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さて、今回のライナーノーツで得られた情報は…

・1968年4月3日、ガラルディがワーナーブラザーズと契約したことがデイリー・バラエティ紙によって報じられた

・同年4月6日、ガラルディがビッグバンドと共演、"Oh, Good Grief!" と題するピーナッツ用の曲を集めたアルバムを発表するとキャッシュ・ボックス紙が報じた(ビッグバンドについては結果的にはガセネタ)

・実はガラルディはプレス発表前の3月22日すでに同アルバムのセッションを開始していた

・"Oh, Good Grief!" は1968年5月上旬に発売され、6月29日付ビルボードのジャズLPチャートで20位にランクインし、2週間その座にいたのち圏外になった

・ギターのエディ・デュランはこのアルバムでアコギからエレキに持ち替えた、また、ドラムのカール・バーネットがガラルディと共演したのはアルバムとしては本作のみ

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3月下旬にレコーディングを開始し、4月にプレス発表、5月上旬に発売、とすごい急ピッチで進んでいたわけですが、まあ新曲を書きおろしたわけではないですから早かったんでしょうな。ガラルディは本作こそチャート的には成功しましたが、次作は当時のサンフランシスコの音楽事情にも影響された作風で大爆死、次々作では盛り返したものの契約終了となり、70年代はアルバムを1枚も作ることなく1975年に早世してしまいました。

ともかく本作は明るくていいアルバムです。エレクトリック・ハープシコードのダビングによってカラフルになっているのと、イイ感じでスイングしている曲を選んでいるというのが大きいでしょうな。しかし、エレクトリック・ハープシコードを使用せず生ピアノを最大限活かした"Rain, Rain Go Away"と"Great Pumpkin Waltz"が中々に名演・名曲だというのがまたこのアルバムの深さでもあるところです。

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因みに、マイケル・グレイブスは1968年生まれ。奇しくもこのアルバムが発売された年の生まれなんですな。

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2025.06.01

「スヌーピー・プレゼンツ:サマーミュージカル」のあらすじを読んで思ったこと

Apple TV+ プレスにはあらすじも載っています。

この夏は、サマーキャンプの楽しさと魔法、そして大切なものを守ることの大切さを味わいましょう。チャーリー・ブラウンはキャンプが大好きで、最後の年を特別なものにしようと決意しています。一方、キャンプ初参加のサリーは、慣れない場所に不安と戸惑いを感じています。みんながキャンプに慣れていく中、スヌーピーとウッドストックは宝の地図を見つけ、近くのワイルドな冒険へと誘います。

・・・ええ?…チャーリー・ブラウンってキャンプが大好きなの??

まあこれは考えようで、昨年の作品「キャンプスヌーピー」での経験を踏まえてということなんでしょう。ただそうすると、サリーの『キャンプ初参加』というのは矛盾になってしまいますが。そうか~、初参加か~。昨年もホームシックになるサリーを観させられましたが、今年もまた何か似たようなものを観させられるんでしょうな…。あと初参加という設定にした以上は、キャンプでナオミと再会、なんてイベントは無いんでしょうな。

最後の年、という記述がちょっと引っ掛かりますが、これは参加者が減ったためにキャンプが閉鎖されるという事らしいです。あらすじを続けます。

ある朝、ピーナッツの仲間たちは、毎年夏にキャンプ参加者が減っているため、愛するキャンプが閉鎖されることを知ります。特にチャーリー・ブラウンは、自分と仲間たちにとって大切な場所を失うことに絶望を感じ、深い悲しみに暮れます。一方、冒険の途中でスヌーピーとウッドストックは念願の宝箱を見つけますが、中身は宝物ではなく、キャンプで過去に行われた夏のコンサートの楽器と写真だったことに気づき、すぐにがっかりします。新たなインスピレーションを得たチャーリー・ブラウンとピーナッツの仲間たちは、その宝物を使ってキャンプを救うため、自分たちでコンサートを開催します。

ここまでストーリーをオープンにして大丈夫なんでしょうか。何だかどういう内容になるのか大方解ってしまったような…。音楽で勝負ってことでしょうかね?

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因みに、シュルツさん本人は実はサマーキャンプに参加したことはなくて、これは自らの従軍経験のメタファーなんです。ですので、必然的に楽しい対象としては描かれていないわけです。生きていたら何と思われるか…。

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