とっておき「スヌーピー」と、翻訳について
かつてワタシはピーナッツ・コレクターとしてすべての書籍(和書)を集めてやろうと意気込んでいましたが、2019年にそれをやめました。
ピーナッツ全集刊行の決定、質の高くないリイシュー本の氾濫、他人が描いた絵本(「スヌーピーを探せ!」など)まで買うのか?、といったことを総合的に考えて、60冊ほどのコレクションを手放しました。以来、基本的にはリイシュー本は買わないようにしています。
手放した本の中に『とっておき「スヌーピー」』もありました。これは産経新聞に連載していた「ひもとくスヌーピーの50年」の書籍化で、この連載を読むためにワタシは購読紙を変えたもんです。図書館に蔵書しているのを見つけたのでちょっと借りてみました。
この本はフルカラーでパッと見はいい本に見えます。ただ、コラムと英語のワンポイントレッスンがちょっとうざいんですよね(連載時から思ってました)。
これは一例ですが、まずこのストリップについてワタシはとても好きです。好きなんですが、コラムには読めばわかるようなことしか書いてなくてはっきり言って邪魔です。また、英語のワンポイントですが、「あなたは私の〇〇を台無しにしました」なんて構文を日常的に使いますかね。日本人同士でもこんな会話はしませんよ。そんな感じでもやもやするのでした。
この叢書は7~8巻は刊行されていたような。まさか復刊希望とかされてないよな?と思い、復刊ドットコムのサイトを確認しましたが流石にありませんでした。実は意外とマイナーな存在だったりとか?
・・・・・・
ついでにピーナッツ関連書籍のリクエスト状況なんぞも見てみましたが、「スヌーピー全集」とか一度復刻されたことがあるものでもリクエストが集まっているんですね。コメントを見ますと「全集でもう一度読みたいです」というのもあり、う~ん、全集とは名ばかりなんだけどな~と思ったり…。
同サイトのショッピングのページに「ピーナッツ・エッセンス」がありました。
この叢書については過去に何度か書いていますが、非常に雑な編集でワタシとしては悪書という評価です。これを買うんでしたら他のリイシュー本にしてほしいくらいの、それほどの本です。リクエストした人は読んだことが無いから判らないんでしょうな。
しかしサイトの謳い文句では、『スヌーピーコミックのイチオシがギュッと詰まった傑作選!』『時代とともに変わっていくスヌーピーたちの姿が見られます』と美辞麗句が並んでいます。傑作選と思えるようなチョイスがされているとは思いませんね。せめて、年代順に並べ直していれば『時代とともに変わっていく』様子もわかり価値のある本になっていたと思います。
言ってもしょうがないことですが。もう一つ注目したいポイントはこれですね。
この『読みやすい日本語訳文の吹き出し』というところ。逆に吹き出しが英語だと読みにくいということを出版社側が認めてしまっているということなんですよね。
『日本語でピーナッツを読みたい』と思っている人たちは、『吹き出しの中の書き文字も含めてシュルツさんの作品である』と信望している謎の勢力によって『読みにくい』コミックを強制されているんですよ。この謎の勢力は読みにくいことを承知で押し付けているんですから悪質です。謎の勢力なんて書くと陰謀論者みたいで良くないかもしれませんが、出版界にはそういう人が多分いるんでしょう。
日本以外でシュルツさんの手書きの書き文字が重要視されていないのは諸外国の書籍を調べればわかります。どの国もそんな事よりも『漫画としての読みやすさ』の方が大事なんですよね。読みにくいと読者から敬遠されて売れないというビジネスの側面もあるでしょうが、それが当たり前なんです。
もしくは、吹き出しが英語でないと読者に受け入れられないとか思っていたりとか?。でもそれって思い込みかもしれませんよ。
今、日本人の英語力は非英語圏内でも92位で、まだ下がり傾向にあるというデータもあります。ほとんどの日本人は英語が読めないはずです。本当に『読みづらい本』が求められているんでしょうか。英語の勉強に~とか言うかもしれませんが、それにしても吹き出しが英語であることが正しいという説明にはなりません。そもそも新聞四コマの吹き出しの英語って全部大文字じゃないですか。それで英語の勉強ですか?
かつての朝日新聞社刊の「ブロンディ」や鶴書房の「ピーナツブックス」は、欄外に活字で印字された英文について、その正確さがアメリカのライセンサーから高く評価されていました。日本語吹き出しイコール原語をないがしろにすることではないというところに立ち返ってもいいんじゃないでしょうかね。コトは手書きの書き文字への妄信から始まっていることだと思いますので、まずはここから脱却されることを願っています。
| 固定リンク
コメント