ピーナッツのアニメとワーナー・ホームビデオ
私的50周年回顧ネタ。
日本で初めてピーナッツのアニメが放送されたのは1971年12月25日。作品はもちろん「チャーリー・ブラウンのクリスマス」でした。
当時のチャーリー・ブラウンの吹き替えは、ワタシに多大な影響を残した谷啓さんでした。
…などともっともらしく書いてますが、この作品を初めて観たのは1978年の東京12チャンネル(現在のテレビ東京)での再放送でした。
それはそれとして、以降テレビや映画やビデオ、DVDといった様々な媒体でピーナッツのアニメは展開されてきましたが、都度吹き替えがリブートされ、チャーリー・ブラウンの声も大人の男性だったり大人の女性だったり、はたまた子供だったりと全然統一感がありませんでした。
アメリカでは初代チャーリー・ブラウンのピーター・ロビンスに似た声の子供をキャスティングし続けた結果、声のイメージというものが確立されていますが、日本ではとても曖昧なものになってしまっていますね。
そんな状況を打破してくれるかも?と期待を抱かせてくれたのがワーナー・ホームビデオでした。
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シュルツさんの死後、2000年代もピーナッツの新作アニメは作られていましたが、当時DVDをリリースしていたパラマウントは日本でのDVD発売を全くしていませんでした。いや、ピーナッツっていえばキラー・コンテンツでしょ?なんで発売しないの??とずっと思っていましたが、2007年に販売権がワーナー・ホームビデオに移ったことにより、国内発売に光が差してきたのでした。
ワーナー・ホームビデオから発売されたDVDは、各巻ボーナス映像としてメイキングが収録されていたりして、相当気合が入っている印象でした(当初は輸入盤を買ってました)。
結果、70年代までの作品はすべて日本でも発売されましたが、ワタシが期待していた声優の統一は残念なことに果たされませんでした。
日本初上陸の作品こそ新規に吹き替え版を製作していましたが、そうでないものはポニーキャニオンのビデオ版またはNHK衛星第2で使用された音声を使いまわしていたのでした。
一つのメーカーから発売されているシリーズなのに、吹き替えは3バージョン混合ということになってしまったのでした。
新規吹き替えの声優は結構良かったので返す返す残念です。何故、変なところでケチっちゃったんでしょうかね。
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当初気合が入っていたワーナー・ホームビデオも、その後徐々に力が抜けていってしまいました。
見応えのあったメイキング映像は収録されなくなり、売りの一つだったデジタル・リマスターもされなくなり…そして遂に決定的なことが起こります。
2012年、それまでアメリカと日本とで常に同一タイトルが発売されていましたが、"Lucy Must Be Traded, Charlie Brown"の日本盤が発売が見送られるという事態が発生しました。
理由は明らかです。"Lucy Must Be Traded, Charlie Brown"は発売されれば日本初上陸だった作品なので、発売するためには新規に吹き替えをしなければならず、ワーナー・ホームビデオはそれをケチったんですね。
2014年に2枚組DVDで発売された全8話収録の「スヌーピーと学ぼう!アメリカの歴史」は吹き替え音声無しの字幕版として発売されました。「英語の勉強に最適」などと謳っていましたが、録音をケチっただけです。
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何故このような悲しいことになってしまったんでしょうか。
やはり売れなかったんでしょうね。売れなかったので吹き替え音声を作るという金のかかることをしたくなかったんだと思いますが、まだ売れるか売れないかが確定する以前のリリース最初から音声の使いまわしなどをしていたので、元々本気度は高くなかったんでしょうな。
売れなかった原因の一つは、宣伝でしょう。
公式サイトでも全然告知していませんでしたし。グッズなどの宣伝はバンバンするのに書籍やアニメにはとてもクールですよね、公式って。
しかし悪いのは公式だけでないようです。
これは当時のワーナー・ホームビデオのサイトの画像ですが、公式サイト欄がありながらも空欄になっています。
公式も宣伝しなければワーナーも公式と協力する意思なしという感じで、これでは駄目ですよね。
そして2018年、ワーナー・ホームビデオのサイトからピーナッツの一切の情報が消えました。恐らくここで廃盤になったんでしょう。
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ワーナー・ホームビデオは私の夢を打ち砕きましたが、Apple TV+はそれを成就させてくれました。
もう苦節何年でしょうか。Appleさんには感謝しかないです。
さようならワーナー・ホームビデオ。ありがとうApple。
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