カテゴリー「ピーナッツ・書籍」の480件の記事

2024.11.01

2024年度故人長者番付でシュルツさん8位!

今年もフォーブス誌が故人長者番付を発表しました。

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【前置き】

この故人長者番付のカウントは偶然にもシュルツさんの死の翌年の2001年から始まっておりまして、開始以来シュルツさんはずっと常連であり続けています。

シュルツさんは2009年に6位になったのを除けば2021年までずっと5位までに入っていました。金額は大体2000~4000万ドルをキープしています。

2022年は一気に10位までランクを下げました。これは2021年に4000万ドルあった収入が2400万ドルまで減額したことと、1億ドル稼いだ故人が5人もいたことが影響していました。シュルツさんやドクター・スース、エルヴィス・プレスリー、マイケル・ジャクソンといった面々は皆安定して稼いでいますが、突然ビッグネームが死去したり資産が売却されたりすると単年だけ上位に入ったりします。2021年はそういう当たり年だったわけです。

2023年になりますと、シュルツさんは3000万ドルまで持ち直し、再び5位まで浮上しました。この年はマイケルとスースが1億円以上の収入で、ドアーズのレイ・マンザレクが資産の売却で3位に入ったりしていました。そんな中で健闘したと言えましょう。

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さて、今年の結果ですが、シュルツさんは昨年と同じく3000万ドルの収入でしたが、順位は8位となりました。1億円以上稼いだのは去年と同じく2人で、シュルツさんは地味に順位を下げたという感じですね。

順位は以下のようになっています。

1位:マイケル・ジャクソン(6億ドル)
2位:フレディ・マーキュリー(2.5億ドル)
3位:ドクター・スース(7500万ドル)
4位:エルヴィス・プレスリー(5000万ドル)
5位:リック・オケイセック(4500万ドル)
6位:プリンス(3500万ドル)
7位:ボブ・マーリー(3400万ドル)
8位:チャールズ・シュルツ(3000万ドル)
9位:マシュー・ペリー(1800万ドル)
10位:ジョン・レノン(1700万ドル)

ワタシはこの長者番付をずっと追いかけていますが、2008年までは1億ドル稼ぐ故人はいませんでした。2009年にイブ・サン=ローランが突然3.3憶ドル稼いだのを皮切りに2010年からはマイケル・ジャクソンが黄金時代を築きます。1億円以上稼ぐ個人が毎年複数人いるのも珍しくなくなって、一体この界隈はどうなっているんだろう?と思わざるを得ませんな。

しかし気になる人が何人かいますな。

リック・オケイセック!好きでしたよ、カーズ。カーズってこんなに売れていたんですな~。感慨深いです。もう一人のシンガー/ライターのベンジャミン・オールも好きでしたが、やはりヒット曲を作曲しているというのは強いんですな。

そして、マシュー・ペリー。著作権料で稼いでいる人が主流であるこの長者番付において、彼のようなテレビ俳優がランクインするというのはとても珍しいことだと思います。テレビドラマ「フレンズ」がヒットし、回顧録がまたヒットしたということでここまで稼いでいるのはすごいことです。

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まあ順位は下がりましたが、20年以上にわたって安定した収入を誇るシュルツさんというのは、やはり中々に偉大な人なんだなあ…と思います。数年後に映画がまた公開される予定ですが、その時はまたきっと増収となり順位も上がることでしょう。

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2024.10.25

2024年最新版「ピーナッツ」のキャラクター人気ランキングTOP16

10月6日から10月13日にかけて、ねとらぼでは「あなたが一番好きな『ピーナッツ』のキャラは?」というアンケートを実施していました。有効回答数は782票ということでとても少ないですが、とりあえず結果を見てみましょう。

1位:スヌーピー
2位:ウッドストック
3位:チャーリー・ブラウン
4位:ライナス
5位:オラフ
6位:アンディ
7位:ペパミント・パティ
8位:シュローダー
9位:ルーシー
10位:サリー
11位:ベル
12位:マーシー
13位:スパイク
14位:ピッグペン
15位:マーブルス
16位:フランクリン

まあ日本でやったらこんなもんでしょうな。1位スヌーピーと2位ウッドストックはやらなくてもわかるので無駄というかなんというか。

しかし、スヌーピーのきょうだい6匹が全員入ってますよ。どうなんでしょうね、これ。海外の人に見られたくないランキングですな。

どの本かは忘れましたが『日本ではオラフが大人気だ』みたいなことを皮肉っぽく書かれていましたが、要するに有り得ないってことですよ。スパイクは別格として、それ以外の4匹なんて人間キャラに置き換えたらイイところチボーとかナオミとかのレベルでしょう。マーブルスは1回こっきりのキャラだからチボーの方がまだマシだ。

まあでも今回はチャーリー・ブラウンが3位でよかった。ねとらぼは2021年にも同じ企画をやっていまして、その時チャーリー・ブラウンはオラフに敗れて4位でした。これは衝撃でしたね。そういえばあの時は有効回答数は1562票でした。ずいぶん減りましたね。

参考までに、代表的な漫画サイトComic Book Resourcesの2022年の"10 Best Peanuts Characters, Ranked"のランキングを引用してみます。

1位:スヌーピー
2位:チャーリー・ブラウン
3位:ルーシー
4位:ライナス
5位:ウッドストック
6位:サリー
7位:ペパミント・パティ
8位:マーシー
9位:シュローダー
10位:ピッグペン

やっぱりキャラ立ちしているキャラが上位に来ますよね。ルーシーとライナスがウッドストックよりも上というのも順当ではないでしょうか。

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2024.10.02

ピーナッツ連載開始74周年

本日10月2日はピーナッツ連載開始記念日です。

で、なにやら「スヌーピーの日」にもなっているようで…。Xではやたらと「スヌーピの日」として呟かれていまして、逆に連載開始記念日というのはほぼ皆無です。

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一般に「スヌーピーの日」というのは8月10日の事です。まず2011年にソニークリエイティヴ・プロダクツがこの日をスヌーピーの誕生日として制定し、2015年に20世紀FOXが映画「アイ・ラブ・スヌーピー」の宣伝のために「スヌーピーの日」にしたのです。

この日は一応、一般社団法人日本記念日にも認定されている公式な記念日です。

しかし、10月2日が「スヌーピーの日」というのは日本記念日協会のサイトでは確認できません。

誰かが勝手に言ってるんでしょうか?

10月2日はピーナッツ連載開始記念日であって、スヌーピーが初登場した日でもなんでもありません。そもそもが変なんですよね、コレ。

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それはそれとして、記念日オメデトウ!

来年は75周年ですし、何かいいことがあるといいですな(漫画的に、音楽的に、アニメ的に)。

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2024.09.26

ピーナッツのコミックとの再会:その8

私的50周年回顧ネタ。

前回(ピーナッツのコミックとの再会:その7)、『日本の出版社には不信感を持ってしまっています』と書きましたが、中には情熱を持った編集者もいらっしゃいます。

2011年、それまでピーナッツ関連書籍を扱ってこなかった太田出版から2冊の書籍が刊行されました。

10月18日発売の「スヌーピー&暗い嵐の夜だった」と、翌2012年4月20日発売の「君にリンゴの果樹園を約束したおぼえはないね」です。

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この2冊は「ピーナッツ全集別巻」に所収されていますので内容をご存じの方は多いと思いますが、傑作です。当時アメリカでは絶版となっており、日本でもほとんど知られていないものでした。

そしてこの2冊の書籍の出版にあたった編集者が、正真正銘の長年のピーナッツ・ファンだったのでした。

ワタシはこの方とはメールで直接やり取りをしていたので知っていたのですが、この方は出版にあたって版下を作るため自身の蔵書を泣く泣くバラバラにし、谷川俊太郎氏に翻訳とコメントを依頼し、更にジーン・シュルツのコメントも取り付けたのでした。正にファンとして編集者としての情熱の賜物だったのです。

内容は前半が原書のままで後半が翻訳版という作りになっていました。この構成も考え抜かれていて良かったと思いました。谷川俊太郎とジーン・シュルツのコメントも中々いい内容になっており、書籍の完成度を一段と高めていました。

そしてハヤカワ・ミステリを彷彿させるビニールカヴァーもまたいい味を出していました。2冊とも『小説家スヌーピー』をテーマにしたものだったので敢えてこのようにしたのだと思われます。拘り抜かれていましたね。

ワタシはこの本だけは本当に売れて欲しいと願いました。

しかし当時、拙ブログも拙サイトも落ちぶれていました。宣伝できるようなコミュニティもありませんでした。売り上げに貢献したかったのですが、そんな自惚れたことは考えられませんでした。公式サイトで大々的に宣伝してくれればよかったんですがそれもなく。公式サイトに掲示板があった頃が思い出し、あれば書いたのにな~と残念に思いました。

結果的にこれらの売り上げがどうだったのかはわかりません。果たして多くのピーナッツ・ファンに届いたのかどうか…。

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2024.09.25

年末恒例!河出書房新社のピーナッツ関連書籍情報

今年も河出書房新社がピーナッツ関連の書籍を刊行します。

今回は2冊同時発売で、「しあわせはあったかい子犬」と「クリスマスはいっしょの時間」です。発売日は11月22日予定、予価1540円(税込)。

これらは下の画像のものの出し直しだと思います。

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としますと、価格的にあまり魅力的でない感じですな。悩ましい。

強いて言えば、サイズがA5変型判らしいので今持っているものより大きいというところが購入するか否かのポイントになるかと思います。

ひょっとして今年は買わない選択肢もありえますが、河出書房新社さんには今後も頑張っていただきたいと思います。

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2024.09.20

ピーナッツのコミックとの再会:その7

私的50周年回顧ネタ。

1995年から講談社が参入して編集本や心理分析本を出版したことにより、ピーナッツは漫画の枠を超えて変な解釈をされるようになりました。

アマゾンのレビューなどで「ピーナッツは心理学に使われるほど深い漫画なんだ」などというのが書かれているのを見て複雑な気持ちになったものです。そういう扱われ方をして嬉しいタイプのファンもいたんでしょうが…

それでも本家角川書店の「A Peanuts Book featuring Snoopy(以下「featuring Snoopy」)」はコツコツと新作のストリップを掲載した新刊を刊行し続けていました。

この頃目立ってきたのはリランです。野外活動が活発になり、やがて幼稚園に通いだして隣の女の子とのやり取りが定番化していきます。キャンプでは2年連続で新キャラが出てきたりしましたが、彼らは名前(コーマック、イーサン)があるのに隣の女の子は名前が付けられませんでした。名前の有無は重要で、コーマックとイーサンは登場人物としてカウントされますが隣の女の子は違います。どちらが重要なキャラなのかは一目瞭然ですがね。

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1998年、「featuring Snoopy」 に異変が起こりました。

1998年12月、「featuring Snoopy」の20巻が発売になりましたが、この巻には「これからどうするの?」というタイトルが付き、装丁の雰囲気が変わりました。

以降、21巻「ボクは心配してないよ」、22巻「ここで何してるの?」、23巻「どうすりゃいいんだい?」、24巻「今日何したの?」、25巻「 どうして知ってるの?」、26巻「ぼくはどこへも行かないよ」と最後まで変なタイトルが付きました。

これの何が嫌なのかと言いますと、悪しき講談社商法に完全に引っ張られていたからです。

例えば、「スヌーピーのもっと気楽に」は、1巻「なるようになるさ」、2巻「のんびりがいい」、3巻「ひとりのとき」、4巻「自分らしく」、5巻「好きになったら」、「ピーナッツ・エッセンス」は巻数が多いので割愛しますが、「どうなってるの?」、「もっともっと」、「ほっとひと息」、「いいことがある」、「その調子で」、などなど。テイストが完全に一緒です。

特に26巻の「ぼくはどこへも行かないよ」は、シュルツさんは去ってもキャラたちは不滅だ、みたいなメッセージ性が感じられて嫌でした。

これはおそらく「featuring Snoopy」の売り上げが芳しくなく、商業的に成功していた講談社の書籍に雰囲気を寄せたのではないか、と思いました。本家が寄せてくるほどにピーナッツのイメージはそっちへ行ってしまっていたのでした。

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2000年、講談社は更に「スヌーピーたちのやさしい関係」全5巻を文庫で刊行します。

これは「SNOOPYのもっと気楽に」と同様に刊行中の「featuring Snoopy」の抄本になっていました。「SNOOPYのもっと気楽に」 との違いは、今回は90年代を中心にチョイスされているところでしょうか。

しかし、編集はより粗くなった感じがしました。例えば、ルーシーがペパミント・パティのチームにトレードに出されるエピソードがありますが、事の顛末を全く無視してルーシーとペパミント・パティがピッチャーズマウンドで会話をしている話がポンと1本だけ放り込まれていたりします。これは角川版を読んでいない読者は混乱したんじゃないでしょうか(それとも誰がどこのチーム所属とか気にしていない?)。

河合隼雄の解説もどんどん頓珍漢になってきました。ぺパミント・パティのその場凌ぎの言い訳を感受性が細かいと評してしまったり、電話をかけるのはいつもぺパミント・パティでチャーリー・ブラウンからはかけないことに問題があるかのように評してしまったり。

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このあとも産經新聞社が新聞連載を纏めた「とっておきスヌーピー」を刊行したり、祥伝社が編集本を刊行したりと色々ありました。

「とっておきスヌーピー」は話になりませんでした。連載「ひもとくスヌーピーの50年」を読むために産經新聞を購読しましたが、一口コラムが毎回浅い内容ばかりで閉口しました。一度ライナスとリランを間違えたこともありましたね。

祥伝社の本はタイトルが全て『これは癒されたいときに読む本ですよ』と主張していて残念でしたが、あとがきがいつも豪華でそのために買っていたといっても過言ではありません。編集は香山リカ編集の巻だけ面白かったですが、それ以外は年代でくくったベストという感じでした。その捻りの無さが逆に良いと思わせることもありましたが。

2015年には「SNOOPY COMIC SELECTION」という10年単位のベストが文庫本で5巻発売になりましたが、10年で1冊というのは無理があり過ぎで、案の定中途半端な内容でした。これでは続き物は絶対に収録できません。

ワタシはピーナッツとの最初の出会いで所謂ターンアバウトダンスのエピソードに触れて以来、醍醐味は連続物にこそあると思ってきました。これは昨今のワンフレーズを抜き出して有り難がる風潮とは全く相容れないもので、出版社がこの風潮を辞めない限りワタシが面白いと思う編集本は現れないだろうと思います。あくまでワタシが、ですが。

ともかく、ピーナッツは深い、哲学だ、癒される、という売り方ばかりをする日本の出版社には不信感を持ってしまっています。

「ピーナッツ全集」が刊行されたことがワタシには救いになりました。

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2024.09.19

ピーナッツのコミックとの再会:その6

私的50周年回顧ネタ。

今回は1996年から1998年にかけて出版された本についてまとめます。

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1996年から1997年にかけて、講談社は「スヌーピーのもっと気楽に」「ピーナッツ・エッセンス」に続き、「SNOOPYののんきが一番」全7巻を刊行しました。これは、角川書店が過去に刊行した「スヌーピー全集」を編集したもの、つまり70年代のサンデー版の傑作選といったものでした。

まあ70年代のサンデー版ですから内容的に悪いものではありませんが、1971年から1980年までのサンデー版がごちゃ混ぜに登場するのはちょっとどうなのかな、とは思いました。

当時ワタシは暇人なのか各年のストリップがどれだけ収録されているのかを集計していました。そのときの記録がまだ残っていて、ちょっと確認してみましたが、最も少ない年が1980年の43片で最も多いのが1979年の49片でした。平均値で46~46片が収録されており、これでしたら普通に「スヌーピー全集」を文庫化すればよかったんではないか、と思ったものです。

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講談社の文庫本が好調なのを意識してか、本家角川書店も文庫本を刊行しました。1996年の「スヌーピーの初恋物語」全3巻と、1998年の「SNOOPYのちいさな恋人たち」 全1巻がそれです。

これらもお世辞にもいい本とは言えませんが、「恋」というワンテーマに絞った編集と長編も選んで載せている点で、講談社よりも遥かに高く評価しています。初心者に勧めるのならばコレだろうと今でも思っています。

角川書店はそのほか1996年から1997年にかけて角川MINI文庫からミニサイズの「SNOOPYの○○恋物語」全3巻を出しました。ページ数は少ないですが、これはこれで安くて読みやすかったと思いました。同叢書ではスヌーピーの料理本も出ていました。

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1997年、今度は集英社が「スヌーピー・ブックス」という紛らわしいタイトルの本を出しました。全20巻で初めに16巻が一気に刊行され、1999年に4巻が追加で発売されたと記憶しています。

これはグリーティング用の洋書を翻訳したもので、パルコ出版の「スヌーピーはゴルフに夢中」と同様に谷川俊太郎以外の訳者が起用されていますが、今回は何とさくらももこでした。さくらももこの英語力が如何程かはわかりませんが、ひょっとしたら土台となる翻訳があってダイアローグライター的な仕事をしただけかもしれません。まあ真相はわかりません。

ワタシは地元の本屋で16冊を一気買いしました。レジに持って行ったとき、レジ係の女性に「プレゼント用ですか?」と訊かれたので、「いいえ、自分用です」と思わず強く返してしまいました。

この本は1回しか読みませんでした。ハードカバーで紙が固く、とても読みにくい本でした。グリーティング用の本ですので、読みやすさはあまり考えていなかったのかもしれません。

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講談社は1998年に講談社SOPHIA BOOKSという叢書から「スヌーピーたちの心の相談室」全3巻を刊行しました(のちに講談社+α文庫で文庫化)。岩宮恵子という心理学者が文を書いています。

講談社は1995年からの3年間でピーナッツに『読むと癒される』といったイメージを固定させ商業的に成功しましたが、これはタイトルからしてその集大成といった感じがしました。買いはしたものの嫌悪感の方が強く中々読む気がしませんでしたが、いざ読んでみると講談社にもかかわらず、まだ角川書店も出版していない1990年代のサンデー版を網羅していて驚いたものです。つまり、この本で初めて読むことができたストリップが多数あったわけです。

ただ、やはり本のコンセプトなので仕方が無いですが挿入される解説が多すぎて、「黙って読ませてくれ」と言いたくなりました。ここは残念でした。

谷川俊太郎はルーシーの『精神分析スタンド』を後年『心の相談室』にすべて修正してしまいましたが、もしそれがこの本の影響だとしたら迷惑な話です。

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2024.09.18

ピーナッツのコミックとの再会:その5

私的50周年回顧ネタ。

1996年、講談社から待望の「ピーナッツ・エッセンス」が刊行開始されました。

果たしてその出来栄えは?

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この「ピーナッツ・エッセンス」、腰巻には“初めての傑作選!!”と書いてありました。厳密にはかつて鶴書房が「スヌーピー名作選」全6巻を刊行していますので、これは間違いです。そして同時に「SNOOPYのもっと気楽に」が傑作選では無いということになりました。まあそれは些末なことで大した問題ではありません。

問題はその内容です。

はっきり言って、これが傑作選といえるのか?といったものになっていました。

ちょうど先の「SNOOPYのもっと気楽に」で新規のファンを獲得したタイミングです。そういうファンに読んでもらい更にピーナッツを好きになってもらうためにエピソードを厳選し、ピーナツブックスの欠点である年代順になっていないところを正し、主要人物の初登場エピソードなどもちゃんと年代順に並べ直し、この15冊でピーナッツの面白さが完璧に伝わるように編集するべきでした。そしてそれは15巻もあるのですから十分可能だったはずです。長編の名作エピソードを収録することも可能だったでしょう。

しかし、実際出来あがったものはピーナツブックスを1巻から順にストリップを適当に間引いて収録したような感じで、ワタシが望んだような丁寧な編集はされていませんでした。これではとてもピーナッツの面白さが伝わりません。講談社はファンを拡大できる絶好のチャンスを潰してしまったのでした。

ワタシは思いました。もし自分が編集していたのならば、と。もし『ピーナツブックス86巻を15冊に編集しろ』と言われたら、ワタシは喜んでそれをやります。そして確実に面白い本を作ります。たとえ無償でも。それなのに…講談社の編集者を恨んだものです。

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「ピーナッツ・エッセンス」は復刊ドットコムで復刻され、今では電子書籍でも買うことができます。復刊リスエストをした人たちは、これがどんなに醜い本なのか知らないでしょうから仕方がありませんが、「スヌーピーブックス」86巻が復刻され「ピーナッツ全集」が完結している今、「ピーナッツ・エッセンス」には高額な代金を支払ってまで読む価値は全くありません。

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講談社の快進撃はこの後も続き、ピーナッツはどんどんあらぬ方向へ向かっていくのでした。

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2024.09.17

ピーナッツのコミックとの再会:その4

私的50周年回顧ネタ。

ピーナッツのコミック本は長らく鶴書房~角川書店の独占で刊行されてきました。稀に「スヌーピーはゴルフに夢中」のパルコ出版などの参入といった例はありましたが、それはあくまで単発のことでした。

しかし1995年、ここに突然講談社が乗り込んできました。

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1995年から翌年にかけて「SNOOPYのもっと気楽に」という文庫本シリーズを全5巻が講談社から刊行されました。

これには驚きました。

1995年当時には読むことができなくなっている1986年8月以前のストリップを収録しているのならまだわかりますが、逆に刊行中の「A Peanuts Book featuring Snoopy(以下「featuring Snoopy」)」からストリップがチョイスされており、実質的に「featuring Snoopy」の抄本になっていたのです。一体どのような契約になっていたのでしょうか?

また、この「SNOOPYのもっと気楽に」の腰巻には “スヌーピーと仲間たちに出会えば、どんなときでも、気が軽くなる、元気が出てくる!” と書かれており、これは今日まで続く『ピーナッツ=癒し、哲学、自己啓発』という売り方の走りとなるものでした。

因みに、「SNOOPYのもっと気楽に」は一般の講談社文庫ではなく『講談社+α文庫』という叢書から出されていました。この叢書は、「生き方」「ことば」「生活情報」「エンターテイメント」「歴史」「事典・辞典」「心理・宗教」「ビジネス・ノンフィクション」といった所謂小説ではないものを取り扱うためのもので1993年にスタートしていました。

この叢書がピーナッツを「生き方」や「心理」という切り口で扱おうとしたきっかけは、1995年に新潮社から刊行されたエイブラハム・J・ツワルスキーの「いいことから始めよう」ではないかと思っています。

ツワルスキーは、アメリカでピーナッツを題材にした心理分析で有名になっており、「いいことから始めよう」はその彼の考えを本にまとめたものでした。

最初の1冊こそ新潮社でしたが、ツワルスキーの著書は以降は講談社が出版するようになり、「スヌーピーたちの性格心理分析」という日本向けに書き下ろされたものを含め2000年までに6冊のピーナッツ心理分析本を刊行しました。

「SNOOPYのもっと気楽に」にはツワルスキーは登場しませんでしたが影響を受けていたのは明らかです。心理学者の河合隼雄が解説を買うなど箔付け(?)も完璧でした。

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ワタシはこの本の情報をどこで仕入れたのか記憶がありません。恐らく書店の店頭で平積みされているのを見て知ったのだと思います。

前年の1994年、姉妹社の廃業により絶版となっていた長谷川町子の「サザエさん」が朝日文庫から刊行され始め話題になっていました。それもあり、この刊行については『サザエさんの次はスヌーピーか』などと囁かれたりしていました。新聞四コマ繋がり、ということもあったと思いますが、かつて人気だったものが文庫化されて話題になるという意味合いもあったと思います。これは「featuring Snoopy」の存在があまり認識されていないことと、やはり文庫は強いということを表していると思いました。

講談社のこの売り方は大成功だったようです。ワタシも切り口はともかくこれで読者が増えるのならばと当初は大歓迎でした。まずは読むこと、そしてそれをきっかけに普通に漫画としての面白さがわかる編集本などに進んで行ってくれれば確実にファンは増えるはずです。

講談社は続いて「ピーナッツ・エッセンス」というタイトルでピーナツブックス~スヌーピーブックス全86巻を15巻に編集したシリーズを刊行すると発表しました。これはとてもいいタイミングです。「SNOOPYのもっと気楽に」の読者がこの本に流れれば、きっとピーナッツの面白さを知ることになるだろうと大いに期待しました。

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2024.09.16

ピーナッツのコミックとの再会:その3

私的50周年回顧ネタ。

「A Peanuts Book featuring Snoopy(以下「featuring Snoopy」)」は1992年11月に刊行された 11巻を最後に一旦刊行が途絶え、「全11巻BOX」が書店に置かれました。

少し遡って同年7月、パルコ出版から「スヌーピーはゴルフに夢中」という本が刊行されています。訳者は林えりかで、新刊刊行中の出版社とは別の会社から谷川俊太郎以外の訳者を使用した書籍が刊行されたことに多少驚きました。

この本は、"An Educated Slice" という洋書の翻訳本でゴルフ・ネタのアンソロジーになっています。コミックの他にゴルフ雑誌に描いたイラストも幾つか載っていてワン・テーマのアンソロジーとして中々楽しめましたが、このような原書がある本については別の訳者が訳すというものの走りとなりました。

また、1993年には「On Sundays スヌーピーののんきな日曜日」という本が角川書店から刊行されました。これは1981年から1982年のサンデー版を収録した本で、かつて刊行されていた「スヌーピー全集」全10巻の続きになっていました。しかしこの後も続刊するのかと思いきやこの1冊止まりで何とも中途半端なものになりました。

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2年後の1994年9月、待望の「featuring Snoopy」の12巻が刊行されました。一度は「全11巻BOX」が発売になり諦めていましたが再開されて安堵したものです。

この2年間に角川書店はお家騒動や薬物事件などがあり、社長が角川歴彦に交代しています。「featuring Snoopy」は先代春樹の企画であり一度は途絶えたものですから、そのまま放置でもよかったはずですが…。

ともかく、収録されるエピソードは1990年代になっていました(当時はシュルツさん最後の10年間などとわかるはずもなく…)。

この頃面白かったのは「バブーちゃん」発言の裏が描かれたヤツでしょうか。サリーが「バブーちゃん」発言をした後どこからともなく「僕は君のバブーちゃんじゃない!」という叫び声が聞こえてきますが、これをライナス側から描いたのです。ライナスは普通に日常を送っているときに突然虚空に向かって「僕は君のバブーちゃんじゃない!」と叫ぶわけです。これは面白かった。

チャーリー・ブラウンが夜中に眠れずに自問自答するシリーズも面白かったですね。

その他、コヨーテにおびえるライナスも面白かったですね。果たして本当にコヨーテがいたのか真相はわかりませんが、久々に想像力を掻き立てられるようなエピソードでした。

一方で、チャーリー・ブラウンがスヌーピーのために尽くそうとするネタが出てくるようになり、ちょっと変化を感じるようになりました。この辺はのちにピーナッツを友情物語として捉えたがる一派の格好のネタとなり、個人的にはあまり歓迎はできませんでした。

また、スクールバスが事故に逢うというストリップがあり、何か面白くなりそうだと期待しましたが、スヌーピーの弁護士が出てきてすぐに収束してしまいちょっとがっかりしました。昔のシュルツさんだったら、ここから話が広がっていったはずですが、もうそんなパワーは無いのかな~などと老いを感じたものです。

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この頃のワタシですが、実はピーナッツのコミックを読むことに些か疲れを感じるようになっていました。

「featuring Snoopy」はページ数が多く読むのに時間がかかるようになり、それなりに覚悟を持って挑まなかればならなくなりました。かつてのお手軽さは無くなったわけですね。また、吹き出しが英語になったという変化もありました。ワタシは日本語で読んでいましたので、ちょっと没入感が削がれるという弊害を感じていました。

しかし一番の原因は、シュルツさん自身のパワーダウンでした。往年の面白さはなくなり画の乱れも顕著になってきました。そして先に書きましたがチャーリー・ブラウンとスヌーピーの友情を強調するような話の台頭があり、ワタシの好きだったピーナッツがどこか遠くへ行ってしまうような、そんな寂しさも感じていました。

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