カテゴリー「ピーナッツ・書籍」の522件の記事

2025.06.08

ピーナッツ75周年の途中経過

今更ですが、2025年も6月に入りまして、今月が終われば上半期も終了となります。更に連載開始記念日(「スヌーピーの日」とも言うらしい…登場していないのに)まで4か月となるんですが、あまり盛り上がりは感じられませんな~。

このところの日本における周年祭は前年から翌年にかけて足掛け3年行うのが通例になっていまして、今回も2024年から仕掛けが始まっていました。NiziUがアンバサダーになったりとか。しかし…なんか地味ですよね。

まあ、自分がそういう情報に触れていないだけかもしれませんので一応調べましたが、コラボアイテムのニュースばかりですね。うーん、周年祭っていうのはこういう事なんですかね?

個人的には、サントラ盤のリリースやヴィンス・ガラルディの2枚のリイシュー盤が発売されましたので、この上半期は非常に充実していました。まあ前者は75周年とは関係ないですし、どちらも海外の動きですが。

NiziUのアンバサダーってのは今どうなっているんでしょうね?

本来アンバサダーというのものは、商品でいえばそれが好きで普段から愛用している人がなるべきものです。その人が「いかに好きなのか」ということを発信してファンに訴求するものなので、単なる広告塔とは違うんですよね。ここからして履き違えているような。やっていることはアニバーサリー・ソングを歌っているくらいで、一応専用のサイトはありますが、 コラボグッズとか、ツアー最終日にスヌーピーの着ぐるみが登場するといったニュースしかなくて、むしろ逆に利用されてしまっているような気もします。

改めて自問してみましょう。ワタシは75周年をどう祝うのか。

やはり10歳の時に出会ってから自分の人格形成に多大な影響を与えてくれたコミックが、あれから50年超、連載開始から数えれば75年という長きに渡り愛され続けているということ。そして今でも自分に影響を与え続けてくれていることへの感謝ですかね。大げさでなく、人生の大半がピーナッツですからね。

残り半分で何が起こるのか?。周年に関係なくサントラ盤は発売され続けますし、新作アニメの配信もありますし、年末には恒例の書籍の出版もあるでしょう。この辺を励みにして生きていく。そんな年になるでしょう。

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2025.05.11

ペイジ・ブラドック氏のコミック

シュルツ・ミュージアムのYouTubeチャンネルの"Paige Braddock: 2025 Sparky Award Recipient" という動画についての3回目です。

この動画の対談によりますと、ブラドック氏は最初はカウボーイの漫画を描いていたようです。ある時、漫画家のデイヴ・グローリーに「なぜカウボーイ漫画を描いているのか?」と質問されたそうで、このことが結構印象深かったそうです。

デイヴ・グローリーの意図は、何故、女性なのに男性(よりによってカウボーイ)の主人公の漫画を描いているのか?という事だと思われますが、ブラドック氏としては当時のコミックにおける女性キャラの立ち位置が主体的なものが少なかったから自然とそうなっていたという感覚だったようです。ともかくこれを機に女性主人公ものにシフトチェンジして、そこから新聞に掲載されるようになっていったようです。

ちょっと話がずれますが、地元の図書館に「アメリカン・コミックスへの旅」というのがありまして、著者が女性でしたので変わっているなと思って借りて読んでみたんですが、タイトルでアメリカン・コミックと謳っているものの、実はアンダーグラウンド・コミックの紹介本だったのでとても驚きました。

一般にアメコミというとマーベルやDCなどの大手を指しますが、その他にもアンダーグラウンド・コミックなども存在するんですよね。そしてもちろん四コマ漫画も。で、マーベルやDCのような所謂分業制の大手のコミックと違い、アンダーグラウンド・コミックはもっと作家性が強いものが多いようです。大手にはいない女性コミック・アーティストもここには結構いるようで、同書では女性作家ならではの悩みなどを題材にしたアンソロジーの存在なども紹介されています。

何というコミック作家だったのか忘れましたが、コミックはもっと作家の主張が反映されるようになっていくべきだ、というようなことを割と早い段階で言っていた人がいて(そういった中でピーナッツなども登場したようですが)、女性作家でしたら自分の主張を出すのに女性主人公を使うのが自然でしょう。ですからブラドック氏のようにカウボーイ漫画を描いていたというのは不思議だったんでしょう。キャシー・ガイズワイトの「キャシー」も女性主人公ですし名前からして作者の投影っぽいですよね。

ブラドック氏の"Jane's World"のジェーンは新聞社に勤めているようですが、この辺もブラドック氏の経験に基づいてますね。

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プロジェクターにとある"Jane's World"のストリップが映されてその説明をしていますが、ジェーンが研修生にドーナツを買いに行かせて、グレイズドドーナツを期待していたのにヴィーガン用のドーナツを買ってきてしまって高くついたとか、いきなりゾンビが出てきてゾンビは医療も休暇も必要なく健康保険にお金を払いたくない新聞社的にOKだとか、ゾンビがアルミホイルを電子レンジに入れて火事を起こすとか…この辺はちょっと英語力が足りなくてよくわかりませんが…結構エキセントリックでナンセンスなコミックを描く人なのかな?というような印象を持ちました。

ブラドック氏にしてもガイズワイト氏にしても日本ではコミックが読めませんので残念ですな。アメリカの女性作家の本をもっと読んでみたいと思ったのでした。

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2025.05.10

ペイジ・ブラドック氏の好きなストリップ

シュルツ・ミュージアムのYouTubeチャンネルの"Paige Braddock: 2025 Sparky Award Recipient" という動画についての2回目です。

ペイジ・ブラドック氏が漫画にハマるきっかけとなったのはやはりピーナッツで、8歳頃のことだったそうです。そこで彼女が好きなストリップがスクリーンに映し出されました。

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ワタシは作画力から彼女のことをこれまで比較的ネガティヴに捉えてきましたが、この動画を通じてそれが解消されつつあります(上から目線なのは失礼)。といいますが、むしろ好きですよ。何ですか、このチョイスは。

車を追いかけるというのは犬の仕事なんですよね。それでスヌーピーはバスに乗って町まで出勤して、ひとしきり車を追いかけた後にまたバスに乗って帰宅する、とそういう話です。いやいや、素晴らしい!これがお気に入りだなんて彼女は最高ですよ。

返す刀でこんなことを書くのも何ですが、『私の好きなピーナッツのストリップ投票』とかで所謂名言っぽいのが上位になったり(そういうのしか選択肢になかったり)というんじゃダメですよね、やっぱり。当り前ですが彼女もアメリカ人ですから、コメディやギャグマンガとしてのピーナッツのことがちゃんと解ってますね。

ワタクシゴトで恐縮ですが、実は職場ではピーナッツ好きなことは割と伏せていましてね。それでもちょっとしたきっかけや話の流れで「実はピーナッツが結構好きなんですよ」てなことを数人に話したりしました。そうしますと本当に異口同音にみんながみんな「ピーナッツって深いんですよね」と返してくるんですよ。何なんですか、これは。こんな認識にしてしまったライセンシーの責任は軽くないですよ!

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ブラドック氏は、他に好きなコミックとして「ビートル・ベイリー」を挙げておられました。

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おおっ、ますますイイですね。ワタシも大好きなビートル・ベイリー。ワタシは幼稚園の頃、テレビで観てましたよ。初めて好きになったカートゥーンがコレです。

作者は、モート・ウォーカー。このブログでも何度も書いてますが、彼はシュルツさんより1年年下ですがシュルツさんデビューした時には既に売れていて、シュルツさんの全米漫画家協会加入のために奔走した人でもあります。そして(最近知ったばかりですが)彼もスパーキー・アワードを受賞しています。ワタシは鶴書房のビートル・ベイリー全10巻は揃えました。好きです本当に。

しかし、モート・ウォーカーは過去の人のようですね。ブラドック氏が対談で「古い漫画を知らない人に言っておきますが」と前置きしているように現役感はなさそうです。

彼女曰く、ビートルには共感していたんだそうです。彼は戦争に携わらない変人が多い部隊所属のダメな二等兵で、ちょっと怠け者で何でもうまくやり過ごせればいいというタイプのキャラです。憧れだったんでしょうか?彼女のコミック "Jane’s World(同性愛の話らしいです)"と主人公のジェーンはビートルに似ているらしく、このコミックに影響を受けていると言っています。読んでみたいですな。

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この動画については他にも書きたいことがありますので、それはまた改めて。

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2025.05.06

ペイジ・ブラドック氏、スパーキー・アワードを受賞

シュルツ・ミュージアムのYouTubeチャンネルに"Paige Braddock: 2025 Sparky Award Recipient" という動画が上がっていましたので視聴してみました。

ワタシはまず、この"Sparky Award"なるものを認識していなかったんですが、公式サイトによると『シュルツの才能、革新性、そして人間性を体現した漫画家たちの多大な貢献を称えるもの』を表するとのことです。

それをペイジ・ブラドック氏が受賞となりますと一見手前味噌のような感じがしますが、これはカートゥーン・アート・ミュージアムとシュルツ・ミュージアムが共同でやっているもののようで、ブラドッグ氏もちゃんとクリエーターとしての実績があるからこその受賞なんですな。

初めて知りましたが、彼女はApple TV+の「君はだれ?チャーリー・ブラウン」でエミー賞を受賞していたんですね。

 

この動画は、チャールズ・M・シュルツ・クリエイティブ・アソシエイツのアレクシス・ファハルド氏との対談という形で彼女のキャリアを掘り下げています。

通して観て思ったのは、彼女はクリエーターとして中々のものを持っているということです。シュルツさんのクローンのような立ち位置というのは勿体ないのかもしれません。

感想は色々とありますが、来日してジーンさんと一緒に「世界一受けたい授業」に出演した時のことについて語っていたのが面白かったので、今日はそこだけ書きます。

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大体、以下のようなことを語っています。

日本のマーケティング・ディレクターから「ジーンさんといっしょにテレビに出ませんか?」と言われたが、ジーンさんはなんでも「イエス」と言ってしまうので2人して出演することになった。しかし、ここに落とし穴があった。
番組は有名人が出演していてクイズに答えたら景品がもらえるというというような内容だった。スタッフは製図台を置いて「絵を描いて正解者にあげてください」と言ったが、私は拒否した。それでも「台はどのくらいの高さがいい?」とか訊いてきてこちらの言い分を全然受け入れてくれない。最終的にインクで描くとすぐには乾かないので鉛筆で描くということになったが、私とジーンさんは見つめ合い「もう二度としない」と言った。

この対談はサンタローザのリサーチ・センターで行われていますが、カリフォルニア州という土地柄、大谷翔平の件が頭をよぎった人もいたんじゃないでしょうかね。何と厚かましい日本のテレビマン。恥ずかしいからやめてほしい。プロの作家を何だと思っているんでしょうか。出演していたのがシュルツさん本人だったとしても、同じことをしていたかもしれません。

因みに過去記事を調べてみますと、2018年5月19日に視聴した感想を書いていました。たった一行『あまりいい内容ではなかったなあ。先日のNHKが良かっただけに余計に思う…。』とだけ。『先日のNHK』というのは「アナザーストーリーズ」のことです。

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以下、蛇足です。

この動画でペイジ・ブラドック氏のクリエーターとしての側面に初めて触れましたので俄然興味が沸いていますが、それはそれとしてこれまでも書いていますがワタシはシュルツさんの代役としての彼女を全然評価していません。Kaboom!で出版されているグラフィックノヴェルについても、ヴィッキー・スコット氏の下書きはすごく良いのにブラドック氏がインクを入れると台無しになってしまうというのをメイキングで随分見ましたし、シュルツさんからペン先を引き継いで使っているんですから、もう少し何とかならんのかな~と、良く思っています。

正直、「世界一受けたい授業」で描いた絵も、これって欲しい?というような代物で、彼女が断ったのは即興で絵を描くことに自信が無かったからではないか?なんて邪推もしてしまうのです。

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2025.04.20

「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」の図録を読む③

さすがに今回で終わりにします…。

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これは図録のみで実際には展示されていないものだと思いますが、192ページに「眠りっ子、ペパーミント パティ」というコラムがあります。

ここでは彼女が居眠りをする理由として『シングルファーザーの父親が仕事から帰ってくるのを、毎晩遅い時間まで寝ないで待っているからなのです』と書かれています。

ワタシ的には、これは半分は合っていますが100%ではない、という風に思えます。

父親がいないために夜更かしをしているというのは間違いないと思いますが、それは必ずしも帰りを待っているわけではないと思います。心ある父親であれば、自分の帰りを待たずに早く寝てほしいと考えるでしょう。要するに彼女は父親が不在で干渉が無いのをいいことに奔放にしているだけじゃないんですかね。

父親は帰りが遅いだけでなく、出張で家を空けることもあるようです。ペパミント・パティは夜中の2時に電話を掛けたりすることもありますが、こういう日は恐らく父親が出張なんでしょう(さすがに在宅していたら注意するでしょう)。

そもそも、彼女は最初から居眠りキャラだったわけではありません。確か最初はスケート大会に出場するために早起きして練習をしているために昼になると眠くなる、というものだったと思います。しかしシュルツさんは居眠りネタが面白いと感じたんでしょうな。そこで定番化に際し父親の設定を絡めて夜更かしをしているということにしたんじゃないでしょうか。

ともかく、このネタでペパミント・パティを父親想いの優しい子みたいに評するのは微妙だな~と思うのであります(彼女が父親想いで彼を愛しているのは紛れもない事実ではありますが)。

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あともう一つ。チャプター3「宿題の時間です」で、1974年1月3日のストリップ(月刊SNOOPYで言うところの『アメリカ版オバQ』最終回)を取り上げていますが、これはコミックを読んでいないとさすがに意味不明でしょうな。注釈にあるようにこの時期はコホーテク彗星が地球に接近していたんですが、スヌーピーはこれをこの世の終わりと考えて布を被るという行動に出たわけです。

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何故布を被るのかスヌーピー本人も理解していなくてナンセンスですな。このエピソードのちょっと前にも『スノウリーグが設立されて雪ダルマ作りは大人の監視下に置かれることになり、子供は自由に雪ダルマが作れなくなる』というナンセンスなエピソードがありまして、これも面白かったですね。クライマックスのチャーリー・ブラウンの"自由への疾走"にはテンションが上がりましたし、その後訪れる虚しい幕切れには苦笑したもんです。当時はピーナッツを読み始めたばかりでしたので、中々に思い入れがあります。

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最後は企画展から脱線しましたな。特定のストリップを観てそれを読んでいた当時が思い出されるということは往々にしてあるわけでして、ワタシにとってピーナッツはある種の郷愁装置になっているのです。

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2025.04.17

「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」の図録を読む②

スヌーピーミュージアム企画展の原画のチョイスを誰が行っているのかが気になることがあります。日本側にはキュレーターがいませんので本家ミュージアム側が行っている可能性が高いと思いますが、何なら企画立案自体もアチラがやっている可能性も考えられます。

となりますと、今回の「スクールライフ」というテーマなのにダンス教室ネタがあったり、「ホリデー」なのに祝日ではないハロウィンなどがあったり、「旅」なのに旅ではない海水浴があったり…というのもアチラが決めていることになります。あまり考えたくはないですが、ちょっと雑に扱われていますね。

原画のチョイスにどれだけの自由度があるのか判りませんが、ちょっとこれは無いんじゃないの?というのはずっとありますね。

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今回の「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」のチャプター2「勉強はお好き?」の中で、『サリーと学校さん』のエピソードが二つ選ばれています。一つはまだサリーが学校に対して敵意を持っている時期のものですが、もう一つはチャーリー・ブラウンが校舎に話しかけているところをルーシーに見られ…という内容のもので、この二つだけですと全く話が繋がらず見る人が困惑するのではないでしょうか。つまり、一つ目ではサリーが校舎に話しかけているのに二つ目ではチャーリー・ブラウンが校舎に話しかけている事になっているからです。

これは展示を観に来る人が『サリーが病気で登校できなくなったときに校舎にそのことを伝えるように兄にお願いして、彼はバカバカしいと思いつつも校舎に話しかけ運悪くそれをルーシーに目撃されてしまう』という話の流れを知っていれば問題ありませんが、必ずしもそういう人ばかりではないですよね。更に言うと、初めは校舎に向って悪態をついていたサリーもそのうちに愛着を持つようになる。という感情の変化も解っていないと何故チャーリー・ブラウンが校舎に話しかける羽目になるのかも解らないという事にもなります。

もう一つ、所謂『金の星事件』のエピソードから一篇だけチョイスされていますが、これもスヌーピーがペパミント・パティに変装しているところだけですので果たしてどうなのかな?と感じます。まあ前後関係なく『スヌーピーが面白い、可愛い』で済ますことはできますので展示する側的にはイイのかもしれませんが。

それぞれ図録では118ページと260ページに補足解説がありますが、10ページの凡例によるとこれは図録のみの企画のようですので、展示だけを観て図録を買わない人にはちょっと厳しいんじゃないですかね。

展示作品については『画』を観ることに全振りしているので話の流れは二の次である―――という事でしたらまあ納得せざるを得ませんが、そうではないですよね。それでは企画展の意義自体が無いことになります。

この118ページの内容も、掲載されている二つのストリップの一つは先に書いたサリーの感情の変化を表したものなのでいいチョイスだと思いますが、もう一つはこの一連のストーリーが始まる3年前の『サリーが校舎を蹴る』というもので、実はこの頃からサリーと校舎には因縁があるんだよと言いたいんでしょうか…中々にマニアックですな。

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同じ趣旨のものがチャプター5「ジョー・クールのだらだらキャンパス・ライフ」にもありまして、ジョー・クール登場(1971年)より遥か昔である1959年の『スヌーピーがキャンパスの人気者になることを夢想する』というものを参考作品として紹介しています。これも中々にマニアックな掘り起こしであります。

ただし、この1959年のこれはあくまでも『犬』として人気者になりたいというものですから、のちのジョー・クールとは全く性質の異なるものです。ベンジャミン・L・クラークはこれをもって『「クール」なふりをさせたのはこれ(1971年のストリップ)がはじめてではありません』と書いていて、ジョー・クールの萌芽がこんな昔にあったんだと言いたかったんでしょうが、これは事実誤認と言ってもいいでしょうな。

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話をチャプター3に戻します。『金の星事件』については260ページから「13話連続ストーリー」と銘打って本エピソードの全ストリップを掲載しています。これはこれで大胆ですな。何故このエピソードに限って全話紹介する気になったのかはよくわかりません。ただ、「13話連続ストーリー」などと銘打たれますと13話も続いたすごいストーリーみたいですが、そのくらいの話数の連続物はザラですから、このタイトルも良くわかりませんね。

ともかく、これらを図録のみの企画とするのはとてももったいなく、作品理解のプラスになるものですから原画ではないにしろ展示しても良かったんじゃないですかね。

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しかし、チャプター5「ジョー・クールのだらだらキャンパス・ライフ」で、1971年9月12日のサンデー版の原画が展示されているというのは素晴らしいですね。このチョイスは賞賛に値すると思います。このストリップがジョー・クールのすべてを表しているといっても過言ではありません。例えジョー・クールがこの一作だけで消えていたとしても、ジョー・クールというキャラクターは歴史に残ったであろう―――それほどの完成度だとワタシは思います。

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何だかこの原画だけは生で観たい気がしてきました。

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2025.04.16

「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」の図録を読む①

スヌーピーミュージアムの新企画展「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」は3月8日にスタートしていましたが、図録の一般販売は3月31日からとなっていました。ワタシは今月上旬には図録を入手していましたが、ようやく読みました。

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今回も序文をはじめ解説は本家チャールズ・シュルツ・ミュージアムのキュレーターであるベンジャミン・L・クラークが手掛けています。

序文によりますと、シュルツさんは1961~2年にかけてPTAの副会長~会長を務め学校の運営を内部から知る機会も得ていたとのことです。ならば、実際にその経験が作品に活かされていたのかどうかは気になりますね。というわけで、「ピーナッツ全集」の6巻(1961-1962)をおさらいしてみました。

この頃の主な学校ネタは、
1.「ライナスの母親が息子のお弁当に手紙を入れる」
2.「ライナスの父親が月曜日の夜にPTAの会合に出席する」
3.「オスマー先生が給料をもらっていることを知ってライナスがショックを受ける」
4.「学校のクリスマス会の出し物について」
といった感じです。

1.はジョイスさん(当時の奥さん)がやっていたのか、そうでなければPTAで仕入れたネタをヒントにしたのかもしれませんね。
2.はPTAをやっていたからこそのネタのように思えます。
3.はこれもPTAで仕入れたネタのように思えます。
4.もPTAですかね…。

しかしまあ、何とも言えませんね。ありがちと言えばありがちなネタですし、所詮は一読者の推測でしかありません…。

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次のチャプター「学校へいこう!」の解説文では、『「ピーナッツ」の仲間たちは1950年に連載が始まるとすぐに学校に通い始めましたが…』との記述があり、ん?連載が始まってすぐ??そうだったかな~、となりました。

原文を見ますと、"immediately" という単語を使っています。これはもう「直ちに」とかそういうニュアンスになります。『連載始まってすぐ』のギャングたちは未就学児どころか幼稚園すら通っていないような印象も受けますので、ここはちょっと事実誤認では?という感じがします。この不正確さがベンジャミン・L・クラーク氏らしいですけどね。

このチャプターで紹介されている『バス停ネタ』は全て1990年以降のものです。晩年になってから定着した定番ネタになりますが、この頃の子供を見る目はもう父ではなく祖父ですよね。何故『バス停ネタ』が連載末期に増産されたのか?ここに迫れれば大したキュレーターだと思いますけど、そこのところは残念ですね。もうちょっと頑張ってほしいところですな。

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今日はここまでです。

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2025.04.12

今年の年末に河出書房新社から出版される本は?候補は3冊

河出書房新社は「ピーナッツ全集」刊行を機にピーナッツ関連の書籍を毎年年末に発売するようになりました。大変ありがたく思っています。

今年も何らかの書籍が刊行されることを期待していますが、今年は75年目のアニヴァーサリーイヤーということもあり、アメリカでは記念本の刊行が相次いでいます。

元旦の記事8月に刊行される "Snoopy, the Story of My Life: The Myth, the Legend, the Beagle!" というハードカバー(アンドリュー・ファラゴ著)が有力候補ではないかと書きました。最近になって書影や中身見本などが公開されました。

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中々イイ感じではないでしょうか。

しかし、あれから4か月たっていますので、他にも刊行予定の情報が出てきました。

"The Essential Peanuts: The Greatest Comic Strip of All Time" というハードカバー(マーク・エヴァニアー監修)が10月に発売されます。連載開始日に合わせて10月に設定したと思われますが、チップ・キッドがデザインを手掛け、ストリップの他、ポストカード、版画、刺繍パッチ、ステッカーなど、ピーナッツ関連グッズを多数収録するとのことです。

著名人のコメントも多数収録するようですが、ワタシ的にはこれが一番楽しみです。気になるコメンテーターは、
ロブ・アームストロング(フランクリンのアームストロング姓の元ネタの漫画家)
ベン・フォールズ(「それは小さなことだけど」の主題歌の作詞作曲歌唱。かつてはヒット曲を出していました)
ベンジャミン・L・クラーク(本家ミュージアムのキュレーター。何を書くのやら)
チップ・キッド(ピーナッツ関連本を手掛けるデザイナー)
ジェフ・モロー(Apple TV+のピーナッツ・アニメの音楽を手掛ける作曲家)
谷川俊太郎(!…いつ頃のコメントでしょうか?)

期待はしたいですが、発売が10月ということもあり、年末までに翻訳は間に合わないでしょうな。来年の刊行になるでしょうか?

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今月22日には "Only What's Necessary 75th Anniversary Edition: Charles M. Schulz and the Art of Peanuts" という本も刊行されます。これは2015年に65周年記念として出版された本の75周年改訂版で、日本では2016年にディスクユニオンの出版部門であるDU BOOKSから「スヌーピーとチャールズ・M・シュルツの芸術 必要なものだけを」のタイトルで刊行されました。…あの時は嬉しかったですね。というのも、2010年の60周年の時も記念本の出版はあったんですが、日本の出版社はどこも動かなかったんですよね。そういう事があったので期待していない中でのまさかの出版でした。ディスクユニオンさんありがとう。

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これも編集・デザインがチップ・キッドなんですよね。3冊の記念本のうちの2冊を同一人物が手掛けているという状況ですね。

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総括しますと、"The Essential Peanuts" は発売日からして今年は難しそうで、"Only What's Necessary" は発売日が早いものの改訂版なので個人的には後回しにしてほしく、そうするとやはり"Snoopy, the Story of My Life" が有力なのかな、という気がします。

あとは値段ですね。どれもハードカバーですから結構な額になるんでしょうね。そこだけが心配です。

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2025.04.03

タウンショップ新宿店、4月25日オープン

タウンショップについて記事を書くのはかなり久々だと思います。昔は結構追いかけていたんですよ。坪数とかをリストにしてデータベースを作っていたこともありましたが、PCが壊れてそれっきりになってしまったり…あのデータ消失は自分的には痛かったです。

フェイスブックにニュースがあったんですが、今月だけで3店もオープンするんですね。

4月1日に「広島パルコ店が4月18日オープン」というニュースがあって、今日4月3日に「名古屋パルコ店が4月25日オープン」と「新宿店が4月25日オープン」というニュースが出ていたようです。で、新宿店が33店舗目で名古屋と広島がどちらも32店舗目なんだそうです…だってそう書いてあるんだもん。

タウンショップ関連の記事はずっとスルーしてきた、といいますか、全然引っ掛かってこなかったので知らなかったんですが、タウンショップというのは「しあわせは…あったかい子犬」がテーマなんだそうで、これは知りませんでした。うーん、いつからこうなっていたんでしょうか?

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それはそれとして、『おかいものスヌーピー』のサイトにも久々に行ってみたんですが、いつの間にか書籍の取り扱いを辞めていたんですね。

これまでも取扱商品一覧の一番最後に書籍があって、そんな扱いに憂いていたもんですが。いやあ、遂に極まったか、って感じですね。

まあ効率とか在庫リスクとか色々と考えたんでしょうな。書籍を買いたい人は書籍専門のサイトを使ってくださいという事なんでしょうし、恐らくほとんどの人がそうしていたんでしょう。売れていなかったんでしょうし、仕方が無いですかね。

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それでも敢えて書きますが、

原作著者についての紹介ページが無い公式サイト

原作書籍を取り扱わない公式通販サイト

本当にこんな事でいいんでしょうかね?

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2025.03.12

いわさきちひろに負けるな

スマホでニュースを見ていたところ、「行ってみたい!東京の美術館ランキングTOP20」というものが出てきましたのでちょっとネタにしますが、これにスヌーピーミュージアムが入っていないといってケチを付けるのは野暮かもしれませんね。

都下の美術館は300超ありますし、そんな世界線で「キュレーターがいない」「かと言って特に専門職員の充実を図るつもりもない」「美術館として不可欠な調査・研究を全くしていない」という、決して質が高いとは言えない美術館がランキングに入れるわけがないですよね。

って結局ケチを付けてますが。

本家のキュレーターも間違うことがあるわけですから、それをただ与えられたものとして展示しているだけでは信用ができないわけです。既に間違った情報を発信してしまっていますし、本来は研究機関でもある美術館として罪は軽くないと思います。

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まあそれはそれとして、1位が三鷹の森ジブリ美術館だそうです。眺めてみますと硬軟入り混じったバラエティに富んだランキングなわけですが、8位にちひろ美術館が入っているのが何気にすごいですね。

実はいわさきちひろ作品をまともに読んだことはありませんが、すばる書房時代の月刊SNOOPYを読んでいれば広告などで自ずと知れる存在だったわけです。月刊SNOOPYの広告から詩に興味を持って月刊ポエムに行ったり、児童文学に興味を持って月刊絵本に行ったりした人は少なくなかったんじゃないかと思います。

しかし今、いわさきちひろはそんなに人気があるんですね。没故されて50年以上、これぞ正に世代を超えて愛されているという事ではないでしょうか。

片や借り物だらけの美術館、片や所蔵品満載の美術館。勝敗を付けるものでもないですが頑張ってほしいものです。

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