カテゴリー「ピーナッツ・アニメ」の384件の記事

2025.06.01

「スヌーピー・プレゼンツ:サマーミュージカル」のあらすじを読んで思ったこと

Apple TV+ プレスにはあらすじも載っています。

この夏は、サマーキャンプの楽しさと魔法、そして大切なものを守ることの大切さを味わいましょう。チャーリー・ブラウンはキャンプが大好きで、最後の年を特別なものにしようと決意しています。一方、キャンプ初参加のサリーは、慣れない場所に不安と戸惑いを感じています。みんながキャンプに慣れていく中、スヌーピーとウッドストックは宝の地図を見つけ、近くのワイルドな冒険へと誘います。

・・・ええ?…チャーリー・ブラウンってキャンプが大好きなの??

まあこれは考えようで、昨年の作品「キャンプスヌーピー」での経験を踏まえてということなんでしょう。ただそうすると、サリーの『キャンプ初参加』というのは矛盾になってしまいますが。そうか~、初参加か~。昨年もホームシックになるサリーを観させられましたが、今年もまた何か似たようなものを観させられるんでしょうな…。あと初参加という設定にした以上は、キャンプでナオミと再会、なんてイベントは無いんでしょうな。

最後の年、という記述がちょっと引っ掛かりますが、これは参加者が減ったためにキャンプが閉鎖されるという事らしいです。あらすじを続けます。

ある朝、ピーナッツの仲間たちは、毎年夏にキャンプ参加者が減っているため、愛するキャンプが閉鎖されることを知ります。特にチャーリー・ブラウンは、自分と仲間たちにとって大切な場所を失うことに絶望を感じ、深い悲しみに暮れます。一方、冒険の途中でスヌーピーとウッドストックは念願の宝箱を見つけますが、中身は宝物ではなく、キャンプで過去に行われた夏のコンサートの楽器と写真だったことに気づき、すぐにがっかりします。新たなインスピレーションを得たチャーリー・ブラウンとピーナッツの仲間たちは、その宝物を使ってキャンプを救うため、自分たちでコンサートを開催します。

ここまでストーリーをオープンにして大丈夫なんでしょうか。何だかどういう内容になるのか大方解ってしまったような…。音楽で勝負ってことでしょうかね?

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因みに、シュルツさん本人は実はサマーキャンプに参加したことはなくて、これは自らの従軍経験のメタファーなんです。ですので、必然的に楽しい対象としては描かれていないわけです。生きていたら何と思われるか…。

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2025.05.31

Apple TV+ の新作アニメ発表になる

5月20日、Apple TV+ プレスにおいて今年の新しいピーナッツ・アニメの配信が発表されました。日本語版での発表はまだないようですが。

タイトルは、“Snoopy Presents: A Summer Musical”。配信日は7月18日、40分の作品になるそうです。

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昨年、「スヌーピーのハッピーキャンプ」のシーズン2の制作が発表されましたので、夏はコレで、「スヌーピー・プレゼンツ」シリーズの新作は秋から冬にかけてになると思っていました。「ハッピーキャンプ」は来年でしょうか?しかし今回の作品はサマーキャンプが舞台ですし、そうすると3年続けてキャンプが舞台の作品が続くことになりますので、「ハッピーキャンプ」は今回の作品に吸収されてしまった可能性もあり得ますね。

まあ、ともかくミュージカルなわけです。プレスでは『30年以上ぶりのミュージカル』と煽っていますが、果たしてどうなることやら。

メンツは、お馴染みのジェフ・モローと、「スヌーピー・プレゼンツ:それは小さなことだけど」のテーマ曲を担当したベン・フォールズですので、良メロが出てくることは間違いはないと思います。ここは信頼できると思いますが、アメリカの子供たち(カナダで作っているからカナダ人かな?)の歌唱力がどんなもんなのか、というところですな。

まあ、歌だけ別人が担当するというのは古くはオードリー・ヘップバーンなどでも適用されていますので、その可能性もあります。

日本語吹き替え版?

今回は吹き替え版は作られない可能性もあると思います。というのも、現在Apple TV+が配信している「君はいい人、チャーリー・ブラウン」は字幕版オンリーだからです。子役声優に歌まで歌わせるのは負荷がかかりすぎるという判断か、はたまたお金をかけたくないだけか、その辺はわかりませんが、とりあえずリスクは回避されていますね。

今思い返しますと、NHK衛星第2で放送した "This Is America, Charlie Brown: The Music And Heroes of America(邦題「アメリカへようこそ 音楽とヒーロー」 )" で歌も吹き替えていたのは大英断でしたね。はっきり言って大惨事でしたが。

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2025.05.12

アメリカ版「アニメと原作は違う」

このところ、ピーナッツのブログでありながらちょこっとズレたことを書いてますね。ペイジ・ブラドック氏は一応関係者ではありますが。ズレたついでに海外コミックのアニメ化について(多分に主観的です)。

「アニメと原作は違う」というのは、かつてのテレビアニメで当たり前のように行われていた原作の改変について、原作者とアニメ制作側双方から言われていた言葉です。その結果として面白くなろうが逆であろうが視聴者はそれを受け入れるしかなかったんですが、やはりつまらなかった時はモヤってしまいますよね。最近はSNSの発達もあり勝手なことをするとファンも原作者も声を上げやすくなりました。アニメはだいぶ良くなったと思いますが、ドラマの方は相変わらずですね。

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ワタシはピーナッツのTVスペシャルは70年代までのものはかなり好きです。それはシュルツさんがシナリオに関わっていたというのが大きいかもしれませんが、原作とは違ったオリジナル・ストーリーでありながらも同じ世界観だというお約束がしっかりしていたので、どんなストーリーが展開されるのだろうとワクワクしながら観ることができました。

しかし同じシュルツ=メンデルソン=メレンデス体制で作っているにもかかわらず、80年代以降のコレジャナイ感は何なんでしょうな。もう一人の主要人物ヴィンス・ガラルディの不在が影響しているんでしょうか?

まあともかくも、ガーフィールドのアニメ版なんぞを観ますと、ピーナッツの原作との乖離(80年代以降)は全然マシな方とか思えてきてしまいます。ガーフィールドとかは凄いですよね。最初から原作を無視してますよね。あれ程の原作と似ても似つかないアニメ化というのも中々無いんじゃないでしょうか。

幼稚園の時に大好きだった「ビートル・ベイリー」も、大人になってから観返すと結構原作と違うんですよね。原作のスノーケル軍曹は童貞で女性や恋愛というものに幻想を抱いていたりするんですが、アニメですと普通に女性をエスコートしていたりしてますしね。

幼稚園の頃というと、かの「クレイジー・キャット」のアニメも好んでよく観ていました。あれはどうやらチェコスロヴァキア(当時)制作だったようですが、確かに独特の色遣いとかアメリカにはない美意識は感じられました。クレイジー・キャットは原作では性別を超越した存在なのですが、アニメ版はかなり女性っぽい品が強調されていてワタシは当然のように女性だと思っていました。

「ブロンディ」のアニメも観たことがありますが、あれは多分日本のスタジオが作ってますね。作風がそんな感じでした。演出が悪い意味で日本のアニメっぽくて「ブロンディ」にはそぐわないような気がしました。スラップスティックも過度でいただけませんでしたな。

「ブロンディ」はモノクロのTVドラマも観たことがあります。ダグウッド役が二枚目俳優で違和感がありましたが、理想的な家庭を描くにはあのくらいがちょうど良かったのかもしれません。アメリカ国内での評価はともかく、私は嫌いじゃないですね。

アルゼンチンのコミック「マファルダ」は「おませなマハルダ」のタイトルでNHKで放送していたようですが、これは観たことが無いのでわかりません。松島トモ子がサリー・ブラウンに次いで吹き替えていたそうですのでとても興味はあります。逆にキャシー・ガイズワイトの「キャシー」はアニメは知っていても原作を知らないので何とも言えません。

「ポパイ」のアニメも好きでしたが、あれが原作と比べるとどうかというのは、ちょっとわかりません。というのも、私が読んだ「ポパイ」のコミックはツルコミではなく講談社のもので、どうもあれは所謂『本物』ではないっぽいんですよね。実際、シュルツさんが影響を受けるほどのコミックには思えませんでしたし。ただ、アニメは面白いですよね。ロビン・ウィリアムス主演の映画版はアニメ版の映画化と言ってもいいんじゃないでしょうか。面白いかどうかではなくてインパクトを覚えたのは「ニシン泥棒」の回です。ニシンの缶詰倉庫を舞台にした話で、「アメリカ人もニシンを食べるんだ」と子供心に思ったものです。

ここまで所謂アメコミのアニメについては書いてませんが、あれらは割愛します。我々日本人は変な翻訳版を観せられていましたし(悪役が名古屋弁だったり)。ああいうのは60年代までだと思ってましたが、のちに「三宅裕司のバットマン」というとんでもないのが登場しましたね。

そういえばトーベ・ヤンソンが虫プロ版「ムーミン」の試写を観て「刺激的だ」と文句を言ったというのがツルコミの後書きに載ったことがありましたね。兎角アニメ化というのは難しいもんなんでしょうかね…。

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2025.04.13

ピーナッツ谷啓期吹き替え声優ご健在の件

このブログでは年末に一年の総括をしていますが、その時に必ず訃報を振り返ることになります。昭和のピーナッツ吹き替え声優の訃報は本当に毎年あって辛いものですが、今月はご健在のお二方のお姿を拝むことができました。

お一人は、4月4日に主演映画が公開された三代目サリー・ブラウン声優の松島トモ子さん。まあ映画自体は川崎実監督作品ということで期待はしていませんでしたが、氏の監督作品としてもかなりつまらない部類に入るんじゃないでしょうか。ワタシはくだらない映画は好きですが、つまらない映画というのはちょっと。「ヅラ刑事」はくだらなくて良かったんですがね。

唯一の救いは松島トモ子さんがしゃべっているシーンが一番良かったという点ではないでしょうか。

ただ、今後も映画に出演し続けていただかないと、この「サメ遊戯」が遺作になってしますので、頑張っていただきたいと感じております。

もうお一方は、初代ルーシー声優のうつみ宮土理さん。4月10日放送の「徹子の部屋」に出演されていました。愛川欽也氏が亡くなってからもう10年なんですね。あの頃はメディアを通じて相当辛い状態になっていると伝えられていましたから、このように元気に復帰されたのは喜ばしいことです。今はキンケロ・シアターの舞台にも立てれているとか。しかし、うつみさんの方が松島さんより年上だったんですね。キャリアは断然松島さんの方が長いですが。

番組では懐かしの愛川欽也氏出演時のVTRの少し流しましたが、失礼ながら氏の話す戦争についての下りの方がインパクトがありました。これは今の子ども食堂に通じるものがあります。政府は子ども食堂への支援を呼びかけるのではなく、子ども食堂が不要な社会の実現を考えてほしいですな。昔は無かったんですからね。

ともかく、こういった感じでご健在なお二方の姿を偶然にも短期間に拝見することになったのでした。

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2025.03.06

大ヒットしていた「スヌーピーとチャーリー」

1972年における映画「スヌーピーとチャーリー」について、キネマ旬報の記事からまとめてみたいと思います。

今回は2月16日に書いたものの補筆的なものになります。この時はキネマ旬報の1972年9月下旬号をもとに書きましたが、それに1972年6月下旬号と11月下旬号の情報を追加しました。

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まず、公開前の1972年6月下旬号で、配給会社(東和)のスタッフと映画評論家たちが参加した同社配給の作品についての座談会が載っていますが、作品の一つとして「スヌーピーとチャーリー」についても話し合われています。

映画評論家の渡辺武信氏は元々ピーナッツが好きで、ピーナツブックスが出る前から大学にピーナッツ同好会というファンサークルがあったことを語っています。この方は評価は高いんですが、ビル・メレンデスの実験的な作風の部分はちょっとっ気に入らなかったようです。

東和のスタッフは当初は漫画だからターゲットは子供かと考えたそうですが、件のピーナッツ同好会もあり、ターゲットは大人だと考えを改めて字幕版での公開を決めたようです。実際に9月公開で子供ターゲットの夏休み興行ではなかったわけです。

編集者or評論家の黒井和夫(和男?)氏もこの座談会では作品として評価していますが、1972年9月下旬号(公開直前の発売)ではちょっと辛辣なことを書いています。どういう事が書かれていたかと言いますと、

アメリカでは絶対の人気の漫画だが、日本ではまだまだ浸透度は少ない。一部に熱狂的なファンがいることも確かだが、このヘんから拡がりを求めて、どの程度まで興行に結びつくか興味深いところだ。
スバル座という小劇場でのロードショウなので、それなりの成績となろうが、そんなにロングにはなりっこない。それよりもアニメーション・ブームのきっかけとなるくらいのオヤッと思わせるだけの出足の良さを期待したい。むしろその方が狙いだといえないだろうか

中々に厳しい意見ですね。まあ映画専門誌としての意見は「ヒットしないだろう」というもので、その後に控えている「シャーロットの贈り物」などのアニメ映画の露払いになればいいくらいの認識だったわけですな。

ところが、フタを開けてみると予想外の大ヒットとなりました。2か月後の11月下旬号では以下のように書かれていました。

有楽町スバル座へ出たアニメーションの「スヌーピーとチャーリー」が同劇場の新記録となる大ヒットを記録している(中略)休日は動きのとれないほどの騒動になっている。
この作品はすでに二年前に輸入されていたものだが、スヌーピーの日本上陸に合せて公開しようという配給会社の案で現在まで持越したものだが、スヌーピーの静かなブームに乗ってキャンペーンも大成功、大ヒットとなった。
二年待った先見の明も見事だが、これほど大きく玄人筋の見方が狂ったのも珍しい(後略)

劇場の新記録となるほどのヒットというのは凄いですな。ちょっとしたヒットではないわけで、キネマ旬報の読みは大外れになったわけです。

しかし配給会社の東和も大したものです。1969年末にアメリカで大ヒットした映画をすぐに輸入したものの、機が熟すまで寝かしたというんですから。事実、その間にピーナツブックス、サンリオのグッズ(何だったのかは不詳)やファミリアのぬいぐるみのヒットがありファン層が拡大していたわけで、東和のスタッフはそうなると見越していたんですね。素晴らしい。ん?昨日書いたガセネタは、ひょっとして公開までのつなぎの情報統制目的の東和自らが流したものだったりして?…それは無いですかね。

しかし単館上映とはいえ、これ程のヒットになっていたという事実は語り継がれていませんね。

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実は日本だけの現象ではなく、本国アメリカでもヒットしていたことがキネマ旬報1970年6月下旬号に書かれています。

これによりますと、ちょっと凄いですよ。定員5900人のニューヨーク・ラジオシティミュージックホールで新記録樹立、年が明けて4月にニューヨーク地区42館で一般封切し第一週37万ドル第二週30万ドルの興収、更にデンヴァー、フィラデルフィア、ロスアンジェルスなど複数の映画館で開館以来の興収・動員を挙げたとのこと…。

これ程の大ヒットになっているのに2年寝かせたという東和の判断はやはり凄いとしか言いようがありませんね。因みにキネマ旬報はこんな記事を書いていますが、この段階ではまだ「スヌーピーとチャーリー」は月世界旅行の映画だと思ってますからね。東和の人も当然キネ旬を読んでいるはずですから、訂正なりなんなりすればよいのに。やっぱりガセネタの黒幕だったんでしょうか??

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2025.03.05

ガセネタをつかまされた人たち

先月、大伴昌司のとんでもない「スヌーピーとチャーリー」の解説について書きましたが、他にも同じような記事が存在するのを見つけました。

それが、こともあろうに映画専門誌のキネマ旬報でした。

キネマ旬報のとんでもない記事は2つありますが、まず1つ目は1969年8月上旬号です。1969年8月というと、まだ「スヌーピーとチャーリー」は公開どころか完成もしていません。

96ページの「ハリウッド・スペシャル・リポート」の中で”アメリカの月着陸アニメ”という見出しとともに次のように紹介しています。

・・・アメリカの月世界着陸にピントを合わせた「チャーリー・ブラウン物語」が完成近い。「ピーナッツ」など特異な作風でアメリカ中に大人気のコミック作家C・シュルツの原作もので、坊やチャーリー・ブラウンがアポロ宇宙船にのりこみ、相棒スヌーピーとファンタスティックな冒険を繰り返す・・・

製作中とはいえ、誰かにつかまされたとしか思えない書きぶりですな~。アポロというフレーズが出てきていますから、やはりアポロ10号とごっちゃになっているような…。

もう一つは、1970年の6月下旬号です。アメリカではもう公開済みの段階ですね。131ページの「ワールド・リポート」で”当りに当った米アニメ大作”という見出しとともに紹介されています。

・・・このアニメは主人公チャーリー・ブラウンが愛犬スヌーピーをつれて月世界旅行に出かけるわけだが、ちょうど復活祭週間にアポロ13号の事故がかさなって、人気に拍車をかけたわけ。おまけにロッド・マックェンの新曲二曲がヒット・パレードで急上昇中・・・

さすがに公開済みの映画ですからコレはちょっと。文責が同一人物かどうかは定かではありませんが、公開前に仕込んだ”チャーリー・ブラウンとスヌーピーが宇宙冒険をする映画”だというのをまだ信じていて、更にアポロ13号のことも新たに吹き込まれているという悲惨な状況に陥っています。メディアの人間として如何なものでしょうか。ロッド・マッケンについても触れていますが、音楽だったらラジオでも聴けるわけですから、ちょっと聴いてみれば絶対に違和感を持つと思うんですがね。これも情報だけで聴いてはいないんでしょうな。

先に書いた大伴昌司の記事がSFマガジン誌の1970年10月号ですから、じゃあ氏はこのキネ旬の記事を鵜吞みにして書いたのか?というとそうでもないようで、氏は”ディズニーとちがって残酷で反道徳的なブラウン坊やの登場は大きな反響を巻き起こすだろう”などとキネ旬の記事にはないことも書いたりしているわけですから、それぞれが別ルートでガセネタをつかまされたのではないかと思えます。

一体どこの誰がそんなガセを仕込んだんでしょう??。わざとガセをつかましたのか。それとも本当にピーナッツとアポロ10号がごっちゃになってしまった只のアホウなのか。

ともかく、ピーナッツが国内で浸透していないが故の珍事だったということは揺るがない事実だと思います。

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2025.02.28

松島トモ子主演映画が4月に公開

3代目サリー・ブラウン声優でもあります松島トモ子主演の映画「松島トモ子 サメ遊戯」が4月に公開されるとのことです。監督はバカ映画の川崎実氏。

 

令和というのは何が起こるかわかりませんな。絶対にくだらない映画ですが、松島トモ子さんのことは応援してます。

キャリアは長いですがまだ70代、これからも頑張ってほしいものです。

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2025.02.16

「スヌーピーとチャーリー」の評判と、ピーナッツのペーパーバックの売れ行き

棚を整理していたら、キネマ旬報の1972年9月下旬号が2冊出てきました。間違えて買っていたようですが、今まで気が付きませんでした。

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この号では、「スヌーピーとチャーリー」が公開直前ということで結構紙面を割いて特集を組んでいます。

まず、口絵の方で1972年当時のピーナッツの状況を説明していますが、これによりますと『世界中で千もの新聞に連載』『読者は九千万人』『単行本は三千万部』『シャツやカードは年間三千万ドル』という大産業に発達していると書かれています。

日本での状況については、『早くから輸入され、一部で熱狂的な支持を生み、単行本の数も、現在では百万部を超えるに至った』と書かれています。これが本当でしたら結構なことですよ。ピーナツブックスは1969年刊行ですから3年間で100万部突破ということになります。

しかし別項では黒井和夫(和男?)氏が、まあまあの否定的な意見を書いています。曰く『アメリカでは絶対の人気の漫画だが、日本ではまだまだ浸透度は少ない。一部に熱狂的なファンがいることも確かだが、このヘんから拡がりを求めて、どの程度まで興行に結びつくか興味深いところだ。
スバル座という小劇場でのロードショウなので、それなりの成績となろうが、そんなにロングにはなりっこない。それよりもアニメーション・ブームのきっかけとなるくらいのオヤッと思わせるだけの出足の良さを期待したい。むしろその方が狙いだといえないだろうか』とのことです。

後半の『アニメーション・ブーム』というのは、この後に控えている「シャーロットの贈り物」や「フリッツ・ザ・キャット」などのことを指していると思われますが、ともかく厳しい。ピーナツブックスの100万部は意に介していない様子です。

ところがフタを開けてみればスバル座の新記録となる大ヒットで、1976年のリバイバルでは更に記録を更新します。一部の熱狂的なファンと、ぬいぐるみなどを愛好していたファンの存在を侮っていたということになりますかね。そういえば、口絵もこの黒井氏も、ぬいぐるみのヒットについては触れていませんが、男性ライター故か眼中になかったのか、それともコミック・ファンのパワーがそれだけ強かったのか、でしょうな。

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で、口絵で書かれていた『単行本は三千万部』というヤツですが、別の書籍にそれを裏付けるような記述があります。

「定本庄司浅水著作集第5巻」所収の『ベストセラーズ』という章で、『最近頭角をあらわしてきているノンフィクション作家』ということでシュルツさんに触れています。

これによりますと、『「スヌーピーがやってくる」が390万部、「善きオリバー、スヌーピー」が365万部、「スヌーピー、あなたのために」が320万部、その他ペーパーバックでないものも含めて18点(1973年刊行のみ)の総部数が5197万部(平均288万部)であり、2年間の記録と考えると驚くほかない』とあります。

それぞれ執筆された年から考えますと、1971年度で約3000万部だった売り上げが、1975年には5197万部まで増えているということになります。

さすがに日本の100万部なんていうのは目じゃないですな。

それはそれとして、アメリカで刊行されているペーパーバックなのにタイトルが日本語になっているところが気になりますが、昔は海外の書籍や映画などを論文に書くときに、ローマ字表記でもカタカナ表記でもなく、このように和訳することが往々にしてあったようです。

「スヌーピーがやってくる」は "Here Comes, Snoopy"、「善きオリバー、スヌーピー」は "Good ol' Snoopy"、「スヌーピー、あなたのために」は恐らく "Your Choice, Snoopy" だと思います。

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2025.02.15

大伴昌司のおかしなピーナッツ観

大伴昌司といいますと、我々世代は「怪獣画報」という本に大変お世話になっています。同書は「ウルトラマン」等の怪獣にリアリティを持たせることに貢献し、当時の子供たちから絶大な支持を得ていました。現天皇陛下が読んでいたことは有名です。

また氏はSF作家クラブの事務局長をするなど日本のSF界への貢献も大きく、著作・研究書のいくつかは現在でも一定の評価を得ているものがあります。

とはいえ、『ゼットンの吐く火の玉は1兆度』などといいかげんなことを書いたり、情報が先走り過ぎて内容に間違いがあったりと、問題もあったりはします。まあ前者については、故に子供は「すげえ」と感心しましたし、後者については『宇宙人ゾーフィ』という誤りを庵野秀明が「シン・ウルトラマン」で公式にしてしまった例もあり、良かれ悪しかれ、という感じですかね。

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そんな大伴昌司ですが、SFマガジン誌1970年10月号の連載コラム「トータル・スコープ」で、ピーナッツについて中々に先走った事を書いています。内容は、映画 "A Boy-Named Charley Brown"(綴りの通り掲載)についてなんですが、そもそもが何でSF雑誌で?ですよね。

氏によると、同映画の内容は『エキセントリックな現代っ子チャーリー・ブラウン坊やとバカ犬スヌーピーがオンボロのロケットに乗って月へ行き奇想天外な月探検をしてくる物語(中略)ディズニーとちがって残酷で反道徳的なブラウン坊やの登場は大きな反響を巻き起こすだろう』というものらしいです。

このコラムが書かれたのはアメリカでの劇場公開の翌年で、日本公開の2年前ではありますが。う~ん…、この人は一体何を観てきたのでしょうか…って観てませんよね、絶対に。書くにあたっては元ネタがあったはずですが、ワタシにはピーナッツとアポロ10号とフリッツ・ザ・キャットが頭の中でごっちゃになったように思えますな。

大伴昌司は「スヌーピーとチャーリー」公開の翌年(1973年)に36歳の若さで夭逝されていますが、果たして劇場に足を運んだのでしょうか。また、これを読んで映画に興味を持ったSFファンがいたとしたら、それはそれでお気の毒です。

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2025.02.13

第11代目チャーリー・ブラウン声優の下條アトム氏逝去

俳優の下條アトム氏が逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。

個人的に思い入れのある役は、NHKの「新・坊ちゃん」の野だいこです。普段はイヤな奴なんですが、ロンドンに行きそびれた回はちょっとかわいそうでした(うらなりを貶めたので自業自得というか、でもどっちへ転んでも難しかったか)。しかし、ウィキペディアの下條アトムのページの出演作一覧には何故か「新・坊ちゃん」がありません。ゲスト出演の多かった70年代において数少ないレギュラー出演だったのに…。

あと、声優としては何といっても「48時間」のエディ・マーフィーですかね。公開当時この映画は仲間内で大絶賛だったので、テレビ放送は勿論観ました。正直個人的には何でエディ・マーフィーが下條アトムなの?と思いましたが今日では評判がいいみたいですね。

「今夜は最高!」で鉄腕アトムの扮装(顔も塗りたくって)をして「アトムです!」と叫んでいたのは爆笑しました。確かにアトムでした。

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で、チャーリー・ブラウンなんですが、2003年12月29日のNHK-BSの"冬休みBSアニメ特選"枠で「スヌーピーとチャーリー・ブラウン ヨーロッパの旅」の下條=チャーリーの吹き替え版が突然放送され、ワタシは大層驚きました。

というのも、1993年にビデオが発売された「チャーリー・ブラウン なぜなんだい?」以降、ピーナッツの吹き替えは子役によるものが主流になっていたからです。

確かに劇場版アニメについては子役による再吹き替えは行われず、2000年以降もカートゥーン・ネットワークなどでは大人の吹き替え版が放送されていました。しかし、だからといって2003年に新規の大人の吹き替え版をわざわざ作るでしょうか?

下條アトム氏が悪いと言っているわけではありませんので誤解なきよう。

推測ですが、NHKが「スヌーピーとチャーリー・ブラウン ヨーロッパの旅」を放送したいと思ったものの、権利がカートゥーン・ネットワークに移ってしまっていたので新規に吹き替えを録音した、配役については劇場版アニメは大人が吹き替えているという慣例(?)に従い、今回も大人で行った…といったようなところではないでしょうか。

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ところで、ワタシは下條アトム氏が使用していたと思しき脚本を持っています。

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表紙に記名があります。

これが正真正銘の下條アトム氏のサインなのか、落書きっぽく適当に書いただけなのかはわかりません。

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チャーリー・ブラウンのセリフのところにマークがしてありますので、ご本人のもので間違いないと思います。大事にしてます。

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