2024年私的ピーナッツ10大ニュース
2024年も約12時間したら終わりですな~。
今年は個人的には厄年かと思えるほど小さいトラブルが絶えませんでした。特に小銭を稼ぐというか節約しようとして裏目に出てしまうなんて事が本当に多くてがっかりですよ。来年はいいことが多いと願いたいです。
さて、今年のピーナッツはどうだったんでしょうか(あくまで私的な事柄のランキングです)。
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1位:谷川俊太郎死去
12月に入ってきたこのニュースが一番の衝撃ではないでしょうか。私事ですが、翻訳をしていたのが谷川さんであり、そしてあのようなダイアローグでなかったとしたら、ここまでこのコミックに惹かれることは無かったと思います。それほどのインパクトでした。
谷川さんは1979年に一度翻訳を降板すると宣言していたんですが、1980年に角川から刊行が再開した時にはしれっと復活していました。最近思っているのは、谷川さんと鶴書房の間に何か確執が生じ、それが降板宣言にまでなったんではないか、ということです。想像ですがそうであれば、角川で復活したことも合理的です。
逆に、鶴書房が倒産せずに月刊SNOOPYが継続していたら谷川さんは予定通り降板して50年の連載のうちの最初の28年分の翻訳者に留まっていたわけで、これはもう運命としか言いようがありません。
そういえば、谷川さんは生前フランチャイジーの集まりに行くと原作書籍関係者は肩身が狭かったと語っていましたね。
ご冥福をお祈りいたします。
2位:ヴィンス・ガラルディが手掛けたTVスペシャルのサントラ盤が2枚発売になる
2023年は1枚、今年は2枚発売されました。個人的には夢のような気分です。特に "It Was A Short Summer, C.B." のクロージング・テーマの完奏ヴァージョンが聴けたのはン十年分の夢がかなったと言っても過言ではありません。
残念なのは、ここ日本に於いては公式サイトもお買い物スヌーピーもブラウンズストアもその他諸々販売店・販売サイトも完全に黙殺しているところです。この国にもTVスペシャルが好きでガラルディの音楽に魅せられた人は多数いると思います。そういう方々に果たして届いているのかどうか。公式と名の付くところはもうちょっと考えていただきたいものです。
3位:Apple TV+ にて新作アニメ「おかえり、フランクリン」が配信される
Apple TV+ の新作アニメ・シリーズ(所謂「スヌーピー・プレゼンツ」シリーズ)は良作揃いで、ワタシは基本的に大好きです。
悩み落ち込むルーシーや、ゴルフに造詣が深いマーシーなど、原作とはちょっと違う性格設定になっていますので無問題ではないんですが、それを補って余りあるストーリー・テリングがあるので良作たり得ていたんだと思います。
しかし今作はちょっと首をかしげたくなるような内容でした。
”父親の仕事の都合で転校を余儀なくされてきた少年が遂に親友を得て町に受け入れられた”、というストーリーは良かったんですが、”父親がベトナムに従軍している”という原作の設定を”軍人の父親の転属に伴って転校を繰り返している”ことにしたために、いろいろと不都合が出てきました。
まず、チャーリー・ブラウンたちが住んでいる町が「基地のある町」になってしまいました。このような舞台の具体化はあまり良くないのではないかとワタシは思います。また、基地のある町であればフランクリン同様軍人の子息が学校にもたくさんいるはずですので、何故そのコミュニティに入らず孤独になろうとしているのかという疑問も出てきました。
フランクリンのアームストロング姓のモデルであるロブ・アームストロングをスタッフに入れたり、フランクリンに「この町は多様性が足りない」と言わせたり、わざわざ黒人歴史月間に配信したりと、ちょっと政治的なにおいも感じさせたのもワタシ的にはマイナスでした。
それに輪をかけて残念だったのが日本語吹き替えです。これまでの新作はみな女の子が主人公で、優等生のフランクリンはそれなりのセリフをしゃべるだけで済んでいました。しかし今作は性格に深みがあるキャラになっていたので演技力が必要とされましたが、現声優ではちょっと不充分だったかな、と思えました。こう書くとキツイですが、「スヌーピー宇宙への道」の時の声優だったら良かったと思いました。
ダイアローグもよろしくなく、子供っぽい言い回しが多くて作品の性質に合っていませんでした。カートゥーンネットワーク作品などのような生き生きしたところもなく、谷川俊太郎訳のように惹かれるところもありませんでした。視聴するなら英語音声がおすすめです。
4位:Apple TV+ にて新シリーズ「スヌーピーのハッピーキャンプ」が配信される
アニメですともう一作、夏場に(といってもアメリカの夏休みに準じて6月ですが)「スヌーピーのハッピーキャンプ」というシリーズが配信されました。
内容はキャンプに参加するような子供向けのもので、アニメとタイアップしたキャンプの手引書も発売になっていましたね。8月には早くも来年のシーズン2が決定しました。
人間たちのストーリーには見るものがありましたが、スヌーピーのパートについては「スヌーピーのショータイム!」に見られたような "ヌケサク鳥たちが馬鹿なことをしてスヌーピーがキレる" というような展開が多くてちょっとう~ん、でした。
あと、これは誰も言及していないのですが、ナオミが明らかにブラックウォッシュされていました。何故だれもこれを話題にしないのかちょっと不思議でしたね。
5位:ピーナッツ関連の書籍、刊行される
ピーナッツは深い、癒しだ、哲学だ、という風潮は、1995年にツワルスキーが著した「いいことから始めよう 」が新潮社から刊行され、それに講談社が乗っかったところがスタートだったとワタシは分析していますが、これはもう覆せないほど完全に根付いてしまったようです。ワタシ的には残念なことです。
「13歳からのきみへ スヌーピーの自分らしく生きることば」は正にそういう本でした。ブルータスの6月1日号ではピーナッツをして「ワンフレーズの金字塔」とまで書かれてしまいました。これを「ヤレヤレ」と思わずなんとすればよいでしょうか。
アメリカではZ世代のピーナッツ・ファンが増えているといいます。シュルツさんが亡くなり、70年代辺りからの再掲載が新聞で始まったころに読み始めた世代だと思いますが、子供の頃に読んでいたピーナッツを読み返して別の解釈ができるようになり再びファンになる、というようなことのようです。日本で例えれば、何気なく歌っていた「アンパンマンのマーチ」の深さに大人になってから気づくとか、そんな感じですかね。
やはり子供のころから読んでいるという土壌があることが大切だと思います。大人相手に癒しや哲学として売り込み子供を置き去りにするという今のやり方では確実に先細っていくでしょう。
6位:年末恒例、河出書房新社から書籍刊行
「しあわせはあったかい子犬」と「クリスマスはいっしょの時間」の2冊が刊行されました。前者は何度目かの再販ですが、後者は本邦初登場であり、谷川俊太郎さんの遺作ということでもありましたので、NHKのニュースにも取り上げられていました。
谷川さんを亡くし、果たして来年以降の翻訳はどうなるのでしょうか。
コミックを引用した評論タイプの本の場合は、恐らくコミック部分については谷川さんの訳を使用するでしょう。そういう意味では「谷川俊太郎:訳」というクレジットは永久に不滅でです!と言えるかもしれません。
仮にKaBoomのグラフィックノヴェルのようなコミック本の翻訳となった場合、どのような方がこれを担当するのか。人選は河出書房新社の方にかかってくると思いますので、編集の方には吟味をお願いしたいところです。
7位:スヌーピーミュージアムには金輪際行かないと誓う
ワタシは元々2021年を最後にミュージアムには行っていませんでした。理由は企画展が2000円に見合わないと思ったからなんですが、全く行かないつもりだったわけではありませんでした。しかし館長がテレビで大嘘をこいたのでもう絶対行かないと決めました。アイツは許せません。
それにしても、近頃の企画展は企画に無理があるものが多いんじゃないでしょうかね。
ピーナッツというコミックには子供しか登場しないが故の「ファミリーが描けない」という致命的な欠陥があるのです。
そのため、食がテーマの「きみの大好物はなに?」では団欒である夕食が全く扱えていません。「旅するピーナッツ。」では旅ではないサマーキャンプや海水浴で水増しをしていました。チャーリー・ブラウンの家族旅行にしてもペパミント・パティの父とのフランス旅行にしても、話の中心になるのは残された者たちについてでしたし、そもそも旅行嫌いの漫画家の展示会で旅をテーマにしてはイカンということですな。「ホリデー」では謳い文句こそ”ピーナッツを通じてアメリカ文化を…”でしたが、家族こそが重要である感謝祭はもちろんイースターについてもアメリカ文化を知るには程遠い内容でしたね。少なくとも感謝祭をテーマにするならTVスペシャルの原画を展示した方がまだ良かったと思います。
企画はもっと熟考した方がいいでしょうな。
8位:ピーナッツ連載開始75周年祭が始まる
5年ごとの周年祭を前後合わせて足掛け3年やることになりますので、周年祭の期間が2年9か月となり、祝っていない期間の方が短くなってしまうという計算になります。何だかすごいですよね。
9位:ピーナッツ声優、堀絢子さん、田中敦子さん死去
お二方とも映画版の声優で、それぞれクララ役、女教師役、と脇役を担当されていました。ご冥福をお祈りいたします。今年はメインキャラ声優の訃報はありませんでしたね。
10位:ファン歴50年を迎え過去を振り返る
拙ブログにて自分とピーナッツについての歴史を綴ったりしました。過去を振り返ったことにより、何故こんなにピーナッツに惹かれるのかということを改めて考えるいいきっかけになりました。拙サイト LOCAL CACTUS CLUB を移転リニューアルする際には書き直して掲示したいと思っています。来年のいつ頃になりますかね。
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以上、良いお年を。
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