9月7日から開催しているスヌーピーミュージアムの「ホリデー」展の図録をようやく入手しました。
巻末の原亜樹子さんのページを読んでハロウィンが休日になっていないことを知りました。
休日じゃなかったんだ。…てことは、「ホリデー」というテーマなのにハロウィンとヴァレンタインという平日が2つも紛れ込んでいるわけで、前回の「旅するピーナッツ」展並みに厳しい内容になっているわけですな。
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以下、図録の感想ですが、同時に企画展の感想も兼ねてますかねという感じで。
最初は、ハロウィン。
ほとんどがカボチャ大王ネタでした。これでアメリカの休日文化を伝えるにはちょっと厳しい内容ですかね。「お菓子をくれるかいたずらするか」を描いたストリップも沢山あるわけですから、何はなくともこういうのは展示するべきだったのでは?
そういえば、初めてピーナツ・ブックスで「お菓子をくれるかいたずらするか」を読んだ時は、何だこりゃ、と思ったものです。
で、ペパミント・パティが大王にプレゼントをお願いしてライナスに激怒されるエピソードを採用していますが、例のごとく最後のオチが無くて残念でした。アダムとイブよろしくプレゼントというリンゴを食べてカボチャ畑を追放されるところまでがあって成り立っていると思うんですがね~。
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次は、サンクスギビング。
う~ん。ウッドストックのネタばかりで、感謝祭が何なのかというのは全く伝わりませんな。”家族を描かない”ピーナッツを使って”家族で過ごす日”を紹介するというのは土台無理があるんですな。むしろアニメ「チャーリー・ブラウンの感謝祭」を紹介した方がナンボかマシです。
参考資料でメイシーズのパレードの写真と説明があるのは良かったんですが、紹介されている写真がスヌーピーばかりなのが残念。動画で観たことがありますが、チャーリー・ブラウンが来ると "Charlie Brown! Charlie Brown!" ってシュプレヒコールがすごいんですよね。いかに彼が人気者なのかが窺い知れるもので、この辺も紹介してほしかったですな。
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その次は、クリスマス。
ストリップのチョイスは可もなく不可もなくという感じでしたが、ちょっと別のことを感じました。
スヌーピーが犬小屋の電飾のためにブラウン家の中のコンセントからコードを引っ張るんですが、スヌーピーの犬小屋だったら当然通電してますよね。80年代以降は犬小屋のマジックがどんどん消えて行ってしまってたんだな~ということを改めて思いました。
あと、巻末の原さんの文でジンジャーブレッドマンやジンジャーブレッドハウスに触れているのを読んでちょっと懐かしくなりました。ウチの娘たちは幼少時から英語スクールに通っていたので、こういうアメリカ式のクリスマスには些か馴染みがあったんですよね。
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その次は、ニューイヤー。
ニューイヤーといっても午前零時前後のパーティーがメインで、夜が明けた後は普通でお祭りな雰囲気は全然ありません。次の日は仕事ですしね。紹介されているストリップもそんな感じです。日本は逆に午前零時前後は厳かに過ごし、夜が明けたらお祭りですよね。「暴れん坊将軍」の正月回とかは明るくて好きだったな~。
ここですごいのは、1953年の日本の英字新聞に載った日本独自のストリップの紹介ですな。おそらく原画の展示ではないんでしょうが。あと、日本在住のアメリカ人(米軍やその家族など)は日本に居たが故にピーナッツが読めていなかったということに今更ながら気付かされました。
あと、ローズパレードのストリップ(1974年)にも触れてました。これはピーナツ・ブックスで読んでまして、当時全然意味が解らなかったことを思い出しました。
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その次は、バレンタイン・デー(本当はヴァレンタインと書きたい)
スヌーピーが自分に届いたヴァレンタイン・カードを読み上げるストリップ(1968年)、最初に読み上げるのがジョイスということについては注目すべきかもしれません。
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その次は、イースター。
イースターというのはその性質上ストリップは常にサンデー版なわけで、その為わずか8編しかないのですが、そのうち半分の4編を展示しているというのはすごいことなのかもしれません。
しかしこれもイースターが何なのか伝わりませんな。イースターというのはイースター・バニー(orビーグル)がタマゴを配る日ではないんですが…。
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最後は、母の日、父の日。
これは残念でした。
例の、ヴァイオレットがチャーリー・ブラウンにマウントを取ってくるヤツ、アレが展示できないのであればやる意味ありませんよ。というくらいあのストリップはマストじゃないでしょうか?これを見たくて読み進んでいたのに…。
あと、ストリップのチョイスが犬と鳥のものばかりというのも不満ですな。
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本家キュレーターのベンジャミン・L・クラーク氏がまた何かやらかしてやしないかと心配していましたが、今回は大きな間違いはなかったようです。よかったよかった(実は突っ込みたかった)。
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まあしかしアレですよね。このところ「食」「旅」「祝日」といったテーマで企画展をやったりしていますが、それによって子供しか登場しないが故に家族の日常が描けないという、ある意味ピーナッツの「弱点」が凄く露呈してしまった感があります。気にしていない人は多いでしょうけど。
結局、家族・家庭を描いたものが必要となった時は犬たちのストリップに頼らざるを得ず、それがまた展示をなんか歪なものにしているんですな。
ハナからこういう日常的なテーマは避けるべきだったんではないかな、と思います。今後はどのような企画展が登場するでしょうか(実は突っ込みたいだけ)。
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