ピーナッツのコミックとの再会:その3
私的50周年回顧ネタ。
「A Peanuts Book featuring Snoopy(以下「featuring Snoopy」)」は1992年11月に刊行された 11巻を最後に一旦刊行が途絶え、「全11巻BOX」が書店に置かれました。
少し遡って同年7月、パルコ出版から「スヌーピーはゴルフに夢中」という本が刊行されています。訳者は林えりかで、新刊刊行中の出版社とは別の会社から谷川俊太郎以外の訳者を使用した書籍が刊行されたことに多少驚きました。
この本は、"An Educated Slice" という洋書の翻訳本でゴルフ・ネタのアンソロジーになっています。コミックの他にゴルフ雑誌に描いたイラストも幾つか載っていてワン・テーマのアンソロジーとして中々楽しめましたが、このような原書がある本については別の訳者が訳すというものの走りとなりました。
また、1993年には「On Sundays スヌーピーののんきな日曜日」という本が角川書店から刊行されました。これは1981年から1982年のサンデー版を収録した本で、かつて刊行されていた「スヌーピー全集」全10巻の続きになっていました。しかしこの後も続刊するのかと思いきやこの1冊止まりで何とも中途半端なものになりました。
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2年後の1994年9月、待望の「featuring Snoopy」の12巻が刊行されました。一度は「全11巻BOX」が発売になり諦めていましたが再開されて安堵したものです。
この2年間に角川書店はお家騒動や薬物事件などがあり、社長が角川歴彦に交代しています。「featuring Snoopy」は先代春樹の企画であり一度は途絶えたものですから、そのまま放置でもよかったはずですが…。
ともかく、収録されるエピソードは1990年代になっていました(当時はシュルツさん最後の10年間などとわかるはずもなく…)。
この頃面白かったのは「バブーちゃん」発言の裏が描かれたヤツでしょうか。サリーが「バブーちゃん」発言をした後どこからともなく「僕は君のバブーちゃんじゃない!」という叫び声が聞こえてきますが、これをライナス側から描いたのです。ライナスは普通に日常を送っているときに突然虚空に向かって「僕は君のバブーちゃんじゃない!」と叫ぶわけです。これは面白かった。
チャーリー・ブラウンが夜中に眠れずに自問自答するシリーズも面白かったですね。
その他、コヨーテにおびえるライナスも面白かったですね。果たして本当にコヨーテがいたのか真相はわかりませんが、久々に想像力を掻き立てられるようなエピソードでした。
一方で、チャーリー・ブラウンがスヌーピーのために尽くそうとするネタが出てくるようになり、ちょっと変化を感じるようになりました。この辺はのちにピーナッツを友情物語として捉えたがる一派の格好のネタとなり、個人的にはあまり歓迎はできませんでした。
また、スクールバスが事故に逢うというストリップがあり、何か面白くなりそうだと期待しましたが、スヌーピーの弁護士が出てきてすぐに収束してしまいちょっとがっかりしました。昔のシュルツさんだったら、ここから話が広がっていったはずですが、もうそんなパワーは無いのかな~などと老いを感じたものです。
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この頃のワタシですが、実はピーナッツのコミックを読むことに些か疲れを感じるようになっていました。
「featuring Snoopy」はページ数が多く読むのに時間がかかるようになり、それなりに覚悟を持って挑まなかればならなくなりました。かつてのお手軽さは無くなったわけですね。また、吹き出しが英語になったという変化もありました。ワタシは日本語で読んでいましたので、ちょっと没入感が削がれるという弊害を感じていました。
しかし一番の原因は、シュルツさん自身のパワーダウンでした。往年の面白さはなくなり画の乱れも顕著になってきました。そして先に書きましたがチャーリー・ブラウンとスヌーピーの友情を強調するような話の台頭があり、ワタシの好きだったピーナッツがどこか遠くへ行ってしまうような、そんな寂しさも感じていました。
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