ピーナッツのコミックとの再会:その8
私的50周年回顧ネタ。
前回(ピーナッツのコミックとの再会:その7)、『日本の出版社には不信感を持ってしまっています』と書きましたが、中には情熱を持った編集者もいらっしゃいます。
2011年、それまでピーナッツ関連書籍を扱ってこなかった太田出版から2冊の書籍が刊行されました。
10月18日発売の「スヌーピー&暗い嵐の夜だった」と、翌2012年4月20日発売の「君にリンゴの果樹園を約束したおぼえはないね」です。
この2冊は「ピーナッツ全集別巻」に所収されていますので内容をご存じの方は多いと思いますが、傑作です。当時アメリカでは絶版となっており、日本でもほとんど知られていないものでした。
そしてこの2冊の書籍の出版にあたった編集者が、正真正銘の長年のピーナッツ・ファンだったのでした。
ワタシはこの方とはメールで直接やり取りをしていたので知っていたのですが、この方は出版にあたって版下を作るため自身の蔵書を泣く泣くバラバラにし、谷川俊太郎氏に翻訳とコメントを依頼し、更にジーン・シュルツのコメントも取り付けたのでした。正にファンとして編集者としての情熱の賜物だったのです。
内容は前半が原書のままで後半が翻訳版という作りになっていました。この構成も考え抜かれていて良かったと思いました。谷川俊太郎とジーン・シュルツのコメントも中々いい内容になっており、書籍の完成度を一段と高めていました。
そしてハヤカワ・ミステリを彷彿させるビニールカヴァーもまたいい味を出していました。2冊とも『小説家スヌーピー』をテーマにしたものだったので敢えてこのようにしたのだと思われます。拘り抜かれていましたね。
ワタシはこの本だけは本当に売れて欲しいと願いました。
しかし当時、拙ブログも拙サイトも落ちぶれていました。宣伝できるようなコミュニティもありませんでした。売り上げに貢献したかったのですが、そんな自惚れたことは考えられませんでした。公式サイトで大々的に宣伝してくれればよかったんですがそれもなく。公式サイトに掲示板があった頃が思い出し、あれば書いたのにな~と残念に思いました。
結果的にこれらの売り上げがどうだったのかはわかりません。果たして多くのピーナッツ・ファンに届いたのかどうか…。
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