ピーナッツ研究の第一人者・廣淵升彦さん、昨年亡くなられていた
ジャーナリストの廣淵升彦さんが昨年4月に亡くなられていたことを今知りました。今更ながらご冥福をお祈りいたします。
ピーナッツ研究の第一人者で、『スヌーピーたちのアメリカ』、『スヌーピーと仲間たちの心と時代』、『スヌーピーたちの言葉は泉のように』といった著書もあります。ピーナッツを読まずしてアメリカ人やアメリカ文化を理解することはできない、というスタンスの方でした。
1993年に刊行されたこの『スヌーピーたちのアメリカ』は最初に出た本ということでインパクトがありました。
何故チャーリー・ブラウンのような負け犬がアメリカ人に広く受け入れられているのか、という疑問はこの本で結構解けたと思います。特に80年代を通じて"郊外の広い家に住んでいて子供がたくさんいて夫婦仲が良くて仕事が順調で"という映画ばかりを観ていたこともありますが、アメリカ人は必ずしもそんな人ばかりではなく悩んでいたりコンプレックスがあったりと様々なんだな、と当たり前なことにも気づかされたり。
ワタシは2013年に渋谷で廣淵さんのピーナッツ講義のようなものに参加したことがあります。その3年前の2010年のTBSラジオ出演時はかなりハキハキと話されていたんですが、この時はちょっと印象が違っていて驚きました。
二次会で色々お話をさせていただきましたが、廣淵さんはやや翻訳に否定的で原書で読むべきというスタンスをお持ちのようでした。講義でも翻訳は一切使っていませんでしたね。著書にサインをいただき今でも大事に保存してあります。
・・・・・・
ワタシが廣淵さんの解釈で一番すごいと思ったのは、1950年10月2日のストリップ、つまり連載第1回についてです。
このストリップは一般的に「チャーリー・ブラウンを褒め称えるシャーミーが、彼がいなくなった途端に悪口を言う」という風に解釈されていますが、廣淵さんのは違っていました。
廣淵さんの解釈は、「シャーミーが一所懸命チャーリー・ブラウンのことを煽てているのに彼が無視して去って行ってしまったので、"アイツ大嫌い"と言う」というものでした。
確かにコマをよく見ますと、シャーミーの口の開け方でチャーリー・ブラウンに聞こえるように話していることが解ります。
これは目から鱗でしたね。多くのアメリカ人も気づいていないんじゃないでしょうか。
・・・・・・
廣淵さんのピーナッツ関連の著書は90年代のもので、2020年代のアメリカとピーナッツに関する分析というのも読んでみたかったと思います。
| 固定リンク
コメント