モーツァルトとピーナッツ
本日午前中に「Qさま」の再放送がありました。「本当にスゴいクラシック音楽家ランキングBEST10」というものでしたが、1位がベートーヴェンだったというのが割と嬉しかったりします。そう、ワタシはベートーヴェンが褒められると気分がイイです。
2位はモーツァルトでした。この番組では現役音大生が選んだベスト10ということだったんですが、一般の人が選んでいたら1位はモーツァルトだったかもしれませんなー。
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「モーツァルト音楽療法」という言葉がありまして、1990年代に「モーツァルトの音楽を聴かせた学生の方が聴かせない学生よりも高成績をとった」というような研究結果がネイチャー誌に載ったことが発端で、モーツァルト効果はかなりブームになりました。
今世紀に入ってからこの説は否定されましたが日本では今でも健在で、いまだに新しいCDが発売されたりしています。これは推奨する第一人者が医学博士でしかも兼ピアニストだったりするので権威があるからなんでしょうな。
CD全盛期の頃は、各社が挙って「頭がよくなるモーツァルト」的なタイトルのCDを発売していました。クラッシック・ファン以外の人が買ってくれるので業界としてはおいしかったでしょうな。
煽りを食らったのがベートーヴェンで、次から次へと旋律があふれ出るきらびやかなモーツァルトに対して、メロディアスでなく同じフレーズの繰り返しが多いベートーヴェンはずいぶん見下げられていたように思います。
そういう猫も杓子もモーツァルトという状況への反発か、音楽専門誌の人気投票では一時順位を下げていました(で、専門誌ではベートーヴェンが強いんですなこれが)。
「モーツァルトが好きです」と言って、「ああ、モーツァルトを聴くと頭が良くなるんですよね」なんて返されたら嫌になりますよね。ワタシも一時モーツァルトからは距離を置いていました。余談ですが、ワタシはモーツァルトにはあまり心を動かされません。晩年はいい曲がありますが。…でもベームの交響曲全集とかホグウッドの古楽器版全集とか持っていますしキライではないですよ。
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「モーツァルト音楽療法」ブームはCDの販路を広げるという意味では事の真偽を超えて非常に有効だったと思いますが、同じことがピーナッツにも起ってはいませんでしょうか?
奇しくも同じ1990年代にエイブラハム・ツワルスキーのピーナッツを題材にした心理分析本が翻訳され、ここからピーナッツに癒し効果があるような売り方が始まったように思います。
ブームの規模はモーツァルトの比ではありませんが、漫画読者以外への販路拡大にはなったんじゃないでしょうかね。で、日本で出版されるピーナッツ関連の書籍って、翻訳ものを除けば今でもこの路線のものばかりですよね。
音楽療法CDから遡ってモーツァルトを極めた人っているんでしょうかね。昔、ファンクラブみたいな団体の人が「モーツァルトを好きになるには」みたいな質問をされたとき、「同じような曲を沢山聴いても飽きない感性がなければ」みたいなことを答えていまして、この自虐的な姿勢はいいなと思ったものでした。本気で聴くと結構大変ですよ、モーツァルトは。
ピーナッツ然り、癒しを求めて読み始めた人のどれだけが本丸に辿り着いたのかが気になります。
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ちょっと無理やりピーナッツにこじつけた感じになってしまいました。
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