サリー役松島トモ子について考える
昨日は谷啓について書きましたので、松島トモ子についても少し。
松島トモ子はかつては天才子役と言われていました。キャリアが長いので意外な感じがしますがまだ79歳です。最盛期を知らない人にはミネラル麦茶のCMかライオンに嚙まれた人という認識でしょうけど、これすら通じない人も多くなってきたんじゃないでしょうかね。
松島トモ子は1975年からNHKのピーナッツ・アニメでサリー役を務めるようになりますが、実はその3年前に「マジンガーZ」のヒロイン弓さやか役でアニメ声優デビューをしています。
彼女の最盛期は1950年代までで60年代以降はあまり映画やテレビに出なくなっていましたが、70年代になって突然アニメでヒロイン役をすることになったわけです。しかしアニメが未完成で画のない画面に合わせて声をあてるというのが非常に難しかったらしく、すぐに降板を申し出て役を降りてしまいました。ちなみに後任は映画「スヌーピーとチャーリー」などでライナス役をやった松島みのりでした。
この「マジンガーZ降板劇」についてはブログにも書かれています。畑違いというのもあったのかもしれませんが、元天才子役でも声優の仕事というのをこなすのは難しかったんですな。
もうアニメはコリゴリだと思っていたはずの彼女が何故サリー役を受けたのか?これは不思議ではありますが、恐らく、「この作品は吹き替えなので画がありますから大丈夫です」的なことを言われたのではないでしょうかね。でなければ受けなかったのでは?。のちにやはり海外アニメの「マファルダ」を演ったのも同じ理由ではないでしょうか。
NHKのアニメの最初のサリー役は加藤みどりがサザエさんとは全然違う声を出して演じられていましたが、松島トモ子に交代したことによって確実にキャラが立つようになりました。この配役変更は成功だったと思います(加藤みどりのサリーも決して悪いわけではなく、今では放送できないセリフを叫ぶシーンがあったりして歴史には残ると思いますが)。
「チャーリー・ブラウンのヴァレンタイン」での迷セリフ「プロペラ帽だ~ヨーヨーだ」とか、「植樹祭」でのクライマックスのクラス発表とかは本当に松島トモ子にしか出せない味があってとてもよかったと思います。色々な人がサリーを吹き替えていますが、ワタシ的には今のApple TV+の子役と一位二位を争うくらいにハマっていており、イメージはピッタリだったと思います。
サリー役についてもブログに書いてほしいですな。リクエストしたら書いてくれるでしょうかね。
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追記
松島トモ子は永六輔と親交が深く(シゴかれていたそうです)ラジオにもよくゲスト出演していました。著名人や立場のある人が不祥事を起こして謝罪会見で涙を流してお詫びをする、というのが非常に多かった頃に、ゲストの彼女が子役時代には泣けと言われればいくらでも泣けた(天才と言われる所以)ことを振り返り、「私にとっては涙なんて何の価値もない」と言っていたのがとても印象に残っています。
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