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2024.05.23

ピーナッツのコミックとの再会:その1

私的50周年回顧ネタ。

1979年、ピーナッツは書店からその姿を消しました。しかし、再会の機会は1980年に訪れました。

人はこの1年を短いと言うでしょうか?

今思い返しますと1年というのはほんの僅か(特に歳を取ると)なんですが、当時は体感的には3年くらいの長い空白に思えました。

ピーナッツの新作が読めないなんて、こんなことはあり得ない!

この失われた1年の間にピーナッツを読むという習慣が無くなり、ピーナッツから離れていった友人が数多いました。「おまえ、まだ読んでるの?」などと言われこともありました。

高校生ともなりますと色々な事があるわけで、ピーナッツばかりにかまけてはいられません。ワタシも多かれ少なかれそうでした。だからそれも解るんですが、それでも寂しいものでした。

アニメにしても東京12チャンネルの「まんがスヌーピー」が1978年3月に終了したのを最後に放送が途絶え、昔ながらのホリデーシーズンの楽しみも無くなっていました。

まさに空白の期間でした。

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ともかく1980年。

そんな状況の中、角川書店がピーナツブックスをスヌーピーブックスと改称して復刻し、更に新刊も刊行し続けるという発表を聞いた時は本当に吉報だと思いました。

夥しい数の宣材が書店に投下され、角川書店の本気度が伝わる思いがしました。

角川スヌーピーブックスの新刊の特徴は、何といっても日付順に掲載しているというところでした。残念ながらサンデー版は未収録となりましたが、後継シリーズの「A Peanuts Book featuring Snoopy」を含めると1978年から2000年までのコミックがすべて日付順で読むことができました。これは本当に角川書店の功績で、こういう刊行の仕方は本場アメリカでも無かったのではないでしょうか。

角川書店が撒いた宣材にはスヌーピーブックスの他に「スヌーピー全集」「季刊スヌーピーマガジン」というのも載っていました。

20240523

「スヌーピー全集」は70年代のサンデー版を纏めた本として10巻刊行されました。スヌーピーブックスがサンデー版未収録だったので、80年代以降分もこちらでフォローされるのかと思いましたがそうはなりませんでした。何故か1993年に「スヌーピーののんきな日曜日」というタイトルで1981・1982年のサンデー版を収録した本が刊行されましたがこれも突発的なもので、80年代以降のサンデー版が纏めて刊行されたのはシュルツさんの死後でした。

「季刊スヌーピーマガジン」は刊行されていれば月刊スヌーピーの再来になったのかもしれませんが、こちらは何故か告知だけにとどまりました。なんとも残念です。

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書店では、当初こそ新刊のみならず既刊分も大量に在庫していましたが、やがて姿を消し中々見つけられないようになっていきました。角川書店のやる気とは裏腹でとても残念でした。

不振の要因は色々考えられます。まず、ピーナツブックスを既に持っている人はスヌーピーブックスの既刊を買いません。そして、新規取り込みについても既刊60巻は重すぎたのではないでしょうか。また、全巻の表紙が70年代以降の可愛いスヌーピーの絵柄に差し替えられていましたが、順番に読もうと1巻に手を出した人は違和感を持ったのではないでしょうか。所謂表紙詐欺ですね。

そのような状況でしたが、ワタシは独自の購入ルートを確立していました。それは、渋谷の三省堂書店で購入するというものでした。

三省堂書店は、スヌーピーブックスの在庫を持っていたわけではありませんでしたが、新刊は必ず入荷しており、しかもそれをかならず会計カウンターの横に平積みしていたのでした(どこに品出ししていいのか判断が付かなかったのかもしれません)。

ワタシは新刊の発売日を把握していたわけではありませんでしたが、そろそろ頃合いかな?と思った時に三省堂書店に行くと、必ずカウンター横に置いてあったのでした。

このような雑(?)な購入方法だったのにもかかわらず、最終の86巻まで1巻も欠かさずに購入することができました。ひとえに三省堂書店様のおかげです。

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残念ながら角川スヌーピーブックスも1987年に全86巻を以って刊行終了となりました。7年間で26巻の新刊を刊行したので頑張った方だと思います。

この7年間に、ユードラ、クライベイビー・ブービー、ジョー・リッチキッド、マーブルス、リディア、メイナードが初登場しました。ビーグルスカウトにハリエットが加わり、マーシーがチャーリー・ブラウンのことをチャールズと呼ぶようになり感情に変化が起こりました。

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角川スヌーピーブックスは、3年後に「A Peanuts Book featuring Snoopy」として復活しますが、実は1979年の空白の1年間が結構根深いものだったと思い知ることになります。

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