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2024年3月

2024.03.31

「旅するピーナッツ。」の図録を読む

スヌーピー・ミュージアムの企画展「旅するピーナッツ。」の図録を買いました(楽天ブックス)。

最近はミュージアムに行かなくても図録が買えるので重宝しますね。前にも書きましたが、今のワタシにとっては2000円払ってまで観に行きたいところではないんですな、あのミュージアムは。なので図録だけで充分なのです。

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一応、旅に関するストリップを集めた展示にしたかったようですが…ちょっとこれは違うんでは?というのもありますな。ピーナッツに旅行関係のストリップが少ないということが露呈してしまってます。

最初の紹介は、ペパミント・パティのフランス旅行。
何故彼女はフランス旅行に行ったのか、それをマーシーがどう思っているのか、という部分を見事にカットしたストリップのチョイスには脱帽します。ここは説明すると長くなるからでしょうか?

次は、スヌーピーがカンサスシティに行く話。
何故かタイトルは「スヌーピー、ウィンブルドンへゆく」となっていますが、勿論ウィンブルドンには行きません。ここでも、何故ウィンブルドンに行くついでにカンサスシティに寄ろうとしたのか、という部分が見事にカットされており再び脱帽です。ここも説明が長くなりますからね。

その次は、サマー・キャンプ。
そもそもキャンプは旅行に含まれるのか?という気もしますが、これは両論ありますのでまあいいでしょう。ユードラが参加したエピソードをメインに編纂されてますな。

その次が、ビーチでのストリップ集なんですが、これはもう絶対旅じゃないでしょう!
映画「スヌーピーの大冒険」ではスヌーピーは徒歩で日帰りでビーチに行っていましたよ。
あと、本家キュレーターのクラーク氏の説明文が、「ソノマ郡のビーチは熱帯ではありませんが」とか「ピーナッツに描かれるビーチに椰子の木がほとんど登場しないのは、恐らくシュルツの頭に思い浮かぶのが、温帯にあるこのビーチのせいなのでしょう」とかで、この人はキュレーター以前に頭がおかしい人なんじゃないでしょうか。
あのさー、アメリカが舞台なんですから熱帯のビーチなんか思い浮かべないですよね、普通。

次。スヌーピーがニードルスに行く話。
ニードルス・ネタでこのエピソードを選んだのは何故?。なんでスパイクがふくよかになっているんだとか初見に人には解らないんじゃないでしょうかね。

で、キャンプにおけるマシュマロについての解説のあと、ビーグルスカウトの旅のストリップがまとめられていますが、これが実は今回の展示にはない第1回企画展のものの再録だそうで、これが実に70ページくらいあります。凄い水増しだ。

いやー、やっぱり旅行ネタは少ないですね。これって企画倒れだったんでは?とりあえず、やはり行く価値は無かったか…。

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ところで、「るるぶ&more」というサイトにスヌーピー・ミュージアムの記事があったんですが、そこで企画展の紹介で

「旅行は大好きです。お昼の12時に戻ってこられるなら」と話していたというシュルツ氏が描く、スヌーピーたちの旅のひとコマが集められています。

と書かれていました。シュルツさんのこの発言、「旅が嫌いだ」と言っているのが筆者に伝わってないような…。

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2024.03.30

ピーナッツのレコードの日々:その8

私的50周年回顧ネタ。

いつしかワタシはピーナッツの音盤コレクターになっていました。

サントラ盤やトリビュート・アルバムはもちろん、ヴィンス・ガラルディのアルバムもすべて買いました。それだけでは飽き足らず、ジャケットにピーナッツの図柄を使っている企画ものや、ガラルディの曲のカヴァーを収録しているアルバムや、ピーナッツに因んだ歌や曲を収録しているアルバムなどを探しまくり、あらゆるものを買っていました。

例えばこんな感じです。

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これはファミリー映画テーマ曲集です。70年代は「ファミリー映画」なんてカテゴリーがあったんですよね。ジャケットの「がんばれ!ベアーズ」も懐かしいです(余談ですが、「がんばれ!スヌーピー」の邦題の元ネタは「がんばれ!ベアーズ」だと思います)。

で、裏ジャケですが、

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このように「スヌーピーとチャーリー」の図柄が使われているんですが、これは「買い」なわけです。「スヌーピーとチャーリー」「スヌーピーの大冒険」の主題歌を収録していますが、サントラもシングル盤も持っているのでいらないと言えばいらないのです。でも買うのです。

その他、このようなものも。

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フォーク・シンガー"チャーリー・ブラウン"のアルバム「Portrait Of A Glad Man(1971)」です。

このレコードは茨城県石岡市に住んでいる頃に買いました(余談ですが、石岡はワタシが住んでいた頃、県民アンケート「最も住みたくない町」のワースト1になっていました。今はどうなんでしょう?でも石岡にはロックボトムという良い中古レコード屋があったので、生活に潤いがありました)。

話しを戻しますが、まあこういうのも買ってしまうわけです。考えてみればチャーリー・ブラウンというのもありふれた名前ですよね。そりゃ同姓同名の人もいるわけです。この人の他にももう一人黒人歌手でチャーリー・ブラウンというのがいますし、ちょっと違いますがチャールズ・ブラウンというブルース・シンガーは有名ですよね。

この手の買い物は今は大分控えていますが、いい物もあったりするので侮れないのです。

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2024.03.29

日本におけるヴィンス・ガラルディ

昨日の記事の補足として…

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ヴィンス・ガラルディの評価というのは、世界レベルでも「ハッピー・アニバーサリー、チャーリー・ブラウン!」のリリース以降に高まりましたが、一応グラミー賞アーティストですからアメリカではそれ以前から知名度があったと思います。対して日本では50~60年代の現役時代はほとんど知られていない存在でした。来日したことも無く、サンフランシスコを活動拠点としていたローカルなピアニストだったので仕方が無かったのかもしれませんが。

それでも、コアなジャズ・ファンの間では知る人ぞ知るというような存在ではあったようです。

ヴィンス・ガラルディは1本立ちする前はカル・ジェイダーのグループに参加していましたが、このカル・ジェイダーは日本でも結構人気があったようで、ここでヴィンス・ガラルディに注目した人も少なからずいたようです。これが50年代の話しで、60年代になりますと、「Cast Your Fate To The Wind」のグラミー賞受賞などで話題になったようです。

かつての会社の先輩で「ジャズだったらこの人」と言われるような人がいましたが、「最近、ヴィンス・ガラルディとか聴いたりしているんですよ」と言うと「おー、サンフランシスコのピアニストね」と返ってきたりして、やはり知っている人は知っているという感じでした。

あと、一応専門誌「スイングジャーナル」に訃報が載ったんですよね。

たまたま古本屋で「スイングジャーナル」の1976年の号を見つけて、ひょっとしてと思ってページをめくってみると、訃報欄にしっかりとヴィンス・ガラルディのことが書かれていました。そこでもやはりサンフランシスコのピアニストで「Cast Your Fate To The Wind」で知られる、というようなことが書かれていました。

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ジャズ評論家の中には「ヴィンス・ガラルディは日本では全く紹介されなかった」と断言していた人もいましたが、実は日本盤のレコードは発売になっていました。

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これがそのレコード「黒いオルフェ」です。ジャケットは日本独自のデザインに変更されています。

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「Cast Your Fate To The Wind」は「風に命を」という邦題が付けられています。

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2024.03.28

ピーナッツのレコードの日々:その7

私的50周年回顧ネタ。

ピーナッツのアニメによってヴィンス・ガラルディというアーティストを知り、そして、ヴィンス・ガラルディからジャズの世界に足を踏み入れようとしていたワタシでした。

しかし、ジャズの敷居は中々に高かった…。

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ワタシは父親の影響もあり、音楽的ルーツはクラシックです。クラシック音楽というのは、緩急があったり強弱があったりするのが当たり前で、それに深く馴染んでしまっていたワタシは均等にリズムを刻む音楽は退屈に思えていたのです(…まあそんなワタシも後々クラフトワークや所謂クラウト・ロックのようないい意味で単調な音楽が好きになるのですから判らないものですが)。

そういう音楽でもメロディアスならイケたんですが、ジャズは中々そうはいきません。ジャズというのは、最初にテーマがあって、その後ソロを各楽器で回して、最後にまたテーマに戻る、といったような感じが大体です。最初のテーマだけならまだいいんですが、アドリブ・ソロになってくるともう何が良いのかわからなくて全然楽しめませんでした。

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ヴィンス・ガラルディのピーナッツ以外の音楽を聴こうと思って最初に買ったレコードは、1956年の「ヴィンス・ガラルディ・トリオ」と、1957年のカル・ジェイダー・カルテットの「ジャズ・アット・ザ・ブラックホーク」の2枚でしたが、これらは正にドジャズなレコードで、最初は全然楽しめませんでした。

こういう真剣に(?)ジャズをやっているレコードは、慣れ親しんでいたはずのヴィンス・ガラルディですら取っつき難いものでした。こういうのを聴くと、ピーナッツ・アニメ用の曲というのはジャズであってジャズではない、というのがよくわかります。考えてみれば、ピーナッツ用の曲は所謂ジャズのセオリーに立った曲出ないものが多いですからね。

それでも、随所にピーナッツっぽい雰囲気があったりするので、そういうのを頼りに楽しくなるまで頑張って聴いたものです。

その他、「ブルーノートの100枚」といった入門書を買い、図書館などを駆使して頑張ってジャズを聴き続けました。とにかくジャズのいいところを知りたい、楽しみたい、という思いでした。

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結論から言いますと、あまり頑張る必要はなかったようです。

そのうちに、流れてくる音楽に身を委ねる方法を知ったといいますか、自然と楽しめるようになりました。きっかけが何だったのかは自分でもよくわかりませんが、とにかくそうなったのです。「考えるな、感じるんだ」ということなんでしょうか?

クラシック好きが災いして遠回りになりましたが、今ではすっかりジャズ大好き人間になりました。

ただ、色々聴いて気付いたのは、「ヴィンス・ガラルディ・トリオ」というアルバムはジャズの中でもだいぶ渋い部類のもので、初心者が聴くものではなかったな、ということだったりします。

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2024.03.27

ピーナッツのレコード(CD)の日々:その6

私的50周年回顧ネタ。

1989年11月の話の続きです。

いそいそと仕事から帰り、早速「ハッピー・アニヴァーサリー、チャーリー・ブラウン!」のCDを聴くワタシ。

…ヴィンス・ガラルディのメロディが絶妙にGRPサウンドに染められていて、中々にいい仕上がりになっていました。

アルバムの冒頭を飾るのが、デヴィッド・ベノワによる「ライナス・アンド・ルーシー」。彼はこの数年前に「This side up」というアルバムをヒットさせていましたが、そのアルバムにも収録されていました。

「ジョー・クール」や「リトル・バーディ」といったヴォーカル曲も収録され、ついでにタイトルも判明。「ジョー・クール」の作詞が「フラッシュビーグル」でヴォーカルを取っていたデジリー・ゴイエットだったというのにも驚きました。

ミュージシャンはGRP以外の人も多数参加していて、とにかく賑やかな作品でした。

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しかし、ちょっと気になったのが、ヴィンス・ガラルディ以外の曲(デイヴ・グルーシン2曲、デイヴ・ブルーベック1曲)が収録されていた事でした。

こちらとしては、1曲でも多くガラルディの曲を聴きたいというのに、これはどういうことなんだ、と。

確かにグルーシンの曲なんかは、いかにもという感じでいい曲なんですが、なんかピーナッツらしくないというか、このアルバムのカラーにそぐわないというか、どうにも納得がいかずモヤモヤしました。

ライナーを読むと、ミニシリーズのために作曲された3曲とのこと。今なら「This is America,Charlie Brown」の事だと判りますが、当時は何のことやら?でした。この"ミニシリーズ"が何なのか、日本語の解説でも触れられておらず、まぁとにかく情報がなかったんでしょうね。

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このアルバムは色々な影響を残しました。

まず、ヴィンス・ガラルディ再評価はここから始まりました。このアルバム以降、クリスマス・アルバムに「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」が取り上げられる機会が増え、今ではすっかりスタンダード・ナンバーになりました。大御所メル・トーメをはじめ数多の大物シンガーがこの曲をカヴァーしています。「チャーリー・ブラウンのクリスマス」は今や最も売れたジャズ・アルバムになりました。

また、このアルバムのヒットにより、"懐かしのアニメの曲を大物アーティストがカヴァーする"という企画ものが一時流行しました。

GRPは「ガーフィールド」のアルバムを発売しましたし、ディズニーは「マッド・アバウト・ア・マウス」というアルバムを発売してビリー・ジョエルの「星に願いを」がヒットしました。「ガンビー」のアルバムも出てましたね。

そして、デヴィッド・ベノワはこの後もピーナッツのアルバムをリリースし続け遂にはアニメのBGMを担当するようになりました。

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2024.03.18

ピーナッツのレコード(CD)の日々:その5

ちょっと間が空きましたが、私的50周年回顧ネタはまだ続く予定です。

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1989年。当時ワタシは音楽業界に身を置いており、CDのリリース情報を容易に入手することができたのですが、GRPレコードから「ハッピー・アニヴァーサリー、チャーリー・ブラウン&スヌーピー!("&スヌーピー"は邦題のみ)」というCDが発売になることを知り衝撃を受けました。

というのも、その当時の日本は角川のスヌーピー・ブックスが絶版になってから書籍は久しく発売されておらず、アニメのテレビ放送も無いという状況で、まさにピーナッツ冬の時代でした。

国内がそのような有様でしたので、まさかアメリカでこのようなCDが発売されるほど人気があるとは想像もできなかったのです。海外の情報がホイホイ入ってくる時代でもなく、まさに青天霹靂だったのです。

(余談ですが、1996年にNHKの衛星放送で久々にピーナッツのアニメが放送されることになったのですが、第1回放送の冒頭でMCが「スヌーピーは世界中ですごく人気のあるキャラクターなんですよ。みんなのお父さんお母さんは知っているかもしれません。」と言っていました。ピーナッツは一時期そのくらいマイナーだったのです。)

しかも発売がGRP。当時ワタシはデイヴ・グルーシンの「マイグレーション」というアルバムが気に入っていました(朝聴くと最高)。そのデイヴ・グルーシンが創設したGRPから発売されるのですから余計に期待が高まるというものです。かくして1989年11月、発売日にCDを購入したのでした。

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…続きます。

 

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