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2024年2月

2024.02.20

訂正

なぬびさんからツッコミが入りました。

2月17日の "スヌーピー・プレゼンツの新作「おかえり、フランクリン」を観る" におきまして、

チャーリー・ブラウンの父親は軍隊にいたことがあり、除隊して理髪店をしている、ということになっていました!「ヨーロッパの旅」では従軍していたのは祖父だったじゃないですか。

…と書きましたが、彼の父親は戦争に行ってました。

1968年8月1日のストリップで、チャーリー・ブラウンはフランクリンとの会話で父親のことを "He was in a war, too" と言ってました。これは見落としてました。

しかしチャーリー・ブラウン、サラッと言いますな。

それに続いて、"But I don't Know which one" 「どの戦争かは知らない」と言っており、父親は戦争に行ったことだけを伝えてそれ以上の詳しい話はしていないということですな。

彼の父親が参加した戦争はどれでしょう。年齢を考えると朝鮮戦争(1950-1953)ですかね。除隊して理髪店を始めてキャリア15年というところでしょうか。

・・・・・・

続く翌日の "「おかえり、フランクリン」を観る:その2" でも事実誤認がありました。

予告編のみの描写ですが、フランクリンはこれまでアメリカ国内だけでなく、フランス、イギリス、ハワイ州、日本などにも住んでいたようです。

…と書きましたが、本編にもありました。

いかんですな。

以上2点、訂正します。

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2024.02.18

「おかえり、フランクリン」を観る:その2

なんか書きたいことが出てきてしまいましたので続きです。

・・・・・・

①ソープボックスカー・レース(Soap Box Derby)

昨日は劇中で登場人物たちが行う「ソープボックスカー・レース(Soap Box Derby)」について全く触れませんでした。

このレース、調べてみたら日本にもNPO法人があって親しまれているようです。アメリカでは90年以上の歴史がある子供のためのイベントのようで、これをピーナッツで取り上げない手はないですな。

子供だけでなく大人もやってますね。そういえばレッドブル主催のものがTV-CMなどで宣伝してましたっけ。YouTubeにも色々と動画が上がってまして、くだらなくてイイです。

ただ、日本国内ではNPO法人をはじめ「ソープボックスダービー」のカタカナ表記が一般的のようですので、「ソープボックスカー・レース」と訳している日本語翻訳者はこの辺の取材を怠っているということになりますかね。

ところで、劇中でライナス&ピッグペン・チームの車体がボート型でゼッケンも3になっていましたが、これは「チキチキマシン猛レース」のドクターHのマジック3へのオマージュなんではないかな~と思いました。

②配信のタイミングについて。

前作「マーシー、あなたは特別」から半年というタイミングでの配信で、随分早いと思いましたが、どうやら「黒人歴史月間」に合わせたということらしいです。

「黒人歴史月間」というのは知りませんでしたが、元々はリンカーンの誕生日の2月12日がある週を「黒人歴史週間」としていたものを月間に格上げしたものだとか。2月12日の週の週末配信ですから、まさにドンピシャな配信だったわけです。

ただ、1つの人種に限った歴史を年間行事とすることの実用性や公平性に関して毎年議論が行なわれており、多くの人々は黒人の歴史が1ヶ月間特別視されること、英雄崇拝されることに疑問を呈しているそうです(wiki)。モーガン・フリーマンのような黒人からも反対意見があるようですな。

③フランクリンの祖父が果たして生きているのかどうか?

1日経ってちょっと整理できてきましたが、両親しか存在しないっぽい雰囲気でもあり、祖父の言葉をノートに纏めていることを考え併せますと、やはり故人と考えるのが自然かな~という気がしてきました。

これは想像ですが、ロブ・フランクリン氏の祖父は彼の少年時代には既に亡くなっていたのではないでしょうか。それを作品に反映させているのかもしれません。

しかしそうすると、フランクリンが引っ越してきたときに既に祖父は故人だったということになりますので、今後はチャーリー・ブラウンとのおじいちゃんトークに制限がかかってしまう可能性があります。

④基地のある町

原作では「父親は従軍していて不在」だったフランクリンですが、今作では「父親の転属の度に転居」していることになりました。

この変更により、ピーナッツの面々が住んでいる町は「基地のある町」ということになってしまいました。

簡素な住宅街というイメージだったんですが、それなりの都市部があるということですね。基地によっては弾道ミサイルがあったりしますし、急に物騒な感じがしてきました。

基地の規模にもよりますが、数千人から数万人の軍人とその家族が地域に住んでいることになります。そうすると、多数の軍人の子供たちが学校にいることになるわけで、フランクリンのような軍人の子供がポツンと現れるということはあり得ないんじゃないでしょうかね。

フランクリンは友達作りで苦心しますが、彼はまず軍のコミュニティで友人を作るべきだったんではないでしょうか。基地の外に住む軍人も一応基地のコミュニティには参加できるようですし、似た境遇の子供が多数いるわけですからその方がいいと思えます。

あと、友達作りの苦労は母親も同様のはずで、その土地々々に適応し多様な人たちと新たな関係を作らなければならないので大変ですよね。これは日本の転勤族の家族も一緒ですね。

といいますか、家族が苦労するんですから基地内に住めばいいのにと思ってしまいます。今のアメリカの基地ってシアターがあったりゲーム大会やダンスパーティがあったりとか結構娯楽が充実しているらしいですよ。

⑤父親の転職

そもそも軍隊に縛られていたから度重なる転居を余儀なくされていたのに、この町が気に入ったからと言って突然軍を辞めるというのもよく考えると変ですよね。

予告編のみの描写ですが、フランクリンはこれまでアメリカ国内だけでなく、フランス、イギリス、ハワイ州、日本などにも住んでいたようです。

国外にまで家族を連れまわすというのは大変なことです。まあアメリカ人は日本人の様に簡単に単身赴任というのを選択はしないのでしょうが、そんなに簡単に辞められるのだったら子供のためにももっと早く辞めていても良かったんではないでしょうかね。

まあ百歩譲って、息子がこれまでにない確固たる友情を結んでる様子を見て背中を押された、という見方もできますが…。

・・・・・・

今回はちょっと重箱の隅を楊枝でほじくるような内容になってしまいました。

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2024.02.17

スヌーピー・プレゼンツの新作「おかえり、フランクリン」を観る

昨日2月16日、Apple TV+でスヌーピー・プレゼンツの新作アニメ「おかえり、フランクリン」が配信され、早速昨日のうちに視聴しました。

本作は友情についての話しでした。ピーナッツの面々の町に引っ越してきたフランクリンがチャーリー・ブラウンとの友情を育み、また、みんなに受け入れられる(というのは変な表現?)までの話しになっています。以下、感想など。

①キャラクター設定について

フランクリンは比較的メイン寄りのキャラクターですが、実はその性格設定はあまり明確じゃないんですよね。

はっきりしているのは、とりあえず優等生っぽいこと、習い事をしていること、父親がベトナムに従軍していること、祖父の話をよくすること、このくらいでしょうか。

祖父の話をよくするのは、父親が従軍していて不在なので祖父との距離が近いということなのかもしれません。シュルツさんはベトナム従軍の設定を後々まで大事にしていて、連載末期のフランクリンが祖父の話をよくするということにしたのかもしれませんね。

と、ここまでは原作での話で、ともかく今回の作品のためにこの不十分なフランクリンの設定を深掘りしなければならなかったのですが、クレイグ・シュルツ氏は、アームストロング姓のモデルとなった黒人漫画家のロブ・アームストロングをチームに加えて彼の体験などをちりばめたようです。

出来上がったフランクリンの設定は、父親が軍人のため転居が多く、友達と深い付き合いがし辛いという悩みを抱えているというものでした。この辺はロブ氏のアイディアのようです。そして、祖父の言葉をまとめたノートを頼りに友達作りに励もうとします。

うーん。まあいいんですが、ワタシ的にはフランクリンにこういう人付き合いに悩むような内向的なキャラクターというのはちょっとどうなのかな~と思えました。何せ、人に話しかける前に祖父の言葉が書いてあるノートを参照するんですよ。これはイメージが崩れるといいますか…。

あと気になったのが、おじいちゃん子のくせに祖父との絡み(ポワポワ声との会話)は無いんですよね。ノートに祖父の金言が書いてあるだけなんですが、その設定のために祖父は既に故人で、祖父の遺した言葉を大事にしているかのような印象を受けてしまいます。これは良かったんでしょうかね。ノートではなく折々で祖父が助言をするという演出の方が良かったんではないでしょうか。

その代わり、父親は結構家にいるんですよね(軍人ってそんなに家にいるもんなんでしょうか?)。父親とは絡みがあります。でも近くにいる父親よりも祖父の言葉の方が大事っぽいんですよね。何だかよくわかりません。

ん?フランクリンのセリフの"Grampa always told me"って過去形なので本当に故人だったりして。そうだとしたらかなり早世ですね。

好きなミュージシャンは、スティービー・ワンダー、リトル・リチャード、ジェームズ・ブラウン、ジョン・コルトレーン。これはそういう時代設定ということなんでしょうかね。

あと、チャーリー・ブラウンの父親は軍隊にいたことがあり、除隊して理髪店をしている、ということになっていました!「ヨーロッパの旅」では従軍していたのは祖父だったじゃないですか。

②吹き替えについて

これまでのスヌーピー・プレゼンツ・シリーズは女の子メインの話ばかりで、今回初めて男の子がメインになったわけですが、そのメインの男の子の声優が二人とも演技に難があり相当辛い事になりました。

フランクリンはこれまでは生徒会長など優等生的な役柄が多かったので表面化してませんでしたが、今回は感情をぶつけたりするシーンも多く、今の子役にはそれをこなす演技力が備わっていないことが露呈してしまいました。

聡明な黒人少年のはずなのにたどたどしく喋るので違和感がある、と言いますか、端的に、黒人っぽくない、とも言えます(英語で観ると"Man!"と言っているシーンがあるので、やはりフランクリンも黒人だなーと思ったりしましたが)。

表情からすると本当はこういう喋り方じゃないんじゃないか?と違和感を覚えるシーンは英語で観直すと解決するんですが、要は演技が成っていないということですね。

前半のフランクリンが友達作りに苦心するシーン、英語だと彼の方が普通の少年であり、ピーナッツの面々がおかしいというのがわかりますが、吹き替えでは本当に人付き合いが苦手そうなキャラになってしまっています。喋るのも苦手そうな。

ニカっと笑ってジョークを言うシーンでも英語では自然なんですが、吹き替えではただのジョーク下手の滑りキャラになってしまっています。

ジェームズ・ブラウンの話になった時の、「同じブラウン姓だけど親戚?」というシーンも、英語だとジョークで言っているというのがちゃんと伝わるんですが、吹き替えだと、え?本気で言ってる?という感じに聞こえてしまいます。

都度都度祖父の言葉のノートを見返す演出も相まって、コイツ本当にコミュ障なんでは?と思ってしまいます。

おしまいの方の、フリーダ、パティ、ヴァイオレットの3人が喋っているシーンなど、とてもさりげない感じがして相変わらず女声陣は上手いと思いました。男声陣でも、シャーミーやピッグペンとかはそれなりにいいんですがね。何でメイン・キャラばかり良くないんでしょーね(でもライナスは上手くなりましたね)。

③翻訳について

ただ、問題は吹き替え子役の演技力だけではなく、翻訳にもあると思いました。

全般にダイアログが良くないんです。なんというか、男の子のセリフがお坊ちゃん言葉過ぎるんですよ。特に今回はレースの話ですから、それなりに荒っぽさも必要になります。もっと緊張感を持たせて欲しかったですね。

「僕に任せて」じゃなくて「僕に任せろ」でしょ。「待って」じゃなくて「待てよ」でしょ。「誰なの?」じゃなくて「誰だ!」でしょ。「君から言って」じゃなくて「君から言えよ」でしょ。「そうなの?」じゃなくて「そうかい?」でしょ。「僕たちはまだ相棒ってことなの?」じゃなくて「僕たちはまだ相棒なのかい?」でしょ。「勝つ事より大事な事もあるもん」じゃなくて「あるだろ」でしょ。フランクリンはもっとファンキーにしてほしかったですね~。

女の子のセリフの方が生き生きした言葉に訳されている感じもしましたね。

④音楽について

ジェフ・モローは本当に信頼がおける作曲家ですね。とても素晴らしいです。ガラルディのジャズを完全に引き継いでいて、デヴィッド・ベノワ以上の適任者と言えるでしょう。

また、挿入曲も、チャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」やビリー・プレストンの「ナッシング・フロム・ナッシング」など、フランクリンが好きそうな黒人ミュージシャンを使っています(挿入曲については何故かエンドテロップに記載なし)。

⑤そのほか

abc7.comのニュース記事からの情報をいくつか。

フランクリンがピーナッツの面々の町に到着した時、"There was a lack of variety in this place."と言います。「この町は多様性に欠けている」と訳されています。

このセリフについて、ロブ氏は「決して説教臭くなりたくなかったが、『ジャンプ・スタート』で扱ったのと同じ方法で扱う必要があった」と言っています。『ジャンプ・スタート』というのは氏の漫画ですね。理解を深めるためには読んだ方がいいかも?。

このセリフの意図は何でしょう。このセリフを言うシーンでは白人ばかりが目についたからでしょうか。所詮ピーナッツ・キャラは白人だらけだ、と言いたいんでしょうかね。

クライマックスで、フランクリンはみんなの中心に座って楽しくやってます。ライナスがわざわざ「君のために席を取っておいたよ」と言って座らせるのですが、これは「チャーリー・ブラウン感謝祭」に関する誤解を正すためにロブ氏が仕込んだ演出なんだそうです。日本人からすれば何でもないシーンですがね。

というのも、「感謝祭」の裏庭パーティーのシーンではフランクリンがテーブルの片側に一人で座っているため、一部の人が彼が完全に受け入れられていないのではないかと思っているからなんだそうです。アメリカではそういう些末なことでも分析する人がいるんですな。Wokeの国ですね。

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全般的に厳しい感想になってしまいましたが、やはり吹き替えに難ありというところですね。英語だと実にスムーズに鑑賞できますので英語の方をお勧めします。

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2024.02.16

「短い夏だったね、チャーリー・ブラウン」のサントラ盤、7月発売!

「短い夏だったね、チャーリー・ブラウン」原題:"It Was A Short Summer, Charlie Brown" のサントラ盤の発売が決定しました。

発売日は7月5日予定です。

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ワタシは「感謝祭」の次は「イースター」だろうと予想してましたが、60年代のこれが来るとは予想していませんでした。いずれにせよ待ち遠しいです。

「短い夏だったね、チャーリー・ブラウン」は1969年のTVスペシャルです。映画「スヌーピーとチャーリー」と同年ですね。

テーマが夏(憂鬱な夏でもありますが)のせいか、全般的に明るい曲が多い印象です。エンディングテーマは名曲ですし、あのマスクド・マーベルのテーマ曲"The Masked Marvel"が聴けるのもいいですね。

60年代の作品ということで、ジョン・スコット・トロッター作曲と思しき曲も数曲ありますが、彼の曲が聴けるのも本作が最後で、以降のスペシャルでは作曲・編曲はしていません。

去年の9月のブログで中々エンディングテーマがフルで聴けないことを嘆きましたが、そんな日々ともおさらばですね。これももう何十年越しの夢が叶うということであります。

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因みに、レーベルは去年11月の「チャーリー・ブラウンの感謝祭」のサントラを出したのと同じくリー・メンデルソン・フィルム・プロダクションズです。

オフィシャルサイトを見つけましたが、仕掛け人はリー・メンデルソンの息子のショーン・メンデルソンでした。ミュージシャンでプロデューサーもやっているそうです。

ヴィンス・ガラルディの息子のデヴィッド・ガラルディもレーベルを立ち上げて、亡き父のアーカイヴ音源を多数リリースしてましたが、アチラの息子たちはいい仕事をしますね。

プレスリリースによれば、最近(おそらく去年)保管庫からオリジナルのスタジオ・セッション・テープを発見したとのことです。これはデヴィッド・ガラルディが所有しているセッション・テープとはまた別物なんでしょうな。後発の利でデヴィッドがリリースした音源よりも高音質になっているといいですな。

オフィシャルサイトには、"More Music Coming Soon" とありますが、今後も楽しみにしていいってことですよね。期待してます。



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2024.02.15

シュルツさんの命日を過ぎて

シュルツさんの命日も、連載最終回記念日も過ぎてしまいましたね。

ということで(?)今更ですが、連載最終回などについて思うところを書きます。

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1999年11月16日(火)、シュルツさんは仕事中に倒れ病院に運び込まれました。この日、シュルツさんは2000年1月1日(土)用のデイリー版を描いていたようです(ここまでの仕事は無事新聞に掲載されてますが文字入れはまだで、後でペイジ・ブラドックがPCでシュルツ・フォントを使って入力したようです)。

診断は腹部大動脈閉塞でした。一応手術は成功し11月30日に退院しますが、その後再入院を繰り返しています。

シュルツさんは最早創作活動ができないことを悟り12月14日に「引退宣言」し、世界中が激震したのでした(余談ですが、当時は上記のような深刻な状況とは知らず、お疲れ様でした、ゆっくり余生を過ごしてください、などと呑気に思っていました)。

描きためてあったストリップは、デイリー版が上記の通り1月1日まで、サンデー版が2月6日までありましたが、この「引退宣言」でデイリー版の最終回が2000年1月3日(月)、サンデー版が2月13日になることが併せて発表されたのでした。

この後の最終回掲載までの流れ(ペイジ・ブラドックらによるコラージュなどのPCでの編集作業など)は、諸々の書籍に書かれており広く知られていると思います。最終回で使われた絵は、1999年11月21日のサンデー版の使いまわしで、添えられたシュルツさんのコメントは口述されたものなので自筆ではなく活字でした(シュルツ・フォントを使う手もあったと思いますが、画がタイプするスヌーピーだったので良かったのでしょうか)。退院後のシュルツさんは一筆も描いていないのでした。

そして、1月3日にデイリー版最終回が掲載され、2月13日にサンデー版最終回が掲載されましたが、シュルツさんは2月12日に亡くなりました。

・・・・・・

ワタシが注目したいのは、シュルツさんが仕事中に倒れたことで、その時に描かれていたストリップが遺作となったことです。

遺作となったストリップは創作作業の真っただ中にあったものであり、その時のシュルツさんには恐らく引退はおろか死の影すら無かったわけです。つまり、これが最後だとか、筆を折るつもりで描いたストリップは一片も無いということになります。

ですから、ワタシはシュルツさんにはスワン・ソングは存在しないと思っています。最終回もそれに当たらないと思っています。ですので、芸術新潮2013年10月号に載っていた、最終回をして「読むたびに目頭が熱くなる」とか「最後の最後までキャラクターと誠実に向かい合おうとした気概を感じる」とか変な賛辞を送っている人の記事を読んで、なんだかなぁと思ったものです。

同じ芸術新潮2013年10月号で、英語教科書にピーナッツを取り入れる際のエピソードとして、サンデー版を3つ使う事になっていたところシュルツさんが亡くなったので一つを最終回と差し替えた、というのが紹介されていましたが、ジーンさんの「遺作にばかり関心が集まっている」という危惧により、最終回の使用が認められなかった時期があったことが裏話として書かれていました。

この筆者はその「危惧」について、「高潔な姿勢に拍手を送ってあげたい」とか、「ピーナッツギャングという家族を守ろうという矜持にすら感じられた」という感情を綴っていますが、ワタシは別の考えを持ちました。

最終回はシュルツさんの想いは綴られていますが新規に描かれたものではなく、残酷な言い方になりますが後書きのような内容で、漫画として面白いと言えるものではありません。

ジーンさんの中には、作品として不十分で面白くもない最終回よりも、もっと面白いものが他にいっぱいあるではないか、という思いもあったんじゃないでしょうか。ジーンさんの「危惧」はそこにあったんじゃないでしょうかねえ。

最後にシュルツさんの想いを伝えて最終回を迎えたというのも、作者の死により尻切れトンボで終わるコミックがある中、ある意味理想的な最終回だったのかもしれませんが、必要以上に持ち上げるのはどうかな~と思う次第です。。

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2024.02.14

ピーナッツのレコードの日々:その4

私的50周年ネタ。

1978年。レコード"Charlie Brown Records Presents A Charlie Brown Christmas"を購入後、同じ企画盤が発売されていないだろうかと、横浜駅へ行った際は”すみや”の輸入盤コーナーをちょくちょくチェックするようにしていました。

しかし、そういったものが仕入れられることもなく、徒労に終わっていました。そのうち"Charlie Brown"のコーナーは無くなり、売り場も縮小され、ワタシもいつか有耶無耶になっていきました。

今ならわかります。実は同じ企画のレコードはその後4枚発売されていたのですが(後述)、5枚仕入れた"Charlie Brown Records Presents A Charlie Brown Christmas"が売れてないのですからそれらが仕入れられるわけがありません。レコード屋だって商売ですからね。

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ワタシがCharlie Brown Recordsのレコードと再会するのは大学生になってからです。場所はやはり渋谷のタワーレコードで、その時は既にヴィンス・ガラルディの3枚のレコードを購入済みでした。

その時出会ったのは12インチのLPではなく7インチ盤で、内容はやはりTVスペシャルを収録したものでした。何故かレジ横に置かれていたので見つけやすく、幸運にも偶然の出会いとなったのでした。11種類のレコードがあり、まとめて購入しました。

7インチ盤ですから当然収録時間は短くなっていますが、基本コンセプトは12インチのLPと一緒でした。また、小さくなった分12インチLPでは12ページだったブックレットは24ページになっていました。どれも冒頭に「やあ、僕チャーリー・ブラウン。チャイムが鳴ったらページをめくってね」というようなナレーションが入っており、実際にページをめくるタイミングでチャイム音が収録されていました。明らかに12インチLPよりも低年齢向け仕様です。

しかし、この7インチのシリーズで驚かされたのは、ラインナップに映画"Snoopy, Come Home"が含まれていたことです。

聴いてみると映画で使われていたシャーマン兄弟の音楽は全く無く、すべてヴィンス・ガラルディの音楽に差し替えられていました。音楽が変わるとこうも変わるものなのか、仕上がった作品はどちらかというと原作に近い雰囲気で、これはこれで面白かったと思います。

大谷芳照さんを通じてアメリカのデリック・バング氏とパイプができた時に、「こんな面白い音源があるんですよ」とCDにして送ったりしましたが、それはずっと後々の話。

タワーレコードでは同企画のカセットテープ版も見つけましたが、流石にそれには手を出さず…。

12インチLPの"Charlie Brown Records Presents A Charlie Brown Christmas"以外のものを揃えだしたのは、40周年記念アルバムが発売され自分の中のピーナッツ熱が再燃してからです。

既に働いていたので購買力も上がっており、インターネットの普及によってWEBで購入できるようになったのが大きいですね。そもそも、"Charlie Brown Records Presents A Charlie Brown Christmas"以外の盤が出ていると知ったのもインターネットのおかげです。

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Charlie Brown Records についてもう少し書こうと思います。

The Disney Wiki という英語のサイトがありまして、ここにCharlie Brown Records についてのまとめがあるんですが、これがまあ見事に使い物になりません。看板ばかりデカくて不十分で不正確。しっかりしろアメリカ人。

ということで、自分の手持ちの現物などで考えつつ書きますが、一番最初にリリースされたのが、1977年の"A Charlie Brown Christmas"です。カタログ番号は3701。1977年の年末商品として発売されたものを"すみや"が仕入れ、その売れ残りを翌年にワタシが買ったという流れだったことが判ります。

1978年には、以下の4枚が追加で発売されました。

"Charlie Brown's All-Stars(カタログ番号3702)"
"He's Your Dog, Charlie Brown(カタログ番号3703)"
"It's The Great Pumpkin, Charlie Brown(カタログ番号3704)"
"You're In Love, Charlie Brown(カタログ番号3705)"

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12インチのLPレコードのリリースは、一旦この5枚で終了します。

1980年、今度は7インチの短縮版11枚が発売されました(カセットテープ版もあり※)。カタログは次の通りです。

"A Charlie Brown Christmas(カタログ番号401)"
"Charlie Brown's All-Stars(カタログ番号402)"
"He's Your Dog, Charlie Brown(カタログ番号403)"
"It's the Great Pumpkin, Charlie Brown(カタログ番号404)"
"You're in Love, Charlie Brown(カタログ番号405)"
"Snoopy, Come Home(カタログ番号406)"
"It's Your First Kiss, Charlie Brown(カタログ番号407)"
"You're a Good Sport, Charlie Brown(カタログ番号408)"
"It's a Mystery, Charlie Brown(カタログ番号409)"
"It Was a Short Summer, Charlie Brown(カタログ番号410)"
"You're the Greatest, Charlie Brown(カタログ番号411)"

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この7インチシリーズは、12インチのものが60年代の作品だけだったのに対し、4つの70年代作品と1つの映画がラインナップされているのが特徴です。"Snoopy, Come Home"がラインナップされていたことの驚きについては先に書いた通りです。

1981年から1983年の間は何もリリースが無かったようです。

そして、1984年になって突如"Flashbeagle(カタログ番号2518)"がリリースされました。

思えばこの"Flashbeagle"、Charlie Brown Records 唯一の真っ当な音楽もののレコードであり、唯一の日本盤が発売されたレコードでもあります。

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売れたかどうかはわからず、レーベルもこの作品を最後に閉めてしまったようです。

このほか、レコードは同じですがブックレットが付いていないという所謂"Read-Along"を捨ててしまったもの(カタログ番号2600番台)が3枚くらい出ているようです。ワタシは"Charlie Brown's All-Stars(カタログ番号2602)"だけ持っています。

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※カセットテープ版は、どうやらCharlie Brown Records ではなく、Western Publishingという会社の子会社のGolden BooksというところのSnoopy & Friendsレーベルからの発売だったようです。Charlie Brown Recordsのフランチャイズ権は1987年に同社に移った模様です(The Disney Wikiによる)。

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2024.02.13

Apple TV+の新作アニメ「おかえり、フランクリン」今週末配信

思ったよりも早く来ましたね。

新作アニメ「おかえり、フランクリン」がもうすぐ観られます。

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内容的には少し過去に戻ってフランクリンが転校してくるところから始まるようですが、コレはアニメ・オリジナルの設定で、彼には転校生という設定はありません。

クレジットを見てみると、フランクリンのラストネーム「アームストロング」の元ネタになった漫画家のロブ・アームストロングが脚本家の一人として名を連ねています。

これは興味深いですね。

果たして、どんな作品に仕上がったのか?

乞うご期待!

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2024.02.06

ピーナッツのレコードの日々:その3

私的50周年回顧ネタ。

1984年秋、とある日。友人から「スヌーピーのレコードが出るみたいだよ」と話しかけられました。

彼女が言うには、吉祥寺の新星堂に情報が出ていたとのことでした。早速現場に向かうワタシ。

店内をくまなく探すと、アニメ・コーナーに、「スヌーピーのフラッシュビーグル」11月21日発売、という情報があるのを発見しました。

正直、よくこんなのに気付いたな…というレベルの店員さんお手製のとても小さな記述でした。

今にして思いますと、この情報があったおかげで新品を発売日に買うことができたわけですので、店員さんには感謝です。

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しかし、このレコードには面食らいました。タイトル曲"Flashbeagle!"こそカッコイイ曲でしたが、ほとんどが子役が歌うフラッシュビーグルとは関係ない子供向けの歌ばかりでした。

そもそも、なんでこんなレコードが発売されたのかも解りませんでした。

このレコード収録の10曲のうち5曲がアニメ「フラッシュビーグルだよ、チャーリー・ブラウン」用に作られたものだというのは、裏ジャケのクレジットをよくよく読めばわかりますが、歌詞カードには何の説明もなく(しかも歌詞は誤訳ばかり)、3年後の1987年に東映ビデオから発売されたアニメ「フラッシュビーグルだよ、チャーリー・ブラウン」をレンタルして観て初めて理解したのでした。

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この「スヌーピーのフラッシュビーグル」は日本コロムビアから発売されました。日本盤のレコードとしては3枚目にあたるもので、アナログ時代では最後になります。

レーベルは、"Charlie Brown Records"でしたが、

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これを見てワタシはオォ!となりました。

と言いますのも、ピーナッツのレコードの日々:その1で書いた"Charlie Brown Records Presents A Charlie Brown Christmas"も同じレーベルからの発売だったからです。

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"Charlie Brown Records Presents A Charlie Brown Christmas"の裏ジャケを見ますと、"distributed by Buena Vista Distribution Co."の表記がありますが、これは当時中学生だったワタシも気になっていました。

1977年に指揮者レオポルド・ストコフスキー(ストコ先生)が亡くなった時、追悼盤として映画「ファンタジア」のサントラ盤が再発されましたが、その販売元は「ブエナビスタ」でした。当時「レコード芸術」誌でこの広告を見て「ブエナビスタ」という何語かもわからない発音しずらい聞いたこともない名前のレコード会社に違和感を持ち、よく覚えていたのです。

で、"distributed by Buena Vista Distribution Co."の文字を見た時に、「ひょっとして、このレコードはディズニーが出しているのか?」と思ったのです。

「ブエナビスタ」=ディズニー・レコード、という確信があったわけではないのですが、当時ディズニー関連のレコードは日本コロムビアから発売されていたことと、「スヌーピーのフラッシュビーグル」も日本コロムビアから発売されたことを合わせて、正しかったんだ、と思ったのでした。

スヌーピーのレコードをディズニーが出している…日本にはスヌーピーとミッキーをライバルだと思っている人が少なからずいますが、こういう人が知ったら驚くでしょうねぇ。

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2024.02.04

ピーナッツのレコードの日々:その2

私的50周年回顧ネタ。

ワタシがいつ「スヌーピーとチャーリー」と「スヌーピーの大冒険」のサントラ盤を買ったのか、これが何故か記憶があいまいでよくわかりません。

とりあえず、大学を卒業するまでには買っていましたが…。

ちなみに、現在ワタシが所有している盤、「スヌーピーとチャーリー」は見開きのダブルジャケットですが、「スヌーピーの大冒険」はシングルジャケットです。月刊スヌーピーにはジャケットを開いた写真を使った「スヌーピーの大冒険」のサントラの広告が載っていましたので、日本盤も最初はダブルジャケットだったことは間違いないですが。

大学時代の先輩で、「スヌーピーの大冒険」のダブルジャケットの輸入盤LPを持っている人がいましたが、それはなんとシーリングされた状態で中古屋で売られていたものだったのです。

先輩は「今さら開封できないよ」と嘆いていました。

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ヴィンス・ガラルディの2枚のサウンドトラック盤 "A Charlie Brown Christmas"と"A Boy Named Charlie Brown"には、大学時代に出会いました。

出会いは渋谷のタワーレコードです。まだタワーレコードが日本に4店舗くらいしかなかった頃です。

その頃の渋谷のタワーレコードは今の場所と違い、宇田川町のビルの2階と3階で開業していました。1階は古着屋だったような。扱い商品は本当に輸入盤だけ。ユーロ・ロックがズラッと1列というのは普通のレコード屋ではありえない光景でしたね。当然日本人アーティストのレコードは置いていませんでしたが、高中正義の海外盤なんかがあって驚いたものです。

で、ある時3階のジャズ売り場に行き、まさかヴィンス・ガラルディとかあったりしないよな~などと思いつつ"V"の列を目て追っていきますと、あるではないですか、"Vince Guaraldi" の仕切りが。

ワタシはそこにあった"A Charlie Brown Christmas"と"A Boy Named Charlie Brown"の2枚のレコードを購入したのでした。

・・・・・・

ピーナッツ・アニメの音楽が好きだったとはいえ何の予備知識もなかった当時のワタシでした。

"A Charlie Brown Christmas"が、あの「チャーリー・ブラウンのクリスマス」のサントラ盤であることは最初から解っていました。実際に聴いてみるとあの番組で使われていた音楽が多数ステレオで収録されており感動しました。

しかし、もう1枚の"A Boy Named Charlie Brown" の正体は何だか解りませんでした。最初は同名の映画のサントラ盤かと思いましたが、聴いてみますと全然別物でした。Origial Soundtrackと書いてはあるものの、いったい何のサントラ盤?といった状態でした。馴染みのない曲も多く、70年代のヴィンス・ガラルディに触れそのサウンドに心酔していたワタシにとっては些か古臭くも思えました。

・・・・・・

それでも1つ気付いたのは、「ライナス・アンド・ルーシー」が代表曲なのだ、ということでした。

「ライナス・アンド・ルーシー」は2枚のレコード両方に収録されており、扱いが別だったのです。

ワタシは「チャーリー・ブラウンの感謝祭」を観た時に、その曲(まだ「ライナス・アンド・ルーシー」というタイトルであることは知らず)がとてもいい曲で印象に残っていましたので、その時は「やはり」と思ったものでした。

・・・・・・

その後、ヴィンス・ガラルディのもう1枚のピーナッツのレコードをタワーレコードで見つけました。

タイトルは、"Oh, Good Grief"。

ピーナッツのアニメで使用された曲を収録していますが、サントラ盤ではないようです。ともかく即買いですね。

こちらにももちろん「ライナス・アンド・ルーシー」は収録されていましたが、前の2枚のようなピアノ・トリオではなく、ギターやハープシコードも使って華やかな印象になっていました。

その他、「恋してるんだよ、チャーリー・ブラウン」のテーマ曲など馴染みのある曲が多く収録されており、どちらかというとこっちの方が愛聴盤になっていくのでした。

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