「小さなベストフレンド ウッドストック」展の図録を読む
2022年7月からスヌーピーミュージアムで開催していた「小さなベストフレンド ウッドストック」展の図録を今さらながら読みました。
購入したのはずっと前だったんですが、一緒に買ったその前の展示「しあわせは、みんなの笑顔」の図録の序文の破壊力がひどくて読む気が失せておりました。
図録の序文はミュージアムに掲示されていたものを収めたものだと思いますので、これが間違っているというのは結構問題なんですがね。
で、残念ながらこの「小さなベストフレンド ウッドストック」の図録の序文も、ちょっと引っ掛かる内容になってますな。
"小鳥たちがピーナッツに登場したのは連載開始後数週間のうち"だそうで、終盤のシュルツさんの1971年のインタビューの引用でも"もう15年も小鳥を描いているけれど"となっています。
いやいや、連載当初に登場したのは小鳥ではなく割とリアルなでかい鳥でしたし、1971年の段階でも15年も小鳥を描いてはいないはずです。
どういうこと?
これはその後に続いて載っている英文を読んで解決しました。要するにこれを翻訳した人(奥付によると木下哲夫という人)が、"Birds"というのを全部「小鳥」と翻訳してしまっているんですね。別の場所では"Small bird"という言葉が使われていたりするのに。
これは誤訳の範疇に入るひどい翻訳と言わざるを得ません。これを読んだ人は50年代からウッドストックのような小鳥が登場していたという間違った知識を埋め込まれてしまいかねません。
待てよ待てよ。
この木下哲夫っちゅう人は50年代からウッドストックのような小鳥が登場していたと思い込んでいたのでは?だからこんな変な翻訳をしたのでは?…つまり、この人はピーナッツに詳しくない人なのでは?
で、それをそっくりそのまま掲示するミュージアム側も、はっきり言って素人集団なのでは?
こんなレベルだったら「チャールズ・シュルツ・ミュージアムの世界で唯一のサテライト・ミュージアム」なんて偉そうなものを名乗るのは辞めた方がいいですね、ほんと。
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まあそれはそれとして。
冒頭にシュルツさんのウッドストック命名についての言葉が引用されています。今日ではウッドストック命名はあのウッドストック・フェスティヴァルが由来というのはシュルツさん本人も認めていますし一般的にも知られていますが、かつて70年代はフェスティヴァルとは関係ないというのが通説だったんですよね。
それはシュルツさんが否定していたからです。なぜ否定していたのか、なぜ後年それを翻したのかはわかりませんが、まあどう考えたって無関係なわけはありませんよね。
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収録されたストリップ(=展示されていたもの)は、まあ良かったんではないでしょうか。唯一、P210の世界の終わりネタ(月刊スヌーピー読者には「アメリカ版オバQ」と言えば通じるかな?)は、特にウッドストックを扱ったものではなく、なぜこれが選ばれたのかは謎ですね。
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