ピーナッツは大人向け?
加藤恭子さんの本を読んだ勢いで、廣淵升彦さんの「スヌーピーたちのアメリカ」(1993年)を読み返しました。
ピーナッツを読まずしてアメリカ人、アメリカ文化を理解できないという考え方には同感です。ピーナッツにはいろいろ教えてもらいましたよ。
ただ、廣淵さんはピーナッツは成熟した大人の読み物というスタンスです。でもってコミックがあまり読まれていない状況を憂いていますが、"子供に翻訳本を与えるのが良くない。子供は読んでみるがあまり面白いと思わず、その後見向きもしなくなる"というような記述をしています。
こういう考え方は昔から疑問なんですよね。ピーナッツは子供が読んだって絶対に面白い漫画だと思うんですがねえ。70年代にはスヌーピー・ブームがありまして、書店に行けば「ピーナツ・ブックス」のバックナンバーが揃っていましたし(しかも普通のコミックよりも安かった!)、小学校には読者が何人もいました。かくいう私も4年生の時に大ハマリした口です。それまで読んでいた漫画にはない新鮮な面白さ(セリフがクールだったり)にすっかり魅了されてしまったんでした。
コミックが読まれない理由は別のところにあると思うんですがね。
廣淵さんが嘆いていた"出版社が成人男性読者を増やす努力をすべき"という点はその後幾分達成されたんではないかと思います。あまり一般書店には置いていませんが文庫や新書がいろいろ出ましたしね。
しかし、子供読者の開拓は全然といっていいという状況です。
書店に置いていない、置いてあってもコミックコーナーに置いていない、値段が高い、吹き出しの中が英語(これ漫画文法的に結構重要)、難しい漫画扱いする風潮(哲学的だとか名言だとか)、etc...
子供のうちから先入観なしに普通に漫画として読まれる環境が整えば、もっと読者は増えると思うんですが、どんなもんでしょうかね。
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コメント
この本あります。でも読んでないです。TOSHIKIさんの読書量はすごいですね・・・。そういうお仕事?
しかし難しいコミックにされてしまっているのはホント残念です。
自分もたぶん同時期の同じような年齢でつる書房のコミックに出会ってますが、アメリカの文化って面白い!ただそれだけから始まったような気がします。そして単純に面白にそれぞれに面白いキャラクターにはまってしまったんですけどね。
投稿: 卓 | 2016.12.25 12:48
角川つばさ文庫から出てるスクールデイズに始まる3冊は売れ行きどうなんでしょうね。それなりに売れたから次が出たのかなとも思いますが。
投稿: べるつく | 2016.12.26 08:54
卓さん、
ツルコミ時代は良かった(昔の事ばかり言っても仕方ありませんが)。
ああいう環境がなかったら、果たして読者になったかどうか…。
ベルつくさん、
角川つばさ文庫がありましたね。話数は少ないですが吹き出しが日本語で読みやすい本でした。売れ行きが好調だといいんですがね。
投稿: TOSHIKI | 2016.12.27 23:20