PEANUTS RANKING BOOK (その6)
デリック・バング氏の心に残った名言10。
何故このセリフがいいのかというと…というような説明はありませんが、まあ無い方がいいですね。野暮ってもんです。
名言10個のうち6つがチャーリー・ブラウンのもの。残りはライナスが2つ、ルーシーが1つ、スヌーピーが1つ。
年代別にみますと、50年代が3個、60年代が5個、70年代が2個、となっております。
60年代の比率が高く、かつ、チャーリー・ブラウンの比率が高い。
後のページの「年代別重要キャラ」では、70年代、80年代はスヌーピーのものという解釈で、チャーリー・ブラウンは重要キャラベスト5に入れていません。
また、90年代では1位に返り咲き"シュルツ氏を投影した哲学者になった"と書かれていますが、名言で括ってみますと、まあこんな結果になってしまう訳です。
必ずしも"心に残った名言=名作"ではありませんが、やはりチャーリー・ブラウンが活躍した50・60年代が面白かったと思っているという事でしょうかね、氏も。
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選ばれている10個は、どれも納得のものだと思います。
ともかく、みんな気の利いたセリフといいますか。全て4コマ漫画の締めの4コマ目のセリフなわけで、この言い回しだから締まる、オチる、笑える、という事なんです。
この中では特に10位の「雨はいつも愛されぬ者の上に降る!」というのが好きです。
この絶望感(しかし笑ってしまう)。子供が一人座っていて、次第に雨が降り出して、そのまま雨に打たれながらこのセリフを吐くという…何とも凄い漫画です。
次点は6位の「からっぽの郵便受けみたいにうつろにやまびこを返すものはほかにないね」。これも好きなセリフでした。笑えます。こういう哲学的なセリフがあるからピーナッツが好きになったといっても過言ではありません。自分もこういう言葉をさらっと言ってみたいと思ったもんです。
8位の「人生にはいろんな選択肢があるのに選択できたためしがないんだ」。これも好きでした(好きなの多いです)。脅迫に屈した時の捨て台詞です。どうせ負けるのなら、このくらいの事を言っておきたい(ちょっと勝てた気がするから…)。
7位の、負けから学ぶことはたくさんあるというルーシーに対して「そうすりゃぼくは世界一の利口者になれるさ!!」と叫ぶチャーリー・ブラウン。ピーナツブックスを読み始めた小学生の頃はこういう解りやすいギャグに笑い転げていたものです。
5位の「(前略)~ボクにはもっとこんちはが必要だ」というのも好きです。このセリフは加工されて「スヌーピーの大冒険」でも使われていました。但し、良い翻訳が無いのが残念です。考えてみますと、昔スヌーピーはよく家を空けていたんですね。飼い主にこういうセリフを吐かせた訳ですから。
4位の「ほんとに孤独だとピーナツバターは口の上側にねばりつく」はピーナッツの歴史的名言なんではないか、と個人的に思っております。
2位の「幸せはあったかい子犬」、これも歴史的な名言だと思います。手垢が付きすぎているかもしれませんが。
1位の「こんなに真剣なのに、どうして負けるんだろう」。正直、1位が一番ピンと来ない感じで、ちょっと困ってたりします。余りに普通に名言すぎるせいでしょうか??
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以前ブログに書いたこともありますが、私はこういう名言みたいなのが一人歩きして「ピーナッツ=哲学的漫画」というように解釈されるのをとても危惧しております。
名ゼリフと言われるものの殆どは四コマ漫画のオチとして書かれたもので、それはつまり笑わせるために書かれた言葉ともいえます。
何故そのセリフが面白いのか、心に残るのか、そこに至る過程も結構重要だったりします。
この過程が無ければ、笑えるセリフも笑えません。伝わるものも伝わりません。
表面的な言葉の響きやカッコよさだけで前後関係無視でとりあげて、哲学的だ、とか、癒される、とかいうのは出来るだけ勘弁してほしい、などと思っております。
よく引用される「配られたカードで勝負するしかないのさ」が入らなくて良かった。
…実はこのセリフは2コマ目で、オチではないんです。でもって、このオチの自分の解釈が合っているのか今一つ自信がないんです…。
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