スヌーピーの名言ブーム?
ダ・ヴィンチ電子ナビに、こんなニュースが掲載されました。11月14日付ですよ。何故、今?
元AKBの某がスヌーピーbotの言葉をリツイートしたり、スヌーピー全集が復刻されたり(ああ、変なのと結び付けられてしまった)、今静かにスヌーピー・ブームが起こっているんだそうです。
でもって、主婦の友社の「スヌーピーたちの人生案内」が紹介されていました。
ピーナッツの漫画からセリフだけをチョイスして、それに何らかの意味を見出す、というような風潮は何年か前からありましたが、いよいよ本格化というところなんでしょーか。
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しかし、こういうピーナッツの読まれ方というのは、個人的にはあまり歓迎したくないんですよね。
こういうのって、副読本的なものだと思うのですよ。
まず、オリジナルがちゃんと読まれているというのが前提で、それに別の角度から光を当てて、読者に「なるほど、こういう解釈もあったのか」等と思わせるような性質のものであると。ですから、精神科医や心理学者が書いたピーナッツの本がアメリカで読まれる分には問題はないと思っています。
しかし日本ではピーナッツのコミックはあまり読まれておりません。
今の日本の状況は、例えるならば「ジョジョの奇妙な冒険」を読まずに「ジョジョ名言集」を読んで、ジョジョを知った気になっているようなものです。変な例えかもしれませんが…。
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90年代に"ピーナッツ=癒し本"のようなブームがありましたが、あの時は最初はポジティヴに捉えていました。
なんにせよ、ピーナッツが文庫化されて書店に大量に陳列されている、例え入口が癒しでも、それをきっかけにピーナッツが読まれ、この漫画の面白さが広まればいい、と。70年代以来の第2次ブームが来るのでは、と夢想すらしたもんです。
しかし現実は甘くは無いです。後に続く本が無かったんですよ。"読めば元気になる”的なウリの本ばかりが多くて。ピーナッツというのは面白い漫画なんだ!というのを知らしめるような編集の本は遂に(未だに)出ませんでしたね。そういう本が安価で発売されていたら、ひょっとしたら流れが変わっていたかもしれません。
むしろ連載の流れを無視した編集が多くて、逆につまらなくなったり。「これ、本当は面白いエピソードなのに」とか、何度思った事か。
ルーシーの"精神分析スタンド"も、いつの間にか"心の相談室"になってしまうし。
最近は祥伝社から結構いい編集の本が出たりしていますが、タイトルが「悩んだときに元気が出るスヌーピー」だったりとか、あの頃の売り方が今でも引き継がれています。そんなタイトルのリイシュー本ばかり出ているのは日本だけじゃないでしょーか、多分。
勿論、売ろうとしての事でしょうが、本質からは遠ざかるばかりだと思います。そろそろ再考した方がいいんじゃないでしょうかね。
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振り返ればしかし、2007年に刊行された「スヌーピーたちの人生案内」という本は、まだいい方だったなー、と思います。
最近の"スヌーピーの名言"の底の浅い事。
例えば、月刊MOE9月号のブック・イン・ブックの中の"ピーナッツの幸せになれる名セリフ集"から、ちょっと引用。
>「ぼくもぼくを愛してる("And I Love Me")」
自信を持つことが肝心とか色々と意味は付けられると思いますが、まず言葉として果たしてこんなのが名セリフといえるんでしょうかね?
こういう編集者には、和田誠の「お楽しみはこれからだ」を読んでいただきたいと願います。
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