君にリンゴの果樹園を約束したおぼえはないね 読了
「君にリンゴの果樹園を約束したおぼえはないね」・・・こんなタイトルですが、スヌーピーの本です。
「暗い嵐の夜だった」に続く太田出版刊、小説家スヌーピーの本の第2弾です。
"暗い嵐の~"で始まる小説は第1弾の方に網羅されましたが、今回はそれ以外の小説ネタのコミックを再編集したものになっています。小説ネタのバリエーションが多い分、今回の本の方が密度が濃く笑いどころも多くなっています。
装丁は前巻と同じくハヤカワミステリのようなビニールカバー付きで、前半が原書オリジナルの復刻で後半が日本語版になっています。こういう編集も面白いですね。
正直ハードルの高い本で、いきなりこの本からピーナッツに入ろうというのはちょっと無謀ですが、読み込んでいる人や70年代くらいまでのピーナッツが好きな人には強くお薦めしたい本です。解説もあります。
ハードルの高さは、腰巻の文句『"Toodle-oo, Caribou !" A Tale of the Frozen North 全文を初めて収録。全文を読めるのはこの本だけ!』でお解りと思いますが、このコピーが一体どれだけの人に伝わるのか?
…というか、こういう腰巻が付く事自体がジョークなのかもしれませんが(ね?太田出版の方)。
私も、A Tale of the Frozen North と言われてもピンときませんでしたが、ジョー・エスキモーの話だったんですね。あのアホくさい小説の続きをシュルツさんはわざわざ書いたわけです。
いやしかしこれが素晴らしくくだらなくてとてもいい。まるでサタデーナイトライブ(勿論アメリカ版)のスケッチを観ているような馬鹿馬鹿しさ。
シュルツさんのダジャレというか、アメリカン・ジョークのセンスが炸裂しています。
小説家スヌーピーというと、一般には、売れない小説を書き続ける悲哀の作家像がクローズアップされたり、出版社の返事のバリエーションを楽しむ、というような傾向になりがちですが、実はシュルツさんの吐き出すギャグの代弁者だったんですね。これ、今回改めて思った事です。
ジーンさんの解説によれば結構笑いながら描いていたようですし、2冊も本を出してしまうんですから、シュルツさんは自分でも結構イケていると思っていたんじゃないでしょうか。
こういう面白い本が2冊も翻訳されずに埋もれていたというのはとても残念な事ですが、今回こうやって日の目を見る事が出来たというのは太田出版の編集さんの尽力によるものです。本当に感謝感激であります。
「暗い嵐の夜だった」出版時の太田出版の方のブログです↓
http://www.ohtabooks.com/press/2011/12/13100000.html
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コメント
はじめまして。私もピーナッツ関係の書籍に興味がありまして、できる範囲で収集しています。「君にリンゴの果樹園を約束したおぼえはないね」はとても面白そうなので、近日中に入手するつもりです。貴ブログは大変有益な情報が多数掲載されてすばらしいと思います。今後ともぜひ掲載を続けてくださいますようお願い申し上げます。なお、私のブログに「LOCAL CACTUS CLUB」様へのリンクを設置させていただきました。事後で申し訳ございませんがこの場をお借りしてご報告申し上げます。
投稿: スヌーピーが好き | 2012.05.05 00:12
スヌーピーが好き さん、こんにちは。
お褒めいただき恐縮です。貴殿のブログの書籍蒐集の幅広さにも、とても驚かされました。
特に語学関係書があんなに沢山あったとは、存じませんでした。
これからも更新をがんばってください。
「君にリンゴの果樹園を約束したおぼえはないね」はきっと楽しめると思いますよ。
投稿: TOSHIKI | 2012.05.05 16:54
こんばんは。
ブログをココログに変更したので、トラックバック送ってみました。
リンクのアドレスも変更よろしくおねがいします。
スヌーピーが好きさんのサイトは、少し前に見つけて時々見にいかせてもらっていました。リンクしていただけてとてもうれしいです。
投稿: まぐ | 2012.05.12 00:09
こんにちは。
アドレス変更しておきました。念のため、ジオログの方も残しておきます。
やはり「君にリンゴの~」の原書はお持ちだったんですね。
投稿: TOSHIKI | 2012.05.13 09:04