スヌーピーの小さな幸せ探し展(2)
今回は展示物についてです。
今更ですが、このイベントは1962年に刊行された「しあわせはあったかい子犬」を立体化したものです。この本には30個のHappinessが収録されています。1979年にリイシューされたカラー版ではHappinessは62個に増幅されましたが、このイベントの展示物は1962年版のデザインを基にしています。
会場に入りますとすぐに「会場マップ」なるものが配られます。どこで何のHappinessを展開しているかが解り易くなっていますが、何故かこのマップに載っていないHappinessもあり、それらも合わせると全部で17個となっていました(マップNo.11の所謂著名人のHappinessコーナーは除く)。
17個という段階でちょっと少ないんですが、この17個すべてが「しあわせはあったかい子犬」から採られている訳ではないのです。
で、「しあわせは~」に収録されていないHappinessを以下に並べてみます(順不同)。
1.Happiness is a Stack of Books
…「しあわせはつみあげられた本」。これは関連書籍 "Happiness is a Sad Songs" に収録されている "Happiness is a Stack of Old Comic Books" をアレンジしたもので、イラストも同書からのものでした。ピーナッツ関連書籍が自由に読めるコーナーにありました。展示にあたって "Old Comic" の部分をカットしたんですね。でもピーナッツはコミックなんですから別にカットする必要は無いのでは、と思いました。
2.Happiness is Getting a Little Dressed Up
…「しあわせはちょっとしたおしゃれ」で、ベルのコーナー用に創作されたものだと思います。大人の事情ですね。このコーナーだけ「しあわせは~」と配色が違いました。
3.Happiness is Having Someone to Watch Your Favorite TV Show With
…「しあわせは観たい番組によろこんでつき合ってくれる人がいること」。新作DVDが鑑賞(途中まで)できるコーナーで使用されていまして、それ用の創作と思われます。(訂正しました→)関連本「スヌーピーの友達がほしい」収録の "A Friend is Someone Who's Willing to Watch The Program You Want to Watch !" をアレンジしたものだと思われます。
4.Happiness is Having a Favorite Song with Your Loved One
…「しあわせは二人の好きな曲があること」。これは関連書籍「大好きって手をつないで歩くこと」に収録されている "Love is Having a Special Song" をアレンジしたもので、イラストもそのまま流用されています。このコーナーではJUJUの歌がヘッドフォンで聴くことが出来ます。
5.Happiness is Friends
…「しあわせは仲間がいること」。別の場所に "Happiness is a Getting Together with Your Friends (しあわせは友達といっしょ)"という似通ったものがあり完全にネタかぶりです。何でこんなのを創作したのか理解できません。あと、Happiness is friends という表現は英語的にどうなんでしょう。
6.Happiness is Having the Music in Front of You
…「しあわせは音楽が目の前にあるということ」。この手のイベントにありがちな、押したら音が鳴るというギミック用の創作と思われます。(訂正しました→)関連本"Security is a Thumb and a Blanket"に収録の "Security in Having the Music in Front of You" をアレンジしたものでした。
7.Happiness is Having Friends Who Like the Same Music
…「しあわせは同じ音楽が好きな友達がいること」。(訂正しました→)関連本「スヌーピーの友達がほしい」収録の "A Friend is Someone Who Likes the Same Music You Like" をアレンジしたもの。シュローダー・ヘッズ用かな?ともかく17個中、音楽関連が3つというのはかぶり過ぎですよ。
8.Happiness is Your First Kiss in the Rain
…「しあわせは雨の中の初めてのキス」。1979年版「しあわせはあったかい子犬」に収録されています。入口の雨のエリアで使用されていましたが、要するに雨をモチーフにしたネタが足りなかったんですね。
9.Happiness is Snoopy
…「しあわせはスヌーピー」。最後に登場するのがこれで、このイベントの結論?まあタイトルだから仕方がありませんかね。
まあこんな感じで、集計しますと(上記の訂正に合わせて再集計してあります)、
●1962年版に収録されているHappiness・・・8個
●他の関連本に収録、またはアレンジされているHappiness・・・6個
●今回のイベント用に創作されたHappiness・・・3個
となります。オリジナルの1962年版からは約4分の1しかチョイスされず、また、それらのイベント内でのシェアも約半分しかない、という事になります。
シュルツさんの書いた本を基にしたイベントなのに、約3分の1がシュルツさんの書いたものではない、というのはどんなもんでしょうか。これは冒涜と表現しても過言ではないのでは(ここまで書いておいて何ですが、見落としていたら申し訳ありません)。←やはり見落としが多かったです。申し訳ありません。
また、イベント用に創作されたHappinessの平凡さといいますか、優等生すぎといいますか、ともかくありきたりで今一つ面白みに欠けています。
私は「しあわせはあったかい子犬」のなかでは「しあわせはやっぱり、そんなにバカじゃないと知った時」が一番好きです。こういうちょっと捻ったのが入っているのがシュルツさんの流石なところで、またこの本の価値を高めているんじゃないかな、と思います。こういうのを採用してほしかったなあ…。そんな感じでチョイスの仕方も残念に思いました。
あと、これは勝手な思い込みだったかもしれませんが、メインアートがアレでしたので、もっと60年代テイストを強く打ち出すのかと思っていました。
実際はマーシーもいましたし、スヌーピーも80年代以降のカットが多く使われていました。バイオレットがサリーに差し替えられているものもありましたし、眼鏡ライナスは1カットも使われていませんでした(オリジナル本には7カットあり)。別に60年代ぽくなくても全然いいんですが、じゃあ何でメインアートがアレなの?と思わずにはいられません。
ですから色使いとか雰囲気は本のまんまなんですが、内容的には殆ど別物という感じなのでした。
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…しかしこれだけ問題点を挙げながらも、感情的に特に不満も無かったのは、やはりデザインが秀逸で雰囲気が良かったからなんでしょうねえ。
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追記)
この記事を書いた後に、関連本に掲載されている文をアレンジして使っている物が3件も見つかり、実際は「3分の1がシュルツさんの文ではない」という事態ではありませんでした。先に「見落としがあったら申し訳ありません」とは入れてはおきましたが、それにしても調査不足で断定的な表現をしてしまった事を反省せざるを得ません。関係者の方々に対しお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。
それでも、恥の上塗り覚悟で書かせていただきますが、何故、30個のHappinessが載っている本があるのにその本からは8個しか選ばず、他の関連本から引っ張ってきた文章をいじくり無理矢理 "Happiness is" に仕立てあげなければならなかったのかは理解できません。敢えて理解しようとするならば、それは恐らく音楽やDVDやベルの販促に使うのにフィットする "Happiness" が「しあわせはあったかい子犬」に収録されていなかったから、という事なんでしょう。
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