主なら何を買われる?
12月14日に「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」のカヴァー曲はこんなにいっぱいあるよ、というようなことを書きましたが、今年11月に発売になったマライア・キャリーのニュー・アルバムでもカヴァーされていました。曲名は "Charlie Brown Christmas" で、イントロが "Linus and Lucy" という変わったアレンジになっています。
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「スヌーピーのメリークリスマス」にちょっと通じるものがあるかな~という映画について。
"What would Jesus buy ?" というドキュメンタリー映画があります。1か月間マクドナルドだけを食べ続けるとどうなってしまうのかという「スーパーサイズ・ミー」のモーガン・スパーロックが制作に噛んでいる作品で、昨年MXテレビで放送されました。
この映画は、ビリー牧師と彼の"買い物するな教会"の伝導活動を記したものです。彼は聖歌隊と共にバスに乗り込みクリスマス・シーズンのアメリカを横断し、モールに行っては「買い物するな!」と歌い伝導し、最終目的地のディズニーランドでは逮捕されてしまいます。
何故彼がそんな事をするのかというと、今のクリスマスのあり方は神の教えに逆らっているからで、つまり聖書には「汝クリスマスに買い物をしろ」とは書いていない(確かに)。
ちゃんと聴けば「クリスマス・プレゼントを半分にして子供と過ごす時間を2倍にしよう。そうすれば12月が変わる。12月が変われば、きっと1年が変わる」と、とても真っ当な主張をしているのが解ります(だから一応理解者も多いみたい)。
しかし「レジに悪魔祓いを!」とか、結局エキセントリックな言動になってしまうのがちょっと哀れでもあります。というかそれ程にアメリカの消費(浪費)文化がエライ事になっているようなのです。
映画に出てくる数値データが本当だとしたら、もうとんでもない事です。
・11月の第4金曜日から始まるクリスマス商戦で5000億ドル消費される(年間の約5割)
・国民の6割がカード負債を抱えている。その総額は2.4兆ドル以上、クリスマス・シーズンだけでも1人当たり13000ドルの負債
・自己破産者は年間100万人を超え増加の一途、それでも国民は新たに40億枚のカードを作りクリスマスに1000億ドルを費やす
・個人の貯蓄率はマイナスになった(大恐慌以来)
・1500万人が買物依存症の恐れあり
・・・以上、一部なんとなく矛盾を感じますが一応ママ。11月の第4金曜日というのは感謝祭の翌日で、この日は全国で黒字になるので「ブラック・フライデー」と言うんだそうです。
セール初日の朝の様子は凄まじいですね。これが「チャーリー・ブラウンの感謝祭」の、みんなで歌いながらおばあちゃんの家に行く、スヌーピーとウッドストックが裏庭で七面鳥を食べる、あの日の翌日だというんでしょうか・・・。
プレゼントをあげたいという気持ちとか、貰った時の嬉しい気持ちとかは大切だと思いますが、しかし自己破産してまでプレゼントを買う事に衝き動かされているというのはいかがなもんでしょう。
劇中の街頭取材で「安いものはいらない」とか「プレゼントには自己破産する価値がある」とかいう人が多数出てきますが、時々「幸せだった、あの頃はアメ玉とか普通のものが嬉しかった」という人もいて、ささやかな喜びって美しいよな、と思わされます。それでもプレゼントのでっかい箱に狂喜する子供の映像を見ると、やっぱりかわいいと思ってしまうし、これは業ですかね。
この映画に対するアメリカ人の反応は「尤もだ。でも、やっぱりプレゼントは買うよな」というのが大勢らしいです。
そもそもクリスマスにプレゼントを買うという習慣は、メイシーズが100年くらい前に始めたキャンペーンで、年を越すと税金がかかるので在庫処分のために考案したらしいです。以来それが完全に定着してしまった、と。100年の歴史にはそう簡単には抗えませんね。
まあ何と言いますか、「スヌーピーのメリークリスマス」同様、クリスマスのあり方を考えさせてくれる作品です。
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