2025.06.24

スヌーピーin銀座にベルの着ぐるみ登場

あえて着ぐるみと書きます。中の人は居る!

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ベルの着ぐるみと言いますと、思い出されるのが2012年の『USJベル=スヌーピーの恋人』事件ですな。

ガセネタではあったんですが、当時の『スポーツ報知』のWEB記事にもなっていたんですよね。

どのような内容だったかのかといいますと、
1. USJにスヌーピーの女の子キャラクター「ベル」の着ぐるみが8月6日から登場する
2. エルモ、キティ、ウッドペッカーには同種の恋人がいるが、スヌーピーには犬の相棒がいなかった
3. ベルはまつげが長く、リボンをしている、スヌーピーの女きょうだい(姉か妹かは不明)で、息子がいる説もある
4. あまり知られていないキャラクターだけに、USJでは恋人のイメージで売り出す方針

といった感じで、まあ当然ファンは激怒したわけです。それでそれに対してUSJサイドは『そのような計画はない』と発表して一応終息したわけですが、ベルの着ぐるみが『スヌーピーのきょうだい』としてUSJに登場することもなかったので、やはりガセだったんでしょう。

しかし、ライセンス側もそれまで『スヌーピーとベルのウェディング人形』や『スヌーピーとベルのひな人形』など、誤解を招くような商品で散々商売をしてきたわけですから、そんな戦略をするかも?と疑われる余地はあったかもしれませんな。

因みに、この2012年というのはUSJのユニバーサル・ワンダーランドがオープンした年です。それに起因したガセだった可能性もあります。

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で、ベルの着ぐるみですが、ワタシの認識としては初登場ではないかと。今後イベント等にスヌーピーと一緒に登場するのか、はたまた件のUSJにも登場するのか、今後の展開はわかりません。果たしてどうなるのか。

個人的には、ビッグバードもとい巨大ウッドストックに本邦デビューしてもらいたいですな。

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2025.06.20

75周年イベントが銀座で開催決定

Ginza Sony Parkで75周年イベントが開催されることになりました。イベント名は「スヌーピーは、今日も語る。 – PEANUTS 75th Anniv. -」とのことです。

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日程は、2025年7月16日(水)から8月11日(月・祝)まで。料金は、前売が 一般1,300円 中学/高校生 800円、当日券が 一般1,500円 中学/高校生 1,000円、小学生以下は無料だそうです。

あそこはソニービル時代に行ったのが最後ですので、久々に行ってみようかと思います。有料ですが仕方なし。折角の周年イベントですしね。

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もちろん、宣伝されている内容が気になっていないわけではありません。オリジナルグッズや内容に関する情報はGinza Sony Parkの公式インスタグラムで随時公開されるそうですが、ワタシはインスタグラムはやっていませんのでコレは見られません。

プレスリリースによれば、『10人のゲストキュレーターが選ぶ大切にしたい言葉』からインスパイアされた作品のディスプレイというのがメインのようですね。

ゲストキュレーターの面々は、音楽家、詩人、ラッパー、クリエイティヴディレクター(?)などなど多岐に渡りますが、無形物の創作家がどのようなものを展示するのかは単純に興味があります。ただまあ『言葉』なんですよね、切り口が結局。

果たしてどのようなチョイスをするのか…。

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あと、プレスリリースにあったコレはいただけませんな。

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地下3階にあるカジュアルダイニング "1/2 (Nibun no Ichi)" のコラボメニューで、スヌーピーの『人生最大の喜びの一つはジャンクフードをガツガツ食べること!』というセリフにインスパイアされたメニューなんだそうですが、ちょっと違うんじゃないですかね。これではスヌーピーの喜びは全然共有できません(出典元のコミックを見るべし)。

おかしなメニューというのは過去にもありまして、ピーナッツカフェで『ヴァイオレットの泥パイ』にインスパイアされたメニューとかがありましたが、泥をイメージしたメニューとかよく出せるよなって思いましたよ。誰も冷静に判断できなかったんでしょうかね。

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2025.06.09

ソニーフィナンシャルグループ㈱がピーナッツとライセンス契約を締結

5月29日にでていたプレスリリースでちょっと古いんですが、ソニーフィナンシャルグループ㈱がピーナッツとライセンス契約を締結したんだそうです。

ソニー?もうしてんじゃん、という感じがしますが、ライセンシーのソニー・クリエイティブプロダクツとは別会社ですからね。現在この会社は非上場で、9月に東証に上場するにあたってブランドイメージの強化をするといった感じのようです。

プレスにはこんな図もありました。

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企業理念と PEANUTS の世界観の親和性があるということなんですが、本当に皆さんピーナッツを『幸せ』という切り口で語るのが好きですよね。まあいいですが。

今後、このソニーFGはピーナッツをどのように活用していくんでしょうか?

当然ですがノベルティ展開はするでしょう。ソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行や介護のソニー・ライフケアなど、こういったところで色々なグッズが作られていくんでしょう。契約者増には大いに貢献すると思われます。

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ピーナッツと金融業、というと真っ先に思い出されるのがメットライフですね。メットライフは商品価値が弱くなったと判断して2017年で契約を打ち切っています。そこだけを切り取ると、大手生保が切り捨てた中古品と契約するのか?という感じになりますが、当時と比べるとピーナッツは復調傾向にありますので価値はあるのかもしれません。

余談ですが、1990年代はピーナッツに対して『面白くなくなった』『もうやめた方がイイ』といった声が多く(特に海外、日本ではそんな声が出るほど読まれていなかった)、リアルタイムで読んでいたワタシとしても同感でした。メットライフはよく2017年(契約終了の決定は2016年)まで引っ張ったと思います。ピーナッツが復活した理由は皮肉ですが連載が終わったことが大きいでしょう。リアルタイムでつまらないコミックを読まされた時代が過ぎ、60~70年代の黄金期が普通に読まれるようになったことで再評価が進んだんだと思います。…本当に余談。

あと、これはメットライフ生命契約時代から気になっていたんですが、日本生命の立ち位置はどうなんだ問題です。

『ニッセイのマスコットキャラ=ピーナッツ』というわけではありませんが、USJのスヌーピースタジオに協賛していますよね。加入者には優待特典もあります。今回また同業他社がライセンシーになったわけですし、今後もこのままで行くんでしょうか。スヌーピースタジオのノベルティグッズに社名を入れることもできないので、あまりメリットが無いように思えます。USJ本体のアンバサダーでありつつピーナッツとは距離を保ってもいいんではないですかね。他社の宣伝にもなりかねませんし、余計なお世話ですが。

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関係ないですが、ディズニーが「フィニアスとファーブ」を再開させたそうです。シーズン5ということですね。アメリカでは今月から、日本では8月から放送開始のようで楽しみです。正直「マイロマーフィー」がイマイチパッとしませんでしたから、再起をかけるということなんでしょう。

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2025.06.08

ピーナッツ75周年の途中経過

今更ですが、2025年も6月に入りまして、今月が終われば上半期も終了となります。更に連載開始記念日(「スヌーピーの日」とも言うらしい…登場していないのに)まで4か月となるんですが、あまり盛り上がりは感じられませんな~。

このところの日本における周年祭は前年から翌年にかけて足掛け3年行うのが通例になっていまして、今回も2024年から仕掛けが始まっていました。NiziUがアンバサダーになったりとか。しかし…なんか地味ですよね。

まあ、自分がそういう情報に触れていないだけかもしれませんので一応調べましたが、コラボアイテムのニュースばかりですね。うーん、周年祭っていうのはこういう事なんですかね?

個人的には、サントラ盤のリリースやヴィンス・ガラルディの2枚のリイシュー盤が発売されましたので、この上半期は非常に充実していました。まあ前者は75周年とは関係ないですし、どちらも海外の動きですが。

NiziUのアンバサダーってのは今どうなっているんでしょうね?

本来アンバサダーというのものは、商品でいえばそれが好きで普段から愛用している人がなるべきものです。その人が「いかに好きなのか」ということを発信してファンに訴求するものなので、単なる広告塔とは違うんですよね。ここからして履き違えているような。やっていることはアニバーサリー・ソングを歌っているくらいで、一応専用のサイトはありますが、 コラボグッズとか、ツアー最終日にスヌーピーの着ぐるみが登場するといったニュースしかなくて、むしろ逆に利用されてしまっているような気もします。

改めて自問してみましょう。ワタシは75周年をどう祝うのか。

やはり10歳の時に出会ってから自分の人格形成に多大な影響を与えてくれたコミックが、あれから50年超、連載開始から数えれば75年という長きに渡り愛され続けているということ。そして今でも自分に影響を与え続けてくれていることへの感謝ですかね。大げさでなく、人生の大半がピーナッツですからね。

残り半分で何が起こるのか?。周年に関係なくサントラ盤は発売され続けますし、新作アニメの配信もありますし、年末には恒例の書籍の出版もあるでしょう。この辺を励みにして生きていく。そんな年になるでしょう。

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2025.06.02

"Oh, Good Grief!" の75周年記念盤CDを入手する

"Oh, Good Grief!" の75周年記念盤CDが届きました。

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5月4日の記事にて、今回はアルバム単位の単独リリースではあるものの、リマスターは2018年のセット版と同様のものである可能性が高く、価値的にはデリック・バング氏の新しいライナーノーツだけになるだろう、と書きました。

エンジニアのマイケル・グレイブス本人がSNSなどで説明してくれていれば話が早かったんですが、ちょっと見つからず(同名の人も多い)、色々調べた結果、再マスタリングはされていなかったと結論づけました。ということでライナーノーツに期待がかかってきますが果たして?

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その前に、このアルバムが何なのか?というところから始めます。

これは、ヴィンス・ガラルディの3枚目のピーナッツ関連のアルバムになります。先の2枚は言わずと知れた "A Boy Named Charlie Brown" と "A Charlie Brown Christmas" です。

ガラルディは長年契約していたファンタジーとの不利な契約を不服として訴訟を起こし契約解除を勝ち取りました。その後、D&Dという自主レーベルを立ち上げますがうまく行かず、1968年にワーナーブラザーズと契約して第1弾としてこのアルバムが制作されました。

先の2枚はサントラですが、本作はサントラではありません。ピーナッツのTVスペシャル用に書いた曲のセルフリメイク・アルバムです。ガラルディは「チャーリー・ブラウンのクリスマス」以降も、「チャーリー・ブラウンのオールスターズ」の"Rain, Rain Go Away"、「チャーリー・ブラウンとカボチャ大王」の"Great Pumpkin Waltz"、「恋しているんだよ、チャーリー・ブラウン」のテーマ曲、そのほかペパミント・パティ登場シーンでよく使われる"Peppermint Patty"などなど名曲を沢山作っており、これらの曲はこのアルバムに収録されたおかげで陽があたっていたのです。ファンであるワタシにとっては非常に重要なアルバムでありました。

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さて、今回のライナーノーツで得られた情報は…

・1968年4月3日、ガラルディがワーナーブラザーズと契約したことがデイリー・バラエティ紙によって報じられた

・同年4月6日、ガラルディがビッグバンドと共演、"Oh, Good Grief!" と題するピーナッツ用の曲を集めたアルバムを発表するとキャッシュ・ボックス紙が報じた(ビッグバンドについては結果的にはガセネタ)

・実はガラルディはプレス発表前の3月22日すでに同アルバムのセッションを開始していた

・"Oh, Good Grief!" は1968年5月上旬に発売され、6月29日付ビルボードのジャズLPチャートで20位にランクインし、2週間その座にいたのち圏外になった

・ギターのエディ・デュランはこのアルバムでアコギからエレキに持ち替えた、また、ドラムのカール・バーネットがガラルディと共演したのはアルバムとしては本作のみ

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3月下旬にレコーディングを開始し、4月にプレス発表、5月上旬に発売、とすごい急ピッチで進んでいたわけですが、まあ新曲を書きおろしたわけではないですから早かったんでしょうな。ガラルディは本作こそチャート的には成功しましたが、次作は当時のサンフランシスコの音楽事情にも影響された作風で大爆死、次々作では盛り返したものの契約終了となり、70年代はアルバムを1枚も作ることなく1975年に早世してしまいました。

ともかく本作は明るくていいアルバムです。エレクトリック・ハープシコードのダビングによってカラフルになっているのと、イイ感じでスイングしている曲を選んでいるというのが大きいでしょうな。しかし、エレクトリック・ハープシコードを使用せず生ピアノを最大限活かした"Rain, Rain Go Away"と"Great Pumpkin Waltz"が中々に名演・名曲だというのがまたこのアルバムの深さでもあるところです。

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因みに、マイケル・グレイブスは1968年生まれ。奇しくもこのアルバムが発売された年の生まれなんですな。

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2025.06.01

「スヌーピー・プレゼンツ:サマーミュージカル」のあらすじを読んで思ったこと

Apple TV+ プレスにはあらすじも載っています。

この夏は、サマーキャンプの楽しさと魔法、そして大切なものを守ることの大切さを味わいましょう。チャーリー・ブラウンはキャンプが大好きで、最後の年を特別なものにしようと決意しています。一方、キャンプ初参加のサリーは、慣れない場所に不安と戸惑いを感じています。みんながキャンプに慣れていく中、スヌーピーとウッドストックは宝の地図を見つけ、近くのワイルドな冒険へと誘います。

・・・ええ?…チャーリー・ブラウンってキャンプが大好きなの??

まあこれは考えようで、昨年の作品「キャンプスヌーピー」での経験を踏まえてということなんでしょう。ただそうすると、サリーの『キャンプ初参加』というのは矛盾になってしまいますが。そうか~、初参加か~。昨年もホームシックになるサリーを観させられましたが、今年もまた何か似たようなものを観させられるんでしょうな…。あと初参加という設定にした以上は、キャンプでナオミと再会、なんてイベントは無いんでしょうな。

最後の年、という記述がちょっと引っ掛かりますが、これは参加者が減ったためにキャンプが閉鎖されるという事らしいです。あらすじを続けます。

ある朝、ピーナッツの仲間たちは、毎年夏にキャンプ参加者が減っているため、愛するキャンプが閉鎖されることを知ります。特にチャーリー・ブラウンは、自分と仲間たちにとって大切な場所を失うことに絶望を感じ、深い悲しみに暮れます。一方、冒険の途中でスヌーピーとウッドストックは念願の宝箱を見つけますが、中身は宝物ではなく、キャンプで過去に行われた夏のコンサートの楽器と写真だったことに気づき、すぐにがっかりします。新たなインスピレーションを得たチャーリー・ブラウンとピーナッツの仲間たちは、その宝物を使ってキャンプを救うため、自分たちでコンサートを開催します。

ここまでストーリーをオープンにして大丈夫なんでしょうか。何だかどういう内容になるのか大方解ってしまったような…。音楽で勝負ってことでしょうかね?

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因みに、シュルツさん本人は実はサマーキャンプに参加したことはなくて、これは自らの従軍経験のメタファーなんです。ですので、必然的に楽しい対象としては描かれていないわけです。生きていたら何と思われるか…。

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2025.05.31

Apple TV+ の新作アニメ発表になる

5月20日、Apple TV+ プレスにおいて今年の新しいピーナッツ・アニメの配信が発表されました。日本語版での発表はまだないようですが。

タイトルは、“Snoopy Presents: A Summer Musical”。配信日は7月18日、40分の作品になるそうです。

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昨年、「スヌーピーのハッピーキャンプ」のシーズン2の制作が発表されましたので、夏はコレで、「スヌーピー・プレゼンツ」シリーズの新作は秋から冬にかけてになると思っていました。「ハッピーキャンプ」は来年でしょうか?しかし今回の作品はサマーキャンプが舞台ですし、そうすると3年続けてキャンプが舞台の作品が続くことになりますので、「ハッピーキャンプ」は今回の作品に吸収されてしまった可能性もあり得ますね。

まあ、ともかくミュージカルなわけです。プレスでは『30年以上ぶりのミュージカル』と煽っていますが、果たしてどうなることやら。

メンツは、お馴染みのジェフ・モローと、「スヌーピー・プレゼンツ:それは小さなことだけど」のテーマ曲を担当したベン・フォールズですので、良メロが出てくることは間違いはないと思います。ここは信頼できると思いますが、アメリカの子供たち(カナダで作っているからカナダ人かな?)の歌唱力がどんなもんなのか、というところですな。

まあ、歌だけ別人が担当するというのは古くはオードリー・ヘップバーンなどでも適用されていますので、その可能性もあります。

日本語吹き替え版?

今回は吹き替え版は作られない可能性もあると思います。というのも、現在Apple TV+が配信している「君はいい人、チャーリー・ブラウン」は字幕版オンリーだからです。子役声優に歌まで歌わせるのは負荷がかかりすぎるという判断か、はたまたお金をかけたくないだけか、その辺はわかりませんが、とりあえずリスクは回避されていますね。

今思い返しますと、NHK衛星第2で放送した "This Is America, Charlie Brown: The Music And Heroes of America(邦題「アメリカへようこそ 音楽とヒーロー」 )" で歌も吹き替えていたのは大英断でしたね。はっきり言って大惨事でしたが。

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2025.05.12

アメリカ版「アニメと原作は違う」

このところ、ピーナッツのブログでありながらちょこっとズレたことを書いてますね。ペイジ・ブラドック氏は一応関係者ではありますが。ズレたついでに海外コミックのアニメ化について(多分に主観的です)。

「アニメと原作は違う」というのは、かつてのテレビアニメで当たり前のように行われていた原作の改変について、原作者とアニメ制作側双方から言われていた言葉です。その結果として面白くなろうが逆であろうが視聴者はそれを受け入れるしかなかったんですが、やはりつまらなかった時はモヤってしまいますよね。最近はSNSの発達もあり勝手なことをするとファンも原作者も声を上げやすくなりました。アニメはだいぶ良くなったと思いますが、ドラマの方は相変わらずですね。

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ワタシはピーナッツのTVスペシャルは70年代までのものはかなり好きです。それはシュルツさんがシナリオに関わっていたというのが大きいかもしれませんが、原作とは違ったオリジナル・ストーリーでありながらも同じ世界観だというお約束がしっかりしていたので、どんなストーリーが展開されるのだろうとワクワクしながら観ることができました。

しかし同じシュルツ=メンデルソン=メレンデス体制で作っているにもかかわらず、80年代以降のコレジャナイ感は何なんでしょうな。もう一人の主要人物ヴィンス・ガラルディの不在が影響しているんでしょうか?

まあともかくも、ガーフィールドのアニメ版なんぞを観ますと、ピーナッツの原作との乖離(80年代以降)は全然マシな方とか思えてきてしまいます。ガーフィールドとかは凄いですよね。最初から原作を無視してますよね。あれ程の原作と似ても似つかないアニメ化というのも中々無いんじゃないでしょうか。

幼稚園の時に大好きだった「ビートル・ベイリー」も、大人になってから観返すと結構原作と違うんですよね。原作のスノーケル軍曹は童貞で女性や恋愛というものに幻想を抱いていたりするんですが、アニメですと普通に女性をエスコートしていたりしてますしね。

幼稚園の頃というと、かの「クレイジー・キャット」のアニメも好んでよく観ていました。あれはどうやらチェコスロヴァキア(当時)制作だったようですが、確かに独特の色遣いとかアメリカにはない美意識は感じられました。クレイジー・キャットは原作では性別を超越した存在なのですが、アニメ版はかなり女性っぽい品が強調されていてワタシは当然のように女性だと思っていました。

「ブロンディ」のアニメも観たことがありますが、あれは多分日本のスタジオが作ってますね。作風がそんな感じでした。演出が悪い意味で日本のアニメっぽくて「ブロンディ」にはそぐわないような気がしました。スラップスティックも過度でいただけませんでしたな。

「ブロンディ」はモノクロのTVドラマも観たことがあります。ダグウッド役が二枚目俳優で違和感がありましたが、理想的な家庭を描くにはあのくらいがちょうど良かったのかもしれません。アメリカ国内での評価はともかく、私は嫌いじゃないですね。

アルゼンチンのコミック「マファルダ」は「おませなマハルダ」のタイトルでNHKで放送していたようですが、これは観たことが無いのでわかりません。松島トモ子がサリー・ブラウンに次いで吹き替えていたそうですのでとても興味はあります。逆にキャシー・ガイズワイトの「キャシー」はアニメは知っていても原作を知らないので何とも言えません。

「ポパイ」のアニメも好きでしたが、あれが原作と比べるとどうかというのは、ちょっとわかりません。というのも、私が読んだ「ポパイ」のコミックはツルコミではなく講談社のもので、どうもあれは所謂『本物』ではないっぽいんですよね。実際、シュルツさんが影響を受けるほどのコミックには思えませんでしたし。ただ、アニメは面白いですよね。ロビン・ウィリアムス主演の映画版はアニメ版の映画化と言ってもいいんじゃないでしょうか。面白いかどうかではなくてインパクトを覚えたのは「ニシン泥棒」の回です。ニシンの缶詰倉庫を舞台にした話で、「アメリカ人もニシンを食べるんだ」と子供心に思ったものです。

ここまで所謂アメコミのアニメについては書いてませんが、あれらは割愛します。我々日本人は変な翻訳版を観せられていましたし(悪役が名古屋弁だったり)。ああいうのは60年代までだと思ってましたが、のちに「三宅裕司のバットマン」というとんでもないのが登場しましたね。

そういえばトーベ・ヤンソンが虫プロ版「ムーミン」の試写を観て「刺激的だ」と文句を言ったというのがツルコミの後書きに載ったことがありましたね。兎角アニメ化というのは難しいもんなんでしょうかね…。

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2025.05.11

ペイジ・ブラドック氏のコミック

シュルツ・ミュージアムのYouTubeチャンネルの"Paige Braddock: 2025 Sparky Award Recipient" という動画についての3回目です。

この動画の対談によりますと、ブラドック氏は最初はカウボーイの漫画を描いていたようです。ある時、漫画家のデイヴ・グローリーに「なぜカウボーイ漫画を描いているのか?」と質問されたそうで、このことが結構印象深かったそうです。

デイヴ・グローリーの意図は、何故、女性なのに男性(よりによってカウボーイ)の主人公の漫画を描いているのか?という事だと思われますが、ブラドック氏としては当時のコミックにおける女性キャラの立ち位置が主体的なものが少なかったから自然とそうなっていたという感覚だったようです。ともかくこれを機に女性主人公ものにシフトチェンジして、そこから新聞に掲載されるようになっていったようです。

ちょっと話がずれますが、地元の図書館に「アメリカン・コミックスへの旅」というのがありまして、著者が女性でしたので変わっているなと思って借りて読んでみたんですが、タイトルでアメリカン・コミックと謳っているものの、実はアンダーグラウンド・コミックの紹介本だったのでとても驚きました。

一般にアメコミというとマーベルやDCなどの大手を指しますが、その他にもアンダーグラウンド・コミックなども存在するんですよね。そしてもちろん四コマ漫画も。で、マーベルやDCのような所謂分業制の大手のコミックと違い、アンダーグラウンド・コミックはもっと作家性が強いものが多いようです。大手にはいない女性コミック・アーティストもここには結構いるようで、同書では女性作家ならではの悩みなどを題材にしたアンソロジーの存在なども紹介されています。

何というコミック作家だったのか忘れましたが、コミックはもっと作家の主張が反映されるようになっていくべきだ、というようなことを割と早い段階で言っていた人がいて(そういった中でピーナッツなども登場したようですが)、女性作家でしたら自分の主張を出すのに女性主人公を使うのが自然でしょう。ですからブラドック氏のようにカウボーイ漫画を描いていたというのは不思議だったんでしょう。キャシー・ガイズワイトの「キャシー」も女性主人公ですし名前からして作者の投影っぽいですよね。

ブラドック氏の"Jane's World"のジェーンは新聞社に勤めているようですが、この辺もブラドック氏の経験に基づいてますね。

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プロジェクターにとある"Jane's World"のストリップが映されてその説明をしていますが、ジェーンが研修生にドーナツを買いに行かせて、グレイズドドーナツを期待していたのにヴィーガン用のドーナツを買ってきてしまって高くついたとか、いきなりゾンビが出てきてゾンビは医療も休暇も必要なく健康保険にお金を払いたくない新聞社的にOKだとか、ゾンビがアルミホイルを電子レンジに入れて火事を起こすとか…この辺はちょっと英語力が足りなくてよくわかりませんが…結構エキセントリックでナンセンスなコミックを描く人なのかな?というような印象を持ちました。

ブラドック氏にしてもガイズワイト氏にしても日本ではコミックが読めませんので残念ですな。アメリカの女性作家の本をもっと読んでみたいと思ったのでした。

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2025.05.10

ペイジ・ブラドック氏の好きなストリップ

シュルツ・ミュージアムのYouTubeチャンネルの"Paige Braddock: 2025 Sparky Award Recipient" という動画についての2回目です。

ペイジ・ブラドック氏が漫画にハマるきっかけとなったのはやはりピーナッツで、8歳頃のことだったそうです。そこで彼女が好きなストリップがスクリーンに映し出されました。

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ワタシは作画力から彼女のことをこれまで比較的ネガティヴに捉えてきましたが、この動画を通じてそれが解消されつつあります(上から目線なのは失礼)。といいますが、むしろ好きですよ。何ですか、このチョイスは。

車を追いかけるというのは犬の仕事なんですよね。それでスヌーピーはバスに乗って町まで出勤して、ひとしきり車を追いかけた後にまたバスに乗って帰宅する、とそういう話です。いやいや、素晴らしい!これがお気に入りだなんて彼女は最高ですよ。

返す刀でこんなことを書くのも何ですが、『私の好きなピーナッツのストリップ投票』とかで所謂名言っぽいのが上位になったり(そういうのしか選択肢になかったり)というんじゃダメですよね、やっぱり。当り前ですが彼女もアメリカ人ですから、コメディやギャグマンガとしてのピーナッツのことがちゃんと解ってますね。

ワタクシゴトで恐縮ですが、実は職場ではピーナッツ好きなことは割と伏せていましてね。それでもちょっとしたきっかけや話の流れで「実はピーナッツが結構好きなんですよ」てなことを数人に話したりしました。そうしますと本当に異口同音にみんながみんな「ピーナッツって深いんですよね」と返してくるんですよ。何なんですか、これは。こんな認識にしてしまったライセンシーの責任は軽くないですよ!

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ブラドック氏は、他に好きなコミックとして「ビートル・ベイリー」を挙げておられました。

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おおっ、ますますイイですね。ワタシも大好きなビートル・ベイリー。ワタシは幼稚園の頃、テレビで観てましたよ。初めて好きになったカートゥーンがコレです。

作者は、モート・ウォーカー。このブログでも何度も書いてますが、彼はシュルツさんより1年年下ですがシュルツさんデビューした時には既に売れていて、シュルツさんの全米漫画家協会加入のために奔走した人でもあります。そして(最近知ったばかりですが)彼もスパーキー・アワードを受賞しています。ワタシは鶴書房のビートル・ベイリー全10巻は揃えました。好きです本当に。

しかし、モート・ウォーカーは過去の人のようですね。ブラドック氏が対談で「古い漫画を知らない人に言っておきますが」と前置きしているように現役感はなさそうです。

彼女曰く、ビートルには共感していたんだそうです。彼は戦争に携わらない変人が多い部隊所属のダメな二等兵で、ちょっと怠け者で何でもうまくやり過ごせればいいというタイプのキャラです。憧れだったんでしょうか?彼女のコミック "Jane’s World(同性愛の話らしいです)"と主人公のジェーンはビートルに似ているらしく、このコミックに影響を受けていると言っています。読んでみたいですな。

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この動画については他にも書きたいことがありますので、それはまた改めて。

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2025.05.09

"You're Good Sport, Charlie Brown" のサントラ盤、7月11日発売決定!

リー・メンデルソン・フィルム・プロダクションズから7月11日に"You're Good Sport, Charlie Brown" のサントラ盤が発売されるというアナウンスがありました。

先日、"Coming Soon" の動画がアップされたばかりでしたが、早い発表でしたね。YouTubeチャンネルではサントラから"Motocross"がアップされています。

 

この1曲を聴いた感想ですが、正直言いましてちょっと不安ですね~。

ミックスがあまりよくありません。ベースが前に出過ぎていて、アープストリングがほとんど聴こえません。TVスペシャルを観ればわかりますが、この曲はアープの過剰さが一種魅力になっているのです。全体的にこのようなバランスにならないことを祈るしかないですが…。

「チャーリー・ブラウンのイースター」収録のベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章については楽器のバランスが調整できたわけですから、ひょっとすると『自然なバランス』になるように意図的にこのようなミックスにしたという可能性もありますが、果たして最終的にどうなりますか。

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リー・メンデルソン・フィルム・プロダクションズからのCDはこれで6枚目になりますが、これまでリリースされてきたCDが日本のガラルディ・ファンの手元にどれだけ届いているのかがちょっと気になります。

国内盤が発売されていないのは勿論ですが、タワーレコードやHMVなど主要な輸入盤を扱うショップで発売日前に予約しても入手まで1か月以上かかるのですから、当然リアル店舗で店頭販売はされていないでしょう。snoopy.co.jp、おかいものスヌーピー、ブラウンズストアなど、公式と言われるところでも全くアナウンスされていません。

つまり、需要はあるかもしれませんが、情報自体が全く足りていないのです。

ワタシのように、

1.リー・メンデルソン・フィルム・プロダクションズのYouTubeチャンネルをお気に入り登録している

2.デリック・バング氏のブログ "Impressions of Vince" をブックマークしている

3.定期的に "Charlie Brown" のキーワードで海外の音楽系ショップのサイトをチェックしている

というように自分から情報を取りに行っていないと中々得られないと思います(まあ、現在であれば1.または2.だけチェックしていれば充分ですが)。

ワタシと同世代で70年代にNHKでTVスペシャルを観ていた人であれば、ヴィンス・ガラルディの音楽に惹かれた人も少なくないのではないかと思うんですが。もちろん、若い方でもいるでしょう。そういう方々には是非とも入手していただきたいんですが、如何せんこのような弱小ブログで宣伝しても殆ど効果は無いでしょうし、何とももどかしい限りです。

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そういえば2017年、アメリカのサントラ専門レーベルKRITZERLANDから、映画"A Boy Named Charlie Brown" の『音楽だけ』のサントラCDが限定発売されました。確か全世界で限定1000枚で、あの時はタワーレコードで買えました。

タワーレコードは元々あのレーベルが強くて、マニアックな限定CDをよく取り扱っていましたね。「ナイトライダー」のCDとか買っちゃいましたよ。閑話休題。

ワタシも情報収集していたおかげでこれを見逃さず入手できましたし、拙ブログでそれを知った数人の人から購入できた喜びの声をいただいたこともありましたっけね。今も微力ながらもそのような貢献ができていればいいんですが…。

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2025.05.08

「シュローダー」の別ヴァージョン(from "Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown: Expanded Edition")

本題の前に、昨日の記事で『曲によってステレオ感が弱いようなミックスがある』ということを書いたことについて。ライナーをよく読みますとセッションは5月26日と9月11日にサンフランシスコのコースト・レコーダーズ、10月26日に南カリフォルニアのホイットニー・スタジオで3回に分けて行われたようです。この辺がムラの原因でしょうかね?

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今回発売になった "Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown: Expanded Edition" の目玉と言えば、「シュローダー」の別ヴァージョンの収録でしょう。

この「シュローダー」という小品は、ショパンのプレリュード作品28-7を思わせる落ち着いた雰囲気のピアノ・ソロ曲で、正に「シュローダー」というタイトルにふさわしい感じに仕上がっています。

しかし実はこの曲にはピアノ・トリオで演奏したヴァージョンもあって、それが今回のアルバムに収録されるというアナウンスが発売前から流れていたので、それは一体どのようなものなのかと、とても興味を持っていました。

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さて、「シュローダー」の別テイクは、7曲目にテイク3、10曲目にテイク2が収録されています。

まずテイク2です。お馴染みのメロディがスタッカート気味に登場します。確かにトリオ演奏ですが、テーマを2回繰り返すだけでブリッジが無く、48秒で終わってしまいます。う~ん。発展途上とはいえ寂しい。ちょっと肩透かしでしたかね。

テイク3を聴いてみましょう。  これは…。これまた悩ましい。ガラルディは全然別物に仕上げてきました。出だしはちょっと「チャーリー・ブラウン・テーマ」を思わせるメロディで、聴き進んでいくと薄っすらと「シュローダー」のような気がしてきますが、いやいやコレは別物でしょう。テイク2からテイク3へと大きく軌道修正した後、どのようにピアノ・ソロのあの完成形に辿り着いたのかが、逆に不思議になってきました。これは全テイクが公開されないと判らないですね。

結論からしますと、ちょっと期待が大きすぎたようですな。ワタシが勝手にあの完成形にベースとドラムが加わったようなものを想像していただけですから。テイク3は別の曲としてはまあまあ楽しめますのでそれで良しとしますかね。

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しかし、この曲には他にも謎があるのです。

今回のアルバムには未収録ですが、歌詞が付いたヴァージョンも存在しています。

そのヴァージョンは、「チャーリー・ブラウンの休日(原題:Charlie Brown's Holiday Hits)」というCDに、"Oh, Good Grief! (Vocal)" というタイトルで収録されています。曲は子供2人によるアカペラです。


ああ、君は野球で900試合も負けたし
それに君を罵るのは僕らは大好きだし
それに君は凧揚げも習ったことないし
それに君はペンがないから書くこともできないし
それに君はお昼休みは一人で座って落ち込んでるし
君は優柔不断な間抜けなヤツさ
チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
君には希望なんて一つもないよ

「やったー!やったー!
 あの新しい女の子が
 今日お昼休みに、僕に微笑んでくれたんだ!」

そして今夜、僕は家に帰って祈るよ
明日彼女が来てこう言ってくれるように
「チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
 あなたと知り合えて嬉しいわ」

ああ、あの新しい女の子がこっちを見てるよ
ああ、ヤレヤレ、こっちで呼んでるよ
「チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
 何してるの?」

「ああ、何でもないよ!何でもないよ!
 何かしたいことある?」
「私の新しい凧を揚げるのはどう?」

「君の凧を揚げられたら、とても誇りに思うよ。
 僕は全力で走るよ。」
「チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン。
 しっかりつかまえててね。」

ああ、彼は凧を空に上げてるよ
ああ、ソイツは木に当たって、壊れちゃうよ
「チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
 壊しちゃったみたいね」

「僕はあの木に登るよ
 僕は君の凧を降ろしてあげるよ」
「気をつけて、気をつけて
 木から落ちちゃうよ」

「あぁ、恥ずかしくて死んでしまいそう」
「大丈夫よ、男らしいトライだったわ
 チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
 あなたと知り合えて嬉しいわ」

…歌詞は大体こんな感じです。

最後はチャーリー・ブラウンの願いが叶うというオチにはなっているものの、最初のヴァースの歌詞の辛辣なこと。これがショパンのプレリュード7番に似た優雅なメロディに乗るんですからね。

しかもいつの間にかチャーリー・ブラウンの歌になってしまっていますし。特に♬チャーリー・ブラウン~チャーリー・ブラウン~、のところはメロディにぴったりで、最初からそのような譜割りで作曲しているようにすら思えます。

この曲は何のために作られたのでしょうか。そして、トータルタイムが原曲よりも長くなっているという皮肉。しかし、愛らしい小品であることに変わりはありません。

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2025.05.07

"Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown: Expanded Edition"のCDを聴く

一昨日、このアルバムのリリースにまつわる話についてライナーノートで知ったことなどを書きましたが、今日は収録曲についてです。

まず、リマスタリングについてですが、全体的にペシャっとしたサウンドだったのが改善されてかなり聴きやすくなっていまして、ここは良かったと思います。ただ、曲によって今一つステレオ感が弱いようなミックスもあったんですが、ここまでは改善できなかったのは残念です。まあ贅沢ですが。

ただ、ヴィンス・ガラルディの代表作ともいえる「黒いオルフェ」では、旧盤CDなどでドラムとベースが曲によって左右入れ替わったりドロップアウトがあったりといった問題点がリマスター盤ですべて改善され劇的に聴きやすくなったといった例もありましたんで、多少は期待していました。

ともかく、今後このアルバムを購入する(日本の会社がCDをリリースする)場合は、こちらのヴァージョンにしていただきたいなと感じます。

・・・・・・

続いてDisc2の未発表音源です。曲順はオリジナル版ではなく未発表音源のものです。

Disc2は「ライナス・アンド・ルーシー」のスタジオ・テスト・ヴァージョンで幕を開けます。そうなんですよね。「ライナス・アンド・ルーシー」が初めて世に出たのはこのアルバムなんですよね。早めのテンポでサッとピアノで弾いていますが、粗削りながらもテーマ~ブリッジ~エンディングという曲の構成は既に確立されています。リー・メンデルソンはコレを聴いて「なぜか私の人生全体に影響を与えるような確信を持った」と思ったそうですが、70年代からピーナッツのTVスペシャルを観てきたワタシとしても、コレがピーナッツの代表曲だという刷り込みがない状態でも最も印象的な曲だと思いましたし、この曲には特別なマジックがありますね。

次いで2曲目に収録されているテイク3ではブラッシュアップされたトリオ演奏になっていますが、なぜかテストであったブリッジやエンディングが消えてしまっています。これは不思議ですね。逆だったらわかりますが。「とりあえずテーマ部分だけトリオで演奏してみようか」という感じで録ったんでしょうかね。

3曲目は「ハピネス・テーマ(Take4)」。完成版では「ハピネス・イズ」にタイトルが変わっています。このTake4はほぼ完成形ですが、ひょっとするとこっちの方が好きかもしれません。中間のソロもいい感じですし。エンディングについては完成版の方が考え抜かれている感じがしますが、こちらのように消え入るような終わり方をしているのも味があっていいですね。

4曲目は「ペブル・ビーチ(Take7)」で、7テイク目ですからもうほとんど完成されています。ブリッジのピアノ・ソロはこちらと完成版とどちらが好みかという違いしかないように思います。ほとんど差はありません。ただ、その後テーマに戻ってからエンディングに向っていくところの展開は基本的に同じ枠組みでありながら完成版の方が良いように思えます。テイク7の方がフェイドアウトしていないにも関わらずタイムが短いというところを見ても、完成版の方が明らかにノッてますね。

「ベースボール・テーマ」は5曲目(Take1)と8曲目(Take2)とで2ヴァージョン収録されています。テイク1はブリッジがほとんどない尺の短いヴァージョンで、ほぼ原型と言った感じでしょうか。テイク2は短いブリッジがあってやや長くなっていますが、まだ完成形には及んでいない感じがします。一応これもフェイドアウトなしで全曲聴けますので、ちゃんとクロージングまで聴けるというのは利点と思いますが。あと、リズムが微妙に違いますね。

「オー・グッド・グリーフ」も6曲目(Take1)と9曲目(Take1 Later session)とで2ヴァージョン収録されています。テイク1はテーマからソロに入ったと思ったらあっという間に終わります。テイク1ですし、これもほぼ原型なんでしょうな。レイターセッションの方は思わせぶり(?)なフレーズが続いた後1分30秒くらいしてようやくテーマが出てくるという構成です。これもフェイドアウトなしで全曲聴けます。って、フェイドアウト曲が多いですね、このアルバム。

11曲目は「ブルース・フォー・ピーナッツ」です。これは「ブルー・チャーリー・ブラウン」の原曲と思われます。「ブルー~」よりもキーが高くなっていますが、低い方がブルージーでいいと思って録り直したんでしょうな。因みにこの曲(テイク)は2009年のガラルディのベストアルバム "the definitive Vince Guaraldi" にも収録されていますので初登場ではありません(曲のラストに「ライナス・アンド・ルーシー」のフレーズがお遊びで入ってますが、そこも一緒です)。

で、「ブルー・チャーリー・ブラウン」の方はテイク1が13曲目に収録されています。完成版が7分27秒であるのに対し、こちらは5分27秒と2分短くなっていますが、完成版がラスト近くで速弾きになるのに対しこちらは前半から速弾きで攻めているところと、ソロの後にテーマに戻って所謂「Aトレイン」のエンディングで終わるというところが大きな違いです。これはこれでベタですがイイですね。こちらのテイクも捨てがたいです。

12曲は「チャーリー・ブラウン・テーマ(Take4)」ですが、何とキーが低いですね。ブリッジのソロも大筋は同じですが、テーマに戻る前にちょっと小休止のようなパートが挿入されているところと、これまた「Aトレイン」のエンディングで締めくくられるというところが違います。「Aトレイン」で終わった曲は全部ボツなんでしょうか??

14曲目は「フリーダ(Take1)」です。このテイクは2010年に60周年記念盤として発売されたCD「ピーナッツ・ポートレイツ」に "Alternate Version" として収録されていたものと同じで、初登場ではありません。これは完成版が4分38秒なのに対して6分10秒と長尺になっています。完成版は『テーマ~ブリッジ~テーマ~ブリッジ~テーマ』という構成で、最後のテーマ部分でフェイドアウトで終わるんですが、テイク1はその後にもう一回『ブリッジ~テーマ』があるんですね。長尺になっているのはそれが理由です。しかし、そこを除けば構成も同じですしソロも結構似ています。細部でどちらが好みなのかという話にもなりますが、甲乙付け難いというか大差ないというか…。難しいですね。

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長々書いてきましたが、今日はこの辺で。あと1曲「シュローダー」を残していますが、これはまた改めて。

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2025.05.06

ペイジ・ブラドック氏、スパーキー・アワードを受賞

シュルツ・ミュージアムのYouTubeチャンネルに"Paige Braddock: 2025 Sparky Award Recipient" という動画が上がっていましたので視聴してみました。

ワタシはまず、この"Sparky Award"なるものを認識していなかったんですが、公式サイトによると『シュルツの才能、革新性、そして人間性を体現した漫画家たちの多大な貢献を称えるもの』を表するとのことです。

それをペイジ・ブラドック氏が受賞となりますと一見手前味噌のような感じがしますが、これはカートゥーン・アート・ミュージアムとシュルツ・ミュージアムが共同でやっているもののようで、ブラドッグ氏もちゃんとクリエーターとしての実績があるからこその受賞なんですな。

初めて知りましたが、彼女はApple TV+の「君はだれ?チャーリー・ブラウン」でエミー賞を受賞していたんですね。

 

この動画は、チャールズ・M・シュルツ・クリエイティブ・アソシエイツのアレクシス・ファハルド氏との対談という形で彼女のキャリアを掘り下げています。

通して観て思ったのは、彼女はクリエーターとして中々のものを持っているということです。シュルツさんのクローンのような立ち位置というのは勿体ないのかもしれません。

感想は色々とありますが、来日してジーンさんと一緒に「世界一受けたい授業」に出演した時のことについて語っていたのが面白かったので、今日はそこだけ書きます。

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大体、以下のようなことを語っています。

日本のマーケティング・ディレクターから「ジーンさんといっしょにテレビに出ませんか?」と言われたが、ジーンさんはなんでも「イエス」と言ってしまうので2人して出演することになった。しかし、ここに落とし穴があった。
番組は有名人が出演していてクイズに答えたら景品がもらえるというというような内容だった。スタッフは製図台を置いて「絵を描いて正解者にあげてください」と言ったが、私は拒否した。それでも「台はどのくらいの高さがいい?」とか訊いてきてこちらの言い分を全然受け入れてくれない。最終的にインクで描くとすぐには乾かないので鉛筆で描くということになったが、私とジーンさんは見つめ合い「もう二度としない」と言った。

この対談はサンタローザのリサーチ・センターで行われていますが、カリフォルニア州という土地柄、大谷翔平の件が頭をよぎった人もいたんじゃないでしょうかね。何と厚かましい日本のテレビマン。恥ずかしいからやめてほしい。プロの作家を何だと思っているんでしょうか。出演していたのがシュルツさん本人だったとしても、同じことをしていたかもしれません。

因みに過去記事を調べてみますと、2018年5月19日に視聴した感想を書いていました。たった一行『あまりいい内容ではなかったなあ。先日のNHKが良かっただけに余計に思う…。』とだけ。『先日のNHK』というのは「アナザーストーリーズ」のことです。

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以下、蛇足です。

この動画でペイジ・ブラドック氏のクリエーターとしての側面に初めて触れましたので俄然興味が沸いていますが、それはそれとしてこれまでも書いていますがワタシはシュルツさんの代役としての彼女を全然評価していません。Kaboom!で出版されているグラフィックノヴェルについても、ヴィッキー・スコット氏の下書きはすごく良いのにブラドック氏がインクを入れると台無しになってしまうというのをメイキングで随分見ましたし、シュルツさんからペン先を引き継いで使っているんですから、もう少し何とかならんのかな~と、良く思っています。

正直、「世界一受けたい授業」で描いた絵も、これって欲しい?というような代物で、彼女が断ったのは即興で絵を描くことに自信が無かったからではないか?なんて邪推もしてしまうのです。

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2025.05.05

"Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown: Expanded Edition"のCD届く

4月11日発売のこのCDをようやく入手しました。

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ヴィンス・ガラルディがFantasyで録音したピーナッツのアルバムは「チャーリー・ブラウンのクリスマス」ばかりが評価され、こちらの1964年のアルバムは些か日陰者のような存在になっていました。全セッションを収録した5枚組CD/DVDが発売になっている「チャーリー・ブラウンのクリスマス」に比べれば、今回の2枚組という仕様もほんのささやかなものかもしれませんが、それでも発売されたということが大きいですね。

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「チャーリー・ブラウンのクリスマス」は同名のアニメーション番組のサントラですが、「A Boy Named Charlie Brown」は同名の未公開ドキュメンタリー番組のサントラです。

ワタシはこの「未公開」というところにずっと疑問符が付いていましたが、今回のデリック・バング氏のライナーによって真相を知ることができました。何と、番組を制作したものの、三大ネットワーク(NBC,CBS,ABC)すべてが興味を示さなかったというのです。前作"A Man Named Mays" が好評で、人気漫画家のシュルツさんのドキュメンタリーであるにも関わらず、です。リー・メンデルソンは30分の短縮ヴァージョンも作りましたが、それてもダメだったそうです(シュルツミュージアムで販売されたDVDはこの短縮バージョンで、フルサイズのものは残っていないようです)。

ヴィンス・ガラルディとFantasyは、「番組はお蔵入りしたけどレコードは作る」と発言し最後までやり遂げましたが、このようにして恐らく史上初であろう『放送されない番組のサントラ盤』という珍妙なレコードの誕生と相成った、とのことです。

確かに、アルバムのタイトルは"Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown" となっており、サントラとは謳っていませんが、のちにジャケを差し替えて再発した際はしっかりと "The Original Sound Track Of The CBS Television Special" と書かれています(ここでCBS云々と書かれているのは1969年に"Charlie Brown and Charles Schulz" のタイトルで放送されたドキュメンタリーに一部が流用されたことに因るのかもしれません)。

Fantasy側は完成したアルバムに出来については評価していて、実際世間の評判も良かったようですが、テレビ放映による相乗効果が得られなかったことによる売り上げの消失は不満だったようです。まあそうでしょうな。

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ちょっと長くなりましたので、音楽の話はまた改めて。

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2025.05.04

"Oh, Good Grief!" のレコード/CDも再発!

ピーナッツ75周年。

アメリカでも当然盛り上がってますが、記念本の発売、ファンミの開催、サントラ盤の再発など、本来の在り方はこうでしょうって感じがします。対して日本でやっていることは精々グッズ販売程度でもう全然異次元のレベル違いですね。

4月に "A Boy Named Charlie Brown" の豪華版が発売になったばかりですが、今月30日にはガラルディの1968年のアルバム"Oh, Good Grief!" が再発売になります。

 

これはボーナストラックなど一切ないシンプルなものですが、CD/ブラック・ビニール/イエロー・ビニールの3種で発売されることになっており、コレクターはイエロー盤に飛びつくだろうな、と思われます。

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このアルバムはワーナー移籍第一弾としてリリースされたものですが、2018年以降はオムニヴォア・レコーディングスが権利を持っていて、同社からのリリースは2018年に次いで2度目(セットではない単独盤としては初)となります。

気になるのは、オムニヴォア・レコーディングスのサイトによるとマイケル・グレイヴス(この人もグラミー受賞者)のマスタリングということになっている点です。実は2018年盤もマイケル・グレイヴスのマスタリングなんですよね。果たして彼は2度目のリマスタリングを行ったのか?それともただの再発売なのか?。これがプレス・リリースだけでは読み取れないんですよね~。

こうなってきますと、購入の動機はデリック・バング氏の新しいライナーノート一点ということになってきます。2018年の時もかなり濃いライナーを書いていたんですが、それを超えてくることを期待してしまいますね。イエロー盤は23.98ドルですのでやはりCDになるかもですが…。

しかしこのレコード、過去一度も日本盤が発売になったことが無いんですよね。ピーナッツ関連売上の数割を日本だけで占めているという状況の中で、書籍や音盤やビデオなどストーリー性のあるものにはほとんどお金を払っていないというこの現状、いかがなものでしょうか?

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2025.05.03

COMING SOON (!!!)

リー・メンデルソン・フィルム・プロダクションズが12秒の新しい動画をアップしました。

タイトルは "COMING SOON" 。

 

古式ゆかしきプレスマシンでレコードを作る様子と、それに被されるガラルディのカウント。そしてその後に流れるベース・リフ…。

これは紛う事なき "You're A Good Sport, Charlie Brown" ではありませんか。

つまり、次に発売されるCDはコレだってことですね。素晴らしい。まだ発売日などは発表されていませんが、少なくともこの調子で1969年以降のサントラ盤は発売してほしいものです。

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2025.04.20

「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」の図録を読む③

さすがに今回で終わりにします…。

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これは図録のみで実際には展示されていないものだと思いますが、192ページに「眠りっ子、ペパーミント パティ」というコラムがあります。

ここでは彼女が居眠りをする理由として『シングルファーザーの父親が仕事から帰ってくるのを、毎晩遅い時間まで寝ないで待っているからなのです』と書かれています。

ワタシ的には、これは半分は合っていますが100%ではない、という風に思えます。

父親がいないために夜更かしをしているというのは間違いないと思いますが、それは必ずしも帰りを待っているわけではないと思います。心ある父親であれば、自分の帰りを待たずに早く寝てほしいと考えるでしょう。要するに彼女は父親が不在で干渉が無いのをいいことに奔放にしているだけじゃないんですかね。

父親は帰りが遅いだけでなく、出張で家を空けることもあるようです。ペパミント・パティは夜中の2時に電話を掛けたりすることもありますが、こういう日は恐らく父親が出張なんでしょう(さすがに在宅していたら注意するでしょう)。

そもそも、彼女は最初から居眠りキャラだったわけではありません。確か最初はスケート大会に出場するために早起きして練習をしているために昼になると眠くなる、というものだったと思います。しかしシュルツさんは居眠りネタが面白いと感じたんでしょうな。そこで定番化に際し父親の設定を絡めて夜更かしをしているということにしたんじゃないでしょうか。

ともかく、このネタでペパミント・パティを父親想いの優しい子みたいに評するのは微妙だな~と思うのであります(彼女が父親想いで彼を愛しているのは紛れもない事実ではありますが)。

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あともう一つ。チャプター3「宿題の時間です」で、1974年1月3日のストリップ(月刊SNOOPYで言うところの『アメリカ版オバQ』最終回)を取り上げていますが、これはコミックを読んでいないとさすがに意味不明でしょうな。注釈にあるようにこの時期はコホーテク彗星が地球に接近していたんですが、スヌーピーはこれをこの世の終わりと考えて布を被るという行動に出たわけです。

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何故布を被るのかスヌーピー本人も理解していなくてナンセンスですな。このエピソードのちょっと前にも『スノウリーグが設立されて雪ダルマ作りは大人の監視下に置かれることになり、子供は自由に雪ダルマが作れなくなる』というナンセンスなエピソードがありまして、これも面白かったですね。クライマックスのチャーリー・ブラウンの"自由への疾走"にはテンションが上がりましたし、その後訪れる虚しい幕切れには苦笑したもんです。当時はピーナッツを読み始めたばかりでしたので、中々に思い入れがあります。

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最後は企画展から脱線しましたな。特定のストリップを観てそれを読んでいた当時が思い出されるということは往々にしてあるわけでして、ワタシにとってピーナッツはある種の郷愁装置になっているのです。

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2025.04.17

「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」の図録を読む②

スヌーピーミュージアム企画展の原画のチョイスを誰が行っているのかが気になることがあります。日本側にはキュレーターがいませんので本家ミュージアム側が行っている可能性が高いと思いますが、何なら企画立案自体もアチラがやっている可能性も考えられます。

となりますと、今回の「スクールライフ」というテーマなのにダンス教室ネタがあったり、「ホリデー」なのに祝日ではないハロウィンなどがあったり、「旅」なのに旅ではない海水浴があったり…というのもアチラが決めていることになります。あまり考えたくはないですが、ちょっと雑に扱われていますね。

原画のチョイスにどれだけの自由度があるのか判りませんが、ちょっとこれは無いんじゃないの?というのはずっとありますね。

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今回の「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」のチャプター2「勉強はお好き?」の中で、『サリーと学校さん』のエピソードが二つ選ばれています。一つはまだサリーが学校に対して敵意を持っている時期のものですが、もう一つはチャーリー・ブラウンが校舎に話しかけているところをルーシーに見られ…という内容のもので、この二つだけですと全く話が繋がらず見る人が困惑するのではないでしょうか。つまり、一つ目ではサリーが校舎に話しかけているのに二つ目ではチャーリー・ブラウンが校舎に話しかけている事になっているからです。

これは展示を観に来る人が『サリーが病気で登校できなくなったときに校舎にそのことを伝えるように兄にお願いして、彼はバカバカしいと思いつつも校舎に話しかけ運悪くそれをルーシーに目撃されてしまう』という話の流れを知っていれば問題ありませんが、必ずしもそういう人ばかりではないですよね。更に言うと、初めは校舎に向って悪態をついていたサリーもそのうちに愛着を持つようになる。という感情の変化も解っていないと何故チャーリー・ブラウンが校舎に話しかける羽目になるのかも解らないという事にもなります。

もう一つ、所謂『金の星事件』のエピソードから一篇だけチョイスされていますが、これもスヌーピーがペパミント・パティに変装しているところだけですので果たしてどうなのかな?と感じます。まあ前後関係なく『スヌーピーが面白い、可愛い』で済ますことはできますので展示する側的にはイイのかもしれませんが。

それぞれ図録では118ページと260ページに補足解説がありますが、10ページの凡例によるとこれは図録のみの企画のようですので、展示だけを観て図録を買わない人にはちょっと厳しいんじゃないですかね。

展示作品については『画』を観ることに全振りしているので話の流れは二の次である―――という事でしたらまあ納得せざるを得ませんが、そうではないですよね。それでは企画展の意義自体が無いことになります。

この118ページの内容も、掲載されている二つのストリップの一つは先に書いたサリーの感情の変化を表したものなのでいいチョイスだと思いますが、もう一つはこの一連のストーリーが始まる3年前の『サリーが校舎を蹴る』というもので、実はこの頃からサリーと校舎には因縁があるんだよと言いたいんでしょうか…中々にマニアックですな。

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同じ趣旨のものがチャプター5「ジョー・クールのだらだらキャンパス・ライフ」にもありまして、ジョー・クール登場(1971年)より遥か昔である1959年の『スヌーピーがキャンパスの人気者になることを夢想する』というものを参考作品として紹介しています。これも中々にマニアックな掘り起こしであります。

ただし、この1959年のこれはあくまでも『犬』として人気者になりたいというものですから、のちのジョー・クールとは全く性質の異なるものです。ベンジャミン・L・クラークはこれをもって『「クール」なふりをさせたのはこれ(1971年のストリップ)がはじめてではありません』と書いていて、ジョー・クールの萌芽がこんな昔にあったんだと言いたかったんでしょうが、これは事実誤認と言ってもいいでしょうな。

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話をチャプター3に戻します。『金の星事件』については260ページから「13話連続ストーリー」と銘打って本エピソードの全ストリップを掲載しています。これはこれで大胆ですな。何故このエピソードに限って全話紹介する気になったのかはよくわかりません。ただ、「13話連続ストーリー」などと銘打たれますと13話も続いたすごいストーリーみたいですが、そのくらいの話数の連続物はザラですから、このタイトルも良くわかりませんね。

ともかく、これらを図録のみの企画とするのはとてももったいなく、作品理解のプラスになるものですから原画ではないにしろ展示しても良かったんじゃないですかね。

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しかし、チャプター5「ジョー・クールのだらだらキャンパス・ライフ」で、1971年9月12日のサンデー版の原画が展示されているというのは素晴らしいですね。このチョイスは賞賛に値すると思います。このストリップがジョー・クールのすべてを表しているといっても過言ではありません。例えジョー・クールがこの一作だけで消えていたとしても、ジョー・クールというキャラクターは歴史に残ったであろう―――それほどの完成度だとワタシは思います。

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何だかこの原画だけは生で観たい気がしてきました。

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2025.04.16

「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」の図録を読む①

スヌーピーミュージアムの新企画展「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」は3月8日にスタートしていましたが、図録の一般販売は3月31日からとなっていました。ワタシは今月上旬には図録を入手していましたが、ようやく読みました。

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今回も序文をはじめ解説は本家チャールズ・シュルツ・ミュージアムのキュレーターであるベンジャミン・L・クラークが手掛けています。

序文によりますと、シュルツさんは1961~2年にかけてPTAの副会長~会長を務め学校の運営を内部から知る機会も得ていたとのことです。ならば、実際にその経験が作品に活かされていたのかどうかは気になりますね。というわけで、「ピーナッツ全集」の6巻(1961-1962)をおさらいしてみました。

この頃の主な学校ネタは、
1.「ライナスの母親が息子のお弁当に手紙を入れる」
2.「ライナスの父親が月曜日の夜にPTAの会合に出席する」
3.「オスマー先生が給料をもらっていることを知ってライナスがショックを受ける」
4.「学校のクリスマス会の出し物について」
といった感じです。

1.はジョイスさん(当時の奥さん)がやっていたのか、そうでなければPTAで仕入れたネタをヒントにしたのかもしれませんね。
2.はPTAをやっていたからこそのネタのように思えます。
3.はこれもPTAで仕入れたネタのように思えます。
4.もPTAですかね…。

しかしまあ、何とも言えませんね。ありがちと言えばありがちなネタですし、所詮は一読者の推測でしかありません…。

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次のチャプター「学校へいこう!」の解説文では、『「ピーナッツ」の仲間たちは1950年に連載が始まるとすぐに学校に通い始めましたが…』との記述があり、ん?連載が始まってすぐ??そうだったかな~、となりました。

原文を見ますと、"immediately" という単語を使っています。これはもう「直ちに」とかそういうニュアンスになります。『連載始まってすぐ』のギャングたちは未就学児どころか幼稚園すら通っていないような印象も受けますので、ここはちょっと事実誤認では?という感じがします。この不正確さがベンジャミン・L・クラーク氏らしいですけどね。

このチャプターで紹介されている『バス停ネタ』は全て1990年以降のものです。晩年になってから定着した定番ネタになりますが、この頃の子供を見る目はもう父ではなく祖父ですよね。何故『バス停ネタ』が連載末期に増産されたのか?ここに迫れれば大したキュレーターだと思いますけど、そこのところは残念ですね。もうちょっと頑張ってほしいところですな。

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今日はここまでです。

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