2025.05.12

アメリカ版「アニメと原作は違う」

このところ、ピーナッツのブログでありながらちょこっとズレたことを書いてますね。ペイジ・ブラドック氏は一応関係者ではありますが。ズレたついでに海外コミックのアニメ化について(多分に主観的です)。

「アニメと原作は違う」というのは、かつてのテレビアニメで当たり前のように行われていた原作の改変について、原作者とアニメ制作側双方から言われていた言葉です。その結果として面白くなろうが逆であろうが視聴者はそれを受け入れるしかなかったんですが、やはりつまらなかった時はモヤってしまいますよね。最近はSNSの発達もあり勝手なことをするとファンも原作者も声を上げやすくなりました。アニメはだいぶ良くなったと思いますが、ドラマの方は相変わらずですね。

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ワタシはピーナッツのTVスペシャルは70年代までのものはかなり好きです。それはシュルツさんがシナリオに関わっていたというのが大きいかもしれませんが、原作とは違ったオリジナル・ストーリーでありながらも同じ世界観だというお約束がしっかりしていたので、どんなストーリーが展開されるのだろうとワクワクしながら観ることができました。

しかし同じシュルツ=メンデルソン=メレンデス体制で作っているにもかかわらず、80年代以降のコレジャナイ感は何なんでしょうな。もう一人の主要人物ヴィンス・ガラルディの不在が影響しているんでしょうか?

まあともかくも、ガーフィールドのアニメ版なんぞを観ますと、ピーナッツの原作との乖離(80年代以降)は全然マシな方とか思えてきてしまいます。ガーフィールドとかは凄いですよね。最初から原作を無視してますよね。あれ程の原作と似ても似つかないアニメ化というのも中々無いんじゃないでしょうか。

幼稚園の時に大好きだった「ビートル・ベイリー」も、大人になってから観返すと結構原作と違うんですよね。原作のスノーケル軍曹は童貞で女性や恋愛というものに幻想を抱いていたりするんですが、アニメですと普通に女性をエスコートしていたりしてますしね。

幼稚園の頃というと、かの「クレイジー・キャット」のアニメも好んでよく観ていました。あれはどうやらチェコスロヴァキア(当時)制作だったようですが、確かに独特の色遣いとかアメリカにはない美意識は感じられました。クレイジー・キャットは原作では性別を超越した存在なのですが、アニメ版はかなり女性っぽい品が強調されていてワタシは当然のように女性だと思っていました。

「ブロンディ」のアニメも観たことがありますが、あれは多分日本のスタジオが作ってますね。作風がそんな感じでした。演出が悪い意味で日本のアニメっぽくて「ブロンディ」にはそぐわないような気がしました。スラップスティックも過度でいただけませんでしたな。

「ブロンディ」はモノクロのTVドラマも観たことがあります。ダグウッド役が二枚目俳優で違和感がありましたが、理想的な家庭を描くにはあのくらいがちょうど良かったのかもしれません。アメリカ国内での評価はともかく、私は嫌いじゃないですね。

アルゼンチンのコミック「マファルダ」は「おませなマハルダ」のタイトルでNHKで放送していたようですが、これは観たことが無いのでわかりません。松島トモ子がサリー・ブラウンに次いで吹き替えていたそうですのでとても興味はあります。逆にキャシー・ガイズワイトの「キャシー」はアニメは知っていても原作を知らないので何とも言えません。

「ポパイ」のアニメも好きでしたが、あれが原作と比べるとどうかというのは、ちょっとわかりません。というのも、私が読んだ「ポパイ」のコミックはツルコミではなく講談社のもので、どうもあれは所謂『本物』ではないっぽいんですよね。実際、シュルツさんが影響を受けるほどのコミックには思えませんでしたし。ただ、アニメは面白いですよね。ロビン・ウィリアムス主演の映画版はアニメ版の映画化と言ってもいいんじゃないでしょうか。面白いかどうかではなくてインパクトを覚えたのは「ニシン泥棒」の回です。ニシンの缶詰倉庫を舞台にした話で、「アメリカ人もニシンを食べるんだ」と子供心に思ったものです。

ここまで所謂アメコミのアニメについては書いてませんが、あれらは割愛します。我々日本人は変な翻訳版を観せられていましたし(悪役が名古屋弁だったり)。ああいうのは60年代までだと思ってましたが、のちに「三宅裕司のバットマン」というとんでもないのが登場しましたね。

そういえばトーベ・ヤンソンが虫プロ版「ムーミン」の試写を観て「刺激的だ」と文句を言ったというのがツルコミの後書きに載ったことがありましたね。兎角アニメ化というのは難しいもんなんでしょうかね…。

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2025.05.11

ペイジ・ブラドック氏のコミック

シュルツ・ミュージアムのYouTubeチャンネルの"Paige Braddock: 2025 Sparky Award Recipient" という動画についての3回目です。

この動画の対談によりますと、ブラドック氏は最初はカウボーイの漫画を描いていたようです。ある時、漫画家のデイヴ・グローリーに「なぜカウボーイ漫画を描いているのか?」と質問されたそうで、このことが結構印象深かったそうです。

デイヴ・グローリーの意図は、何故、女性なのに男性(よりによってカウボーイ)の主人公の漫画を描いているのか?という事だと思われますが、ブラドック氏としては当時のコミックにおける女性キャラの立ち位置が主体的なものが少なかったから自然とそうなっていたという感覚だったようです。ともかくこれを機に女性主人公ものにシフトチェンジして、そこから新聞に掲載されるようになっていったようです。

ちょっと話がずれますが、地元の図書館に「アメリカン・コミックスへの旅」というのがありまして、著者が女性でしたので変わっているなと思って借りて読んでみたんですが、タイトルでアメリカン・コミックと謳っているものの、実はアンダーグラウンド・コミックの紹介本だったのでとても驚きました。

一般にアメコミというとマーベルやDCなどの大手を指しますが、その他にもアンダーグラウンド・コミックなども存在するんですよね。そしてもちろん四コマ漫画も。で、マーベルやDCのような所謂分業制の大手のコミックと違い、アンダーグラウンド・コミックはもっと作家性が強いものが多いようです。大手にはいない女性コミック・アーティストもここには結構いるようで、同書では女性作家ならではの悩みなどを題材にしたアンソロジーの存在なども紹介されています。

何というコミック作家だったのか忘れましたが、コミックはもっと作家の主張が反映されるようになっていくべきだ、というようなことを割と早い段階で言っていた人がいて(そういった中でピーナッツなども登場したようですが)、女性作家でしたら自分の主張を出すのに女性主人公を使うのが自然でしょう。ですからブラドック氏のようにカウボーイ漫画を描いていたというのは不思議だったんでしょう。キャシー・ガイズワイトの「キャシー」も女性主人公ですし名前からして作者の投影っぽいですよね。

ブラドック氏の"Jane's World"のジェーンは新聞社に勤めているようですが、この辺もブラドック氏の経験に基づいてますね。

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プロジェクターにとある"Jane's World"のストリップが映されてその説明をしていますが、ジェーンが研修生にドーナツを買いに行かせて、グレイズドドーナツを期待していたのにヴィーガン用のドーナツを買ってきてしまって高くついたとか、いきなりゾンビが出てきてゾンビは医療も休暇も必要なく健康保険にお金を払いたくない新聞社的にOKだとか、ゾンビがアルミホイルを電子レンジに入れて火事を起こすとか…この辺はちょっと英語力が足りなくてよくわかりませんが…結構エキセントリックでナンセンスなコミックを描く人なのかな?というような印象を持ちました。

ブラドック氏にしてもガイズワイト氏にしても日本ではコミックが読めませんので残念ですな。アメリカの女性作家の本をもっと読んでみたいと思ったのでした。

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2025.05.10

ペイジ・ブラドック氏の好きなストリップ

シュルツ・ミュージアムのYouTubeチャンネルの"Paige Braddock: 2025 Sparky Award Recipient" という動画についての2回目です。

ペイジ・ブラドック氏が漫画にハマるきっかけとなったのはやはりピーナッツで、8歳頃のことだったそうです。そこで彼女が好きなストリップがスクリーンに映し出されました。

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ワタシは作画力から彼女のことをこれまで比較的ネガティヴに捉えてきましたが、この動画を通じてそれが解消されつつあります(上から目線なのは失礼)。といいますが、むしろ好きですよ。何ですか、このチョイスは。

車を追いかけるというのは犬の仕事なんですよね。それでスヌーピーはバスに乗って町まで出勤して、ひとしきり車を追いかけた後にまたバスに乗って帰宅する、とそういう話です。いやいや、素晴らしい!これがお気に入りだなんて彼女は最高ですよ。

返す刀でこんなことを書くのも何ですが、『私の好きなピーナッツのストリップ投票』とかで所謂名言っぽいのが上位になったり(そういうのしか選択肢になかったり)というんじゃダメですよね、やっぱり。当り前ですが彼女もアメリカ人ですから、コメディやギャグマンガとしてのピーナッツのことがちゃんと解ってますね。

ワタクシゴトで恐縮ですが、実は職場ではピーナッツ好きなことは割と伏せていましてね。それでもちょっとしたきっかけや話の流れで「実はピーナッツが結構好きなんですよ」てなことを数人に話したりしました。そうしますと本当に異口同音にみんながみんな「ピーナッツって深いんですよね」と返してくるんですよ。何なんですか、これは。こんな認識にしてしまったライセンシーの責任は軽くないですよ!

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ブラドック氏は、他に好きなコミックとして「ビートル・ベイリー」を挙げておられました。

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おおっ、ますますイイですね。ワタシも大好きなビートル・ベイリー。ワタシは幼稚園の頃、テレビで観てましたよ。初めて好きになったカートゥーンがコレです。

作者は、モート・ウォーカー。このブログでも何度も書いてますが、彼はシュルツさんより1年年下ですがシュルツさんデビューした時には既に売れていて、シュルツさんの全米漫画家協会加入のために奔走した人でもあります。そして(最近知ったばかりですが)彼もスパーキー・アワードを受賞しています。ワタシは鶴書房のビートル・ベイリー全10巻は揃えました。好きです本当に。

しかし、モート・ウォーカーは過去の人のようですね。ブラドック氏が対談で「古い漫画を知らない人に言っておきますが」と前置きしているように現役感はなさそうです。

彼女曰く、ビートルには共感していたんだそうです。彼は戦争に携わらない変人が多い部隊所属のダメな二等兵で、ちょっと怠け者で何でもうまくやり過ごせればいいというタイプのキャラです。憧れだったんでしょうか?彼女のコミック "Jane’s World(同性愛の話らしいです)"と主人公のジェーンはビートルに似ているらしく、このコミックに影響を受けていると言っています。読んでみたいですな。

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この動画については他にも書きたいことがありますので、それはまた改めて。

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2025.05.09

"You're Good Sport, Charlie Brown" のサントラ盤、7月11日発売決定!

リー・メンデルソン・フィルム・プロダクションズから7月11日に"You're Good Sport, Charlie Brown" のサントラ盤が発売されるというアナウンスがありました。

先日、"Coming Soon" の動画がアップされたばかりでしたが、早い発表でしたね。YouTubeチャンネルではサントラから"Motocross"がアップされています。

 

この1曲を聴いた感想ですが、正直言いましてちょっと不安ですね~。

ミックスがあまりよくありません。ベースが前に出過ぎていて、アープストリングがほとんど聴こえません。TVスペシャルを観ればわかりますが、この曲はアープの過剰さが一種魅力になっているのです。全体的にこのようなバランスにならないことを祈るしかないですが…。

「チャーリー・ブラウンのイースター」収録のベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章については楽器のバランスが調整できたわけですから、ひょっとすると『自然なバランス』になるように意図的にこのようなミックスにしたという可能性もありますが、果たして最終的にどうなりますか。

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リー・メンデルソン・フィルム・プロダクションズからのCDはこれで6枚目になりますが、これまでリリースされてきたCDが日本のガラルディ・ファンの手元にどれだけ届いているのかがちょっと気になります。

国内盤が発売されていないのは勿論ですが、タワーレコードやHMVなど主要な輸入盤を扱うショップで発売日前に予約しても入手まで1か月以上かかるのですから、当然リアル店舗で店頭販売はされていないでしょう。snoopy.co.jp、おかいものスヌーピー、ブラウンズストアなど、公式と言われるところでも全くアナウンスされていません。

つまり、需要はあるかもしれませんが、情報自体が全く足りていないのです。

ワタシのように、

1.リー・メンデルソン・フィルム・プロダクションズのYouTubeチャンネルをお気に入り登録している

2.デリック・バング氏のブログ "Impressions of Vince" をブックマークしている

3.定期的に "Charlie Brown" のキーワードで海外の音楽系ショップのサイトをチェックしている

というように自分から情報を取りに行っていないと中々得られないと思います(まあ、現在であれば1.または2.だけチェックしていれば充分ですが)。

ワタシと同世代で70年代にNHKでTVスペシャルを観ていた人であれば、ヴィンス・ガラルディの音楽に惹かれた人も少なくないのではないかと思うんですが。もちろん、若い方でもいるでしょう。そういう方々には是非とも入手していただきたいんですが、如何せんこのような弱小ブログで宣伝しても殆ど効果は無いでしょうし、何とももどかしい限りです。

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そういえば2017年、アメリカのサントラ専門レーベルKRITZERLANDから、映画"A Boy Named Charlie Brown" の『音楽だけ』のサントラCDが限定発売されました。確か全世界で限定1000枚で、あの時はタワーレコードで買えました。

タワーレコードは元々あのレーベルが強くて、マニアックな限定CDをよく取り扱っていましたね。「ナイトライダー」のCDとか買っちゃいましたよ。閑話休題。

ワタシも情報収集していたおかげでこれを見逃さず入手できましたし、拙ブログでそれを知った数人の人から購入できた喜びの声をいただいたこともありましたっけね。今も微力ながらもそのような貢献ができていればいいんですが…。

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2025.05.08

「シュローダー」の別ヴァージョン(from "Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown: Expanded Edition")

本題の前に、昨日の記事で『曲によってステレオ感が弱いようなミックスがある』ということを書いたことについて。ライナーをよく読みますとセッションは5月26日と9月11日にサンフランシスコのコースト・レコーダーズ、10月26日に南カリフォルニアのホイットニー・スタジオで3回に分けて行われたようです。この辺がムラの原因でしょうかね?

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今回発売になった "Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown: Expanded Edition" の目玉と言えば、「シュローダー」の別ヴァージョンの収録でしょう。

この「シュローダー」という小品は、ショパンのプレリュード作品28-7を思わせる落ち着いた雰囲気のピアノ・ソロ曲で、正に「シュローダー」というタイトルにふさわしい感じに仕上がっています。

しかし実はこの曲にはピアノ・トリオで演奏したヴァージョンもあって、それが今回のアルバムに収録されるというアナウンスが発売前から流れていたので、それは一体どのようなものなのかと、とても興味を持っていました。

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さて、「シュローダー」の別テイクは、7曲目にテイク3、10曲目にテイク2が収録されています。

まずテイク2です。お馴染みのメロディがスタッカート気味に登場します。確かにトリオ演奏ですが、テーマを2回繰り返すだけでブリッジが無く、48秒で終わってしまいます。う~ん。発展途上とはいえ寂しい。ちょっと肩透かしでしたかね。

テイク3を聴いてみましょう。  これは…。これまた悩ましい。ガラルディは全然別物に仕上げてきました。出だしはちょっと「チャーリー・ブラウン・テーマ」を思わせるメロディで、聴き進んでいくと薄っすらと「シュローダー」のような気がしてきますが、いやいやコレは別物でしょう。テイク2からテイク3へと大きく軌道修正した後、どのようにピアノ・ソロのあの完成形に辿り着いたのかが、逆に不思議になってきました。これは全テイクが公開されないと判らないですね。

結論からしますと、ちょっと期待が大きすぎたようですな。ワタシが勝手にあの完成形にベースとドラムが加わったようなものを想像していただけですから。テイク3は別の曲としてはまあまあ楽しめますのでそれで良しとしますかね。

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しかし、この曲には他にも謎があるのです。

今回のアルバムには未収録ですが、歌詞が付いたヴァージョンも存在しています。

そのヴァージョンは、「チャーリー・ブラウンの休日(原題:Charlie Brown's Holiday Hits)」というCDに、"Oh, Good Grief! (Vocal)" というタイトルで収録されています。曲は子供2人によるアカペラです。


ああ、君は野球で900試合も負けたし
それに君を罵るのは僕らは大好きだし
それに君は凧揚げも習ったことないし
それに君はペンがないから書くこともできないし
それに君はお昼休みは一人で座って落ち込んでるし
君は優柔不断な間抜けなヤツさ
チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
君には希望なんて一つもないよ

「やったー!やったー!
 あの新しい女の子が
 今日お昼休みに、僕に微笑んでくれたんだ!」

そして今夜、僕は家に帰って祈るよ
明日彼女が来てこう言ってくれるように
「チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
 あなたと知り合えて嬉しいわ」

ああ、あの新しい女の子がこっちを見てるよ
ああ、ヤレヤレ、こっちで呼んでるよ
「チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
 何してるの?」

「ああ、何でもないよ!何でもないよ!
 何かしたいことある?」
「私の新しい凧を揚げるのはどう?」

「君の凧を揚げられたら、とても誇りに思うよ。
 僕は全力で走るよ。」
「チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン。
 しっかりつかまえててね。」

ああ、彼は凧を空に上げてるよ
ああ、ソイツは木に当たって、壊れちゃうよ
「チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
 壊しちゃったみたいね」

「僕はあの木に登るよ
 僕は君の凧を降ろしてあげるよ」
「気をつけて、気をつけて
 木から落ちちゃうよ」

「あぁ、恥ずかしくて死んでしまいそう」
「大丈夫よ、男らしいトライだったわ
 チャーリー・ブラウン、チャーリー・ブラウン
 あなたと知り合えて嬉しいわ」

…歌詞は大体こんな感じです。

最後はチャーリー・ブラウンの願いが叶うというオチにはなっているものの、最初のヴァースの歌詞の辛辣なこと。これがショパンのプレリュード7番に似た優雅なメロディに乗るんですからね。

しかもいつの間にかチャーリー・ブラウンの歌になってしまっていますし。特に♬チャーリー・ブラウン~チャーリー・ブラウン~、のところはメロディにぴったりで、最初からそのような譜割りで作曲しているようにすら思えます。

この曲は何のために作られたのでしょうか。そして、トータルタイムが原曲よりも長くなっているという皮肉。しかし、愛らしい小品であることに変わりはありません。

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2025.05.07

"Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown: Expanded Edition"のCDを聴く

一昨日、このアルバムのリリースにまつわる話についてライナーノートで知ったことなどを書きましたが、今日は収録曲についてです。

まず、リマスタリングについてですが、全体的にペシャっとしたサウンドだったのが改善されてかなり聴きやすくなっていまして、ここは良かったと思います。ただ、曲によって今一つステレオ感が弱いようなミックスもあったんですが、ここまでは改善できなかったのは残念です。まあ贅沢ですが。

ただ、ヴィンス・ガラルディの代表作ともいえる「黒いオルフェ」では、旧盤CDなどでドラムとベースが曲によって左右入れ替わったりドロップアウトがあったりといった問題点がリマスター盤ですべて改善され劇的に聴きやすくなったといった例もありましたんで、多少は期待していました。

ともかく、今後このアルバムを購入する(日本の会社がCDをリリースする)場合は、こちらのヴァージョンにしていただきたいなと感じます。

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続いてDisc2の未発表音源です。曲順はオリジナル版ではなく未発表音源のものです。

Disc2は「ライナス・アンド・ルーシー」のスタジオ・テスト・ヴァージョンで幕を開けます。そうなんですよね。「ライナス・アンド・ルーシー」が初めて世に出たのはこのアルバムなんですよね。早めのテンポでサッとピアノで弾いていますが、粗削りながらもテーマ~ブリッジ~エンディングという曲の構成は既に確立されています。リー・メンデルソンはコレを聴いて「なぜか私の人生全体に影響を与えるような確信を持った」と思ったそうですが、70年代からピーナッツのTVスペシャルを観てきたワタシとしても、コレがピーナッツの代表曲だという刷り込みがない状態でも最も印象的な曲だと思いましたし、この曲には特別なマジックがありますね。

次いで2曲目に収録されているテイク3ではブラッシュアップされたトリオ演奏になっていますが、なぜかテストであったブリッジやエンディングが消えてしまっています。これは不思議ですね。逆だったらわかりますが。「とりあえずテーマ部分だけトリオで演奏してみようか」という感じで録ったんでしょうかね。

3曲目は「ハピネス・テーマ(Take4)」。完成版では「ハピネス・イズ」にタイトルが変わっています。このTake4はほぼ完成形ですが、ひょっとするとこっちの方が好きかもしれません。中間のソロもいい感じですし。エンディングについては完成版の方が考え抜かれている感じがしますが、こちらのように消え入るような終わり方をしているのも味があっていいですね。

4曲目は「ペブル・ビーチ(Take7)」で、7テイク目ですからもうほとんど完成されています。ブリッジのピアノ・ソロはこちらと完成版とどちらが好みかという違いしかないように思います。ほとんど差はありません。ただ、その後テーマに戻ってからエンディングに向っていくところの展開は基本的に同じ枠組みでありながら完成版の方が良いように思えます。テイク7の方がフェイドアウトしていないにも関わらずタイムが短いというところを見ても、完成版の方が明らかにノッてますね。

「ベースボール・テーマ」は5曲目(Take1)と8曲目(Take2)とで2ヴァージョン収録されています。テイク1はブリッジがほとんどない尺の短いヴァージョンで、ほぼ原型と言った感じでしょうか。テイク2は短いブリッジがあってやや長くなっていますが、まだ完成形には及んでいない感じがします。一応これもフェイドアウトなしで全曲聴けますので、ちゃんとクロージングまで聴けるというのは利点と思いますが。あと、リズムが微妙に違いますね。

「オー・グッド・グリーフ」も6曲目(Take1)と9曲目(Take1 Later session)とで2ヴァージョン収録されています。テイク1はテーマからソロに入ったと思ったらあっという間に終わります。テイク1ですし、これもほぼ原型なんでしょうな。レイターセッションの方は思わせぶり(?)なフレーズが続いた後1分30秒くらいしてようやくテーマが出てくるという構成です。これもフェイドアウトなしで全曲聴けます。って、フェイドアウト曲が多いですね、このアルバム。

11曲目は「ブルース・フォー・ピーナッツ」です。これは「ブルー・チャーリー・ブラウン」の原曲と思われます。「ブルー~」よりもキーが高くなっていますが、低い方がブルージーでいいと思って録り直したんでしょうな。因みにこの曲(テイク)は2009年のガラルディのベストアルバム "the definitive Vince Guaraldi" にも収録されていますので初登場ではありません(曲のラストに「ライナス・アンド・ルーシー」のフレーズがお遊びで入ってますが、そこも一緒です)。

で、「ブルー・チャーリー・ブラウン」の方はテイク1が13曲目に収録されています。完成版が7分27秒であるのに対し、こちらは5分27秒と2分短くなっていますが、完成版がラスト近くで速弾きになるのに対しこちらは前半から速弾きで攻めているところと、ソロの後にテーマに戻って所謂「Aトレイン」のエンディングで終わるというところが大きな違いです。これはこれでベタですがイイですね。こちらのテイクも捨てがたいです。

12曲は「チャーリー・ブラウン・テーマ(Take4)」ですが、何とキーが低いですね。ブリッジのソロも大筋は同じですが、テーマに戻る前にちょっと小休止のようなパートが挿入されているところと、これまた「Aトレイン」のエンディングで締めくくられるというところが違います。「Aトレイン」で終わった曲は全部ボツなんでしょうか??

14曲目は「フリーダ(Take1)」です。このテイクは2010年に60周年記念盤として発売されたCD「ピーナッツ・ポートレイツ」に "Alternate Version" として収録されていたものと同じで、初登場ではありません。これは完成版が4分38秒なのに対して6分10秒と長尺になっています。完成版は『テーマ~ブリッジ~テーマ~ブリッジ~テーマ』という構成で、最後のテーマ部分でフェイドアウトで終わるんですが、テイク1はその後にもう一回『ブリッジ~テーマ』があるんですね。長尺になっているのはそれが理由です。しかし、そこを除けば構成も同じですしソロも結構似ています。細部でどちらが好みなのかという話にもなりますが、甲乙付け難いというか大差ないというか…。難しいですね。

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長々書いてきましたが、今日はこの辺で。あと1曲「シュローダー」を残していますが、これはまた改めて。

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2025.05.06

ペイジ・ブラドック氏、スパーキー・アワードを受賞

シュルツ・ミュージアムのYouTubeチャンネルに"Paige Braddock: 2025 Sparky Award Recipient" という動画が上がっていましたので視聴してみました。

ワタシはまず、この"Sparky Award"なるものを認識していなかったんですが、公式サイトによると『シュルツの才能、革新性、そして人間性を体現した漫画家たちの多大な貢献を称えるもの』を表するとのことです。

それをペイジ・ブラドック氏が受賞となりますと一見手前味噌のような感じがしますが、これはカートゥーン・アート・ミュージアムとシュルツ・ミュージアムが共同でやっているもののようで、ブラドッグ氏もちゃんとクリエーターとしての実績があるからこその受賞なんですな。

初めて知りましたが、彼女はApple TV+の「君はだれ?チャーリー・ブラウン」でエミー賞を受賞していたんですね。

 

この動画は、チャールズ・M・シュルツ・クリエイティブ・アソシエイツのアレクシス・ファハルド氏との対談という形で彼女のキャリアを掘り下げています。

通して観て思ったのは、彼女はクリエーターとして中々のものを持っているということです。シュルツさんのクローンのような立ち位置というのは勿体ないのかもしれません。

感想は色々とありますが、来日してジーンさんと一緒に「世界一受けたい授業」に出演した時のことについて語っていたのが面白かったので、今日はそこだけ書きます。

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大体、以下のようなことを語っています。

日本のマーケティング・ディレクターから「ジーンさんといっしょにテレビに出ませんか?」と言われたが、ジーンさんはなんでも「イエス」と言ってしまうので2人して出演することになった。しかし、ここに落とし穴があった。
番組は有名人が出演していてクイズに答えたら景品がもらえるというというような内容だった。スタッフは製図台を置いて「絵を描いて正解者にあげてください」と言ったが、私は拒否した。それでも「台はどのくらいの高さがいい?」とか訊いてきてこちらの言い分を全然受け入れてくれない。最終的にインクで描くとすぐには乾かないので鉛筆で描くということになったが、私とジーンさんは見つめ合い「もう二度としない」と言った。

この対談はサンタローザのリサーチ・センターで行われていますが、カリフォルニア州という土地柄、大谷翔平の件が頭をよぎった人もいたんじゃないでしょうかね。何と厚かましい日本のテレビマン。恥ずかしいからやめてほしい。プロの作家を何だと思っているんでしょうか。出演していたのがシュルツさん本人だったとしても、同じことをしていたかもしれません。

因みに過去記事を調べてみますと、2018年5月19日に視聴した感想を書いていました。たった一行『あまりいい内容ではなかったなあ。先日のNHKが良かっただけに余計に思う…。』とだけ。『先日のNHK』というのは「アナザーストーリーズ」のことです。

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以下、蛇足です。

この動画でペイジ・ブラドック氏のクリエーターとしての側面に初めて触れましたので俄然興味が沸いていますが、それはそれとしてこれまでも書いていますがワタシはシュルツさんの代役としての彼女を全然評価していません。Kaboom!で出版されているグラフィックノヴェルについても、ヴィッキー・スコット氏の下書きはすごく良いのにブラドック氏がインクを入れると台無しになってしまうというのをメイキングで随分見ましたし、シュルツさんからペン先を引き継いで使っているんですから、もう少し何とかならんのかな~と、良く思っています。

正直、「世界一受けたい授業」で描いた絵も、これって欲しい?というような代物で、彼女が断ったのは即興で絵を描くことに自信が無かったからではないか?なんて邪推もしてしまうのです。

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2025.05.05

"Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown: Expanded Edition"のCD届く

4月11日発売のこのCDをようやく入手しました。

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ヴィンス・ガラルディがFantasyで録音したピーナッツのアルバムは「チャーリー・ブラウンのクリスマス」ばかりが評価され、こちらの1964年のアルバムは些か日陰者のような存在になっていました。全セッションを収録した5枚組CD/DVDが発売になっている「チャーリー・ブラウンのクリスマス」に比べれば、今回の2枚組という仕様もほんのささやかなものかもしれませんが、それでも発売されたということが大きいですね。

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「チャーリー・ブラウンのクリスマス」は同名のアニメーション番組のサントラですが、「A Boy Named Charlie Brown」は同名の未公開ドキュメンタリー番組のサントラです。

ワタシはこの「未公開」というところにずっと疑問符が付いていましたが、今回のデリック・バング氏のライナーによって真相を知ることができました。何と、番組を制作したものの、三大ネットワーク(NBC,CBS,ABC)すべてが興味を示さなかったというのです。前作"A Man Named Mays" が好評で、人気漫画家のシュルツさんのドキュメンタリーであるにも関わらず、です。リー・メンデルソンは30分の短縮ヴァージョンも作りましたが、それてもダメだったそうです(シュルツミュージアムで販売されたDVDはこの短縮バージョンで、フルサイズのものは残っていないようです)。

ヴィンス・ガラルディとFantasyは、「番組はお蔵入りしたけどレコードは作る」と発言し最後までやり遂げましたが、このようにして恐らく史上初であろう『放送されない番組のサントラ盤』という珍妙なレコードの誕生と相成った、とのことです。

確かに、アルバムのタイトルは"Jazz Impressions of A Boy Named Charlie Brown" となっており、サントラとは謳っていませんが、のちにジャケを差し替えて再発した際はしっかりと "The Original Sound Track Of The CBS Television Special" と書かれています(ここでCBS云々と書かれているのは1969年に"Charlie Brown and Charles Schulz" のタイトルで放送されたドキュメンタリーに一部が流用されたことに因るのかもしれません)。

Fantasy側は完成したアルバムに出来については評価していて、実際世間の評判も良かったようですが、テレビ放映による相乗効果が得られなかったことによる売り上げの消失は不満だったようです。まあそうでしょうな。

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ちょっと長くなりましたので、音楽の話はまた改めて。

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2025.05.04

"Oh, Good Grief!" のレコード/CDも再発!

ピーナッツ75周年。

アメリカでも当然盛り上がってますが、記念本の発売、ファンミの開催、サントラ盤の再発など、本来の在り方はこうでしょうって感じがします。対して日本でやっていることは精々グッズ販売程度でもう全然異次元のレベル違いですね。

4月に "A Boy Named Charlie Brown" の豪華版が発売になったばかりですが、今月30日にはガラルディの1968年のアルバム"Oh, Good Grief!" が再発売になります。

 

これはボーナストラックなど一切ないシンプルなものですが、CD/ブラック・ビニール/イエロー・ビニールの3種で発売されることになっており、コレクターはイエロー盤に飛びつくだろうな、と思われます。

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このアルバムはワーナー移籍第一弾としてリリースされたものですが、2018年以降はオムニヴォア・レコーディングスが権利を持っていて、同社からのリリースは2018年に次いで2度目(セットではない単独盤としては初)となります。

気になるのは、オムニヴォア・レコーディングスのサイトによるとマイケル・グレイヴス(この人もグラミー受賞者)のマスタリングということになっている点です。実は2018年盤もマイケル・グレイヴスのマスタリングなんですよね。果たして彼は2度目のリマスタリングを行ったのか?それともただの再発売なのか?。これがプレス・リリースだけでは読み取れないんですよね~。

こうなってきますと、購入の動機はデリック・バング氏の新しいライナーノート一点ということになってきます。2018年の時もかなり濃いライナーを書いていたんですが、それを超えてくることを期待してしまいますね。イエロー盤は23.98ドルですのでやはりCDになるかもですが…。

しかしこのレコード、過去一度も日本盤が発売になったことが無いんですよね。ピーナッツ関連売上の数割を日本だけで占めているという状況の中で、書籍や音盤やビデオなどストーリー性のあるものにはほとんどお金を払っていないというこの現状、いかがなものでしょうか?

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2025.05.03

COMING SOON (!!!)

リー・メンデルソン・フィルム・プロダクションズが12秒の新しい動画をアップしました。

タイトルは "COMING SOON" 。

 

古式ゆかしきプレスマシンでレコードを作る様子と、それに被されるガラルディのカウント。そしてその後に流れるベース・リフ…。

これは紛う事なき "You're A Good Sport, Charlie Brown" ではありませんか。

つまり、次に発売されるCDはコレだってことですね。素晴らしい。まだ発売日などは発表されていませんが、少なくともこの調子で1969年以降のサントラ盤は発売してほしいものです。

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2025.04.20

「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」の図録を読む③

さすがに今回で終わりにします…。

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これは図録のみで実際には展示されていないものだと思いますが、192ページに「眠りっ子、ペパーミント パティ」というコラムがあります。

ここでは彼女が居眠りをする理由として『シングルファーザーの父親が仕事から帰ってくるのを、毎晩遅い時間まで寝ないで待っているからなのです』と書かれています。

ワタシ的には、これは半分は合っていますが100%ではない、という風に思えます。

父親がいないために夜更かしをしているというのは間違いないと思いますが、それは必ずしも帰りを待っているわけではないと思います。心ある父親であれば、自分の帰りを待たずに早く寝てほしいと考えるでしょう。要するに彼女は父親が不在で干渉が無いのをいいことに奔放にしているだけじゃないんですかね。

父親は帰りが遅いだけでなく、出張で家を空けることもあるようです。ペパミント・パティは夜中の2時に電話を掛けたりすることもありますが、こういう日は恐らく父親が出張なんでしょう(さすがに在宅していたら注意するでしょう)。

そもそも、彼女は最初から居眠りキャラだったわけではありません。確か最初はスケート大会に出場するために早起きして練習をしているために昼になると眠くなる、というものだったと思います。しかしシュルツさんは居眠りネタが面白いと感じたんでしょうな。そこで定番化に際し父親の設定を絡めて夜更かしをしているということにしたんじゃないでしょうか。

ともかく、このネタでペパミント・パティを父親想いの優しい子みたいに評するのは微妙だな~と思うのであります(彼女が父親想いで彼を愛しているのは紛れもない事実ではありますが)。

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あともう一つ。チャプター3「宿題の時間です」で、1974年1月3日のストリップ(月刊SNOOPYで言うところの『アメリカ版オバQ』最終回)を取り上げていますが、これはコミックを読んでいないとさすがに意味不明でしょうな。注釈にあるようにこの時期はコホーテク彗星が地球に接近していたんですが、スヌーピーはこれをこの世の終わりと考えて布を被るという行動に出たわけです。

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何故布を被るのかスヌーピー本人も理解していなくてナンセンスですな。このエピソードのちょっと前にも『スノウリーグが設立されて雪ダルマ作りは大人の監視下に置かれることになり、子供は自由に雪ダルマが作れなくなる』というナンセンスなエピソードがありまして、これも面白かったですね。クライマックスのチャーリー・ブラウンの"自由への疾走"にはテンションが上がりましたし、その後訪れる虚しい幕切れには苦笑したもんです。当時はピーナッツを読み始めたばかりでしたので、中々に思い入れがあります。

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最後は企画展から脱線しましたな。特定のストリップを観てそれを読んでいた当時が思い出されるということは往々にしてあるわけでして、ワタシにとってピーナッツはある種の郷愁装置になっているのです。

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2025.04.17

「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」の図録を読む②

スヌーピーミュージアム企画展の原画のチョイスを誰が行っているのかが気になることがあります。日本側にはキュレーターがいませんので本家ミュージアム側が行っている可能性が高いと思いますが、何なら企画立案自体もアチラがやっている可能性も考えられます。

となりますと、今回の「スクールライフ」というテーマなのにダンス教室ネタがあったり、「ホリデー」なのに祝日ではないハロウィンなどがあったり、「旅」なのに旅ではない海水浴があったり…というのもアチラが決めていることになります。あまり考えたくはないですが、ちょっと雑に扱われていますね。

原画のチョイスにどれだけの自由度があるのか判りませんが、ちょっとこれは無いんじゃないの?というのはずっとありますね。

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今回の「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」のチャプター2「勉強はお好き?」の中で、『サリーと学校さん』のエピソードが二つ選ばれています。一つはまだサリーが学校に対して敵意を持っている時期のものですが、もう一つはチャーリー・ブラウンが校舎に話しかけているところをルーシーに見られ…という内容のもので、この二つだけですと全く話が繋がらず見る人が困惑するのではないでしょうか。つまり、一つ目ではサリーが校舎に話しかけているのに二つ目ではチャーリー・ブラウンが校舎に話しかけている事になっているからです。

これは展示を観に来る人が『サリーが病気で登校できなくなったときに校舎にそのことを伝えるように兄にお願いして、彼はバカバカしいと思いつつも校舎に話しかけ運悪くそれをルーシーに目撃されてしまう』という話の流れを知っていれば問題ありませんが、必ずしもそういう人ばかりではないですよね。更に言うと、初めは校舎に向って悪態をついていたサリーもそのうちに愛着を持つようになる。という感情の変化も解っていないと何故チャーリー・ブラウンが校舎に話しかける羽目になるのかも解らないという事にもなります。

もう一つ、所謂『金の星事件』のエピソードから一篇だけチョイスされていますが、これもスヌーピーがペパミント・パティに変装しているところだけですので果たしてどうなのかな?と感じます。まあ前後関係なく『スヌーピーが面白い、可愛い』で済ますことはできますので展示する側的にはイイのかもしれませんが。

それぞれ図録では118ページと260ページに補足解説がありますが、10ページの凡例によるとこれは図録のみの企画のようですので、展示だけを観て図録を買わない人にはちょっと厳しいんじゃないですかね。

展示作品については『画』を観ることに全振りしているので話の流れは二の次である―――という事でしたらまあ納得せざるを得ませんが、そうではないですよね。それでは企画展の意義自体が無いことになります。

この118ページの内容も、掲載されている二つのストリップの一つは先に書いたサリーの感情の変化を表したものなのでいいチョイスだと思いますが、もう一つはこの一連のストーリーが始まる3年前の『サリーが校舎を蹴る』というもので、実はこの頃からサリーと校舎には因縁があるんだよと言いたいんでしょうか…中々にマニアックですな。

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同じ趣旨のものがチャプター5「ジョー・クールのだらだらキャンパス・ライフ」にもありまして、ジョー・クール登場(1971年)より遥か昔である1959年の『スヌーピーがキャンパスの人気者になることを夢想する』というものを参考作品として紹介しています。これも中々にマニアックな掘り起こしであります。

ただし、この1959年のこれはあくまでも『犬』として人気者になりたいというものですから、のちのジョー・クールとは全く性質の異なるものです。ベンジャミン・L・クラークはこれをもって『「クール」なふりをさせたのはこれ(1971年のストリップ)がはじめてではありません』と書いていて、ジョー・クールの萌芽がこんな昔にあったんだと言いたかったんでしょうが、これは事実誤認と言ってもいいでしょうな。

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話をチャプター3に戻します。『金の星事件』については260ページから「13話連続ストーリー」と銘打って本エピソードの全ストリップを掲載しています。これはこれで大胆ですな。何故このエピソードに限って全話紹介する気になったのかはよくわかりません。ただ、「13話連続ストーリー」などと銘打たれますと13話も続いたすごいストーリーみたいですが、そのくらいの話数の連続物はザラですから、このタイトルも良くわかりませんね。

ともかく、これらを図録のみの企画とするのはとてももったいなく、作品理解のプラスになるものですから原画ではないにしろ展示しても良かったんじゃないですかね。

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しかし、チャプター5「ジョー・クールのだらだらキャンパス・ライフ」で、1971年9月12日のサンデー版の原画が展示されているというのは素晴らしいですね。このチョイスは賞賛に値すると思います。このストリップがジョー・クールのすべてを表しているといっても過言ではありません。例えジョー・クールがこの一作だけで消えていたとしても、ジョー・クールというキャラクターは歴史に残ったであろう―――それほどの完成度だとワタシは思います。

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何だかこの原画だけは生で観たい気がしてきました。

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2025.04.16

「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」の図録を読む①

スヌーピーミュージアムの新企画展「ピーナッツ・ギャングのスクールライフ」は3月8日にスタートしていましたが、図録の一般販売は3月31日からとなっていました。ワタシは今月上旬には図録を入手していましたが、ようやく読みました。

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今回も序文をはじめ解説は本家チャールズ・シュルツ・ミュージアムのキュレーターであるベンジャミン・L・クラークが手掛けています。

序文によりますと、シュルツさんは1961~2年にかけてPTAの副会長~会長を務め学校の運営を内部から知る機会も得ていたとのことです。ならば、実際にその経験が作品に活かされていたのかどうかは気になりますね。というわけで、「ピーナッツ全集」の6巻(1961-1962)をおさらいしてみました。

この頃の主な学校ネタは、
1.「ライナスの母親が息子のお弁当に手紙を入れる」
2.「ライナスの父親が月曜日の夜にPTAの会合に出席する」
3.「オスマー先生が給料をもらっていることを知ってライナスがショックを受ける」
4.「学校のクリスマス会の出し物について」
といった感じです。

1.はジョイスさん(当時の奥さん)がやっていたのか、そうでなければPTAで仕入れたネタをヒントにしたのかもしれませんね。
2.はPTAをやっていたからこそのネタのように思えます。
3.はこれもPTAで仕入れたネタのように思えます。
4.もPTAですかね…。

しかしまあ、何とも言えませんね。ありがちと言えばありがちなネタですし、所詮は一読者の推測でしかありません…。

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次のチャプター「学校へいこう!」の解説文では、『「ピーナッツ」の仲間たちは1950年に連載が始まるとすぐに学校に通い始めましたが…』との記述があり、ん?連載が始まってすぐ??そうだったかな~、となりました。

原文を見ますと、"immediately" という単語を使っています。これはもう「直ちに」とかそういうニュアンスになります。『連載始まってすぐ』のギャングたちは未就学児どころか幼稚園すら通っていないような印象も受けますので、ここはちょっと事実誤認では?という感じがします。この不正確さがベンジャミン・L・クラーク氏らしいですけどね。

このチャプターで紹介されている『バス停ネタ』は全て1990年以降のものです。晩年になってから定着した定番ネタになりますが、この頃の子供を見る目はもう父ではなく祖父ですよね。何故『バス停ネタ』が連載末期に増産されたのか?ここに迫れれば大したキュレーターだと思いますけど、そこのところは残念ですね。もうちょっと頑張ってほしいところですな。

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今日はここまでです。

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2025.04.13

ピーナッツ谷啓期吹き替え声優ご健在の件

このブログでは年末に一年の総括をしていますが、その時に必ず訃報を振り返ることになります。昭和のピーナッツ吹き替え声優の訃報は本当に毎年あって辛いものですが、今月はご健在のお二方のお姿を拝むことができました。

お一人は、4月4日に主演映画が公開された三代目サリー・ブラウン声優の松島トモ子さん。まあ映画自体は川崎実監督作品ということで期待はしていませんでしたが、氏の監督作品としてもかなりつまらない部類に入るんじゃないでしょうか。ワタシはくだらない映画は好きですが、つまらない映画というのはちょっと。「ヅラ刑事」はくだらなくて良かったんですがね。

唯一の救いは松島トモ子さんがしゃべっているシーンが一番良かったという点ではないでしょうか。

ただ、今後も映画に出演し続けていただかないと、この「サメ遊戯」が遺作になってしますので、頑張っていただきたいと感じております。

もうお一方は、初代ルーシー声優のうつみ宮土理さん。4月10日放送の「徹子の部屋」に出演されていました。愛川欽也氏が亡くなってからもう10年なんですね。あの頃はメディアを通じて相当辛い状態になっていると伝えられていましたから、このように元気に復帰されたのは喜ばしいことです。今はキンケロ・シアターの舞台にも立てれているとか。しかし、うつみさんの方が松島さんより年上だったんですね。キャリアは断然松島さんの方が長いですが。

番組では懐かしの愛川欽也氏出演時のVTRの少し流しましたが、失礼ながら氏の話す戦争についての下りの方がインパクトがありました。これは今の子ども食堂に通じるものがあります。政府は子ども食堂への支援を呼びかけるのではなく、子ども食堂が不要な社会の実現を考えてほしいですな。昔は無かったんですからね。

ともかく、こういった感じでご健在なお二方の姿を偶然にも短期間に拝見することになったのでした。

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2025.04.12

今年の年末に河出書房新社から出版される本は?候補は3冊

河出書房新社は「ピーナッツ全集」刊行を機にピーナッツ関連の書籍を毎年年末に発売するようになりました。大変ありがたく思っています。

今年も何らかの書籍が刊行されることを期待していますが、今年は75年目のアニヴァーサリーイヤーということもあり、アメリカでは記念本の刊行が相次いでいます。

元旦の記事8月に刊行される "Snoopy, the Story of My Life: The Myth, the Legend, the Beagle!" というハードカバー(アンドリュー・ファラゴ著)が有力候補ではないかと書きました。最近になって書影や中身見本などが公開されました。

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中々イイ感じではないでしょうか。

しかし、あれから4か月たっていますので、他にも刊行予定の情報が出てきました。

"The Essential Peanuts: The Greatest Comic Strip of All Time" というハードカバー(マーク・エヴァニアー監修)が10月に発売されます。連載開始日に合わせて10月に設定したと思われますが、チップ・キッドがデザインを手掛け、ストリップの他、ポストカード、版画、刺繍パッチ、ステッカーなど、ピーナッツ関連グッズを多数収録するとのことです。

著名人のコメントも多数収録するようですが、ワタシ的にはこれが一番楽しみです。気になるコメンテーターは、
ロブ・アームストロング(フランクリンのアームストロング姓の元ネタの漫画家)
ベン・フォールズ(「それは小さなことだけど」の主題歌の作詞作曲歌唱。かつてはヒット曲を出していました)
ベンジャミン・L・クラーク(本家ミュージアムのキュレーター。何を書くのやら)
チップ・キッド(ピーナッツ関連本を手掛けるデザイナー)
ジェフ・モロー(Apple TV+のピーナッツ・アニメの音楽を手掛ける作曲家)
谷川俊太郎(!…いつ頃のコメントでしょうか?)

期待はしたいですが、発売が10月ということもあり、年末までに翻訳は間に合わないでしょうな。来年の刊行になるでしょうか?

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今月22日には "Only What's Necessary 75th Anniversary Edition: Charles M. Schulz and the Art of Peanuts" という本も刊行されます。これは2015年に65周年記念として出版された本の75周年改訂版で、日本では2016年にディスクユニオンの出版部門であるDU BOOKSから「スヌーピーとチャールズ・M・シュルツの芸術 必要なものだけを」のタイトルで刊行されました。…あの時は嬉しかったですね。というのも、2010年の60周年の時も記念本の出版はあったんですが、日本の出版社はどこも動かなかったんですよね。そういう事があったので期待していない中でのまさかの出版でした。ディスクユニオンさんありがとう。

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これも編集・デザインがチップ・キッドなんですよね。3冊の記念本のうちの2冊を同一人物が手掛けているという状況ですね。

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総括しますと、"The Essential Peanuts" は発売日からして今年は難しそうで、"Only What's Necessary" は発売日が早いものの改訂版なので個人的には後回しにしてほしく、そうするとやはり"Snoopy, the Story of My Life" が有力なのかな、という気がします。

あとは値段ですね。どれもハードカバーですから結構な額になるんでしょうね。そこだけが心配です。

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2025.04.07

「鳥」展でウッドストックとコラボ

もう周知されていることですが、昨年国立科学博物館でやっていた「鳥 ~ゲノム解析で解き明かす新しい鳥類の系統~」展が、3月15日から名古屋市科学館で再開されています。

WEBの紹介文の中に「ハヤブサはタカよりもインコに近い仲間?」という記述がありますが、ワタシは「隼は猛禽類ではなく雀の仲間」と教わりましたので、ここはちょっと引っ掛かります(敢えて調べずに書いていますが違ってましたらすみません)。

それはそれとして、ウッドストックとのコラボです。国立科学博物館の時は「ピーナッツとコラボ予定」という情報はあったものの続報に触れられなかったのでスルーしていましたが、ちゃんとグッズ化されていたんですな。鳥繋がりですからピラミッド展のような強引さは無くていいんじゃないでしょうか。

で、展開されるグッズのメインの意匠はサンデー版の七面鳥風のウッドストックでした。

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このカットはかわいいですから結構人気で、海外でもTeeシャツなどにプリントしたものが売っていますね。元々感謝祭に関連したカットですから、所謂ピルグリムファーザーズ風の服装のスヌーピーを合成したものもあったりしますが、ここは日本ですからそういう事もなくヌケサク鳥たちをあしらったデザインになっています。

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ここから下は余計なことかもしれませんが…

DEIを推進している今日この頃、そろそろハリエットにリボンを付けるのは止めてもいいんじゃないですかね。リボンなんて典型的な女の子のアイコンじゃないですか。シュルツさんは元々ハリエットにリボンを付けていませんでしたし。

ミニー・マウスはどうなんだ、という話もあるかもしれませんが、あちらは最初からそういう意匠ですからね。最近のディズニーの動向を見ていますと、将来的にミニーのリボンもなくなる可能性はゼロではないと思いますが、どうでしょう。リトルマーメイドとか白雪姫とか色々やらかしてますが、さすがにミニーは聖域ですかね。

DEIを抜きにしても、女の子だからリボンを付ける、という発想自体が安易ですよね。これはベルについても言えますね。

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2025.04.06

ウッドストック・メドレーのPV

リー・メンデルソン・スタジオのYouTubeチャンネルに、「チャーリー・ブラウンのイースター」のサントラ盤のボーナス・トラックのPVがアップされていました。

 

パーソネルは、

デヴィッド・ベノワ(ピアノ、ローズ)

スワード・マッケイン(ベース、フルート)※「チャーリー・ブラウンのイースター」サントラのオリジナル・ベーシスト

マイク・クラーク(ドラム)※「チャーリー・ブラウンの感謝祭」サントラのオリジナル・ドラマー

となっていますが、何と「チャーリー・ブラウンのイースター」サントラのオリジナル・ドラマーであるエリオット・ジグムンドもWEBでコメントを寄せています。2021年現在ではありますがガラルディ以外はみんなお元気で、観ていて涙がチョチョギレます。PVのラストにはリー・メンデルソンも登場し、更にエ~ッ!となりましたが、流石にこれは編集でした(彼は2019年に亡くなっています)。

ベノワがジャズを志したのはガラルディの影響ですし(本人談)、伝説のガラルディの共演者とセッションできたというのは相当に嬉しかったでしょうね。グラミー賞アーティストであるベノワ本人もレジェンドと言えばレジェンドです。レジェンドがレジェンドを呼びレジェンドを演奏する。これは本当に素晴らしいPVです。

このPVは是非観てください。英語が苦手な人は字幕をOnにして。ガラルディの晩期である1975年までのピーナッツのTVスペシャルに思い入れのある人でしたら絶対に感じるものがあるはずです。

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2025.04.05

「チャーリー・ブラウンのイースター」のサントラCD届く

3月21日の発売から約10日を過ぎ、「チャーリー・ブラウンのイースター("It's The Easter Beagle, Charlie Brown")」のCDが到着しました。早速ライナーを読んでいこうと思います。

配信を聴いた感想は3月22日の記事に書きましたが、やはりライナーを読まなければ判らないことも多々あるものですな。

まず、タイトル曲とエンドテロップの曲が繋がって1曲になっていた件。ワタシはこれはオンエア時に切り離したのだと思いましたが、実はサントラ用に繋げて1曲にしたというのが正解でした。逆だったんですね。確かにこの方が美しさが増してよかったと思います。

ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章のアレンジは(3月22日の記事では書きませんでしたが)TVスペシャル本編で聴けるサウンドと印象が違っていたのが気になっていましたが、これはラテンジャズのグルーヴを取り入れていることを強調するためにサントラ用にベースとドラムを強調したミックスにしたのだそうです。なるほど~、確かにこれはこれでいいですね。

ベートーヴェンとバッハを使用した件について明確な理由は書かれていませんでしたが、ガラルディは熱狂的なクラシック・ファンだったそうです。これは知りませんでした。ドビュッシーなど印象派から影響を受けたジャズ・ピアニストは多々いますが、ガラルディもそうだったんですね。このサントラでもベートーヴェンのピアノ・ソナタ第3番を弾いていますが、クラシックのレッスンも受けていた人だったようです。

また、メインテーマにフルートを起用した理由についても書かれていませんでした。イースターバニー(イースタービーグルのルーツ)が定着したのが16~17世紀(諸説あり)と言われているのでその時代の雰囲気を出そうとしたのかもしれません。ガラルディ作曲のメインテーマとベートーヴェンの7番第2楽章(イースタービーグルのテーマ曲)の双方にフルートが用いられていることによって、音楽的に違和感がなくなっているという効果もあります。

3月22日の記事で、この作品用の録音が少ないことを指摘しましたが、1973年10月に「チャーリー・ブラウンの感謝祭」、1974年1月にチャーリー・ブラウンのイースター」、同年3月に「ミステリーだよチャーリー・ブラウン」と立て続けに録音しており、手際よく済まそうとしていたのからなのかもしれません。作曲もちゃんとはしておらず、例えば23秒の曲だったらアドリブで演奏してエンディングだけガラルディが決める、というような感じだったようです。

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デヴィッド・ベノワのボーナス・トラックについて。

このサントラのラストにはデヴィッド・ベノワのトリオによる「ウッドストック・メドレー」という7分の曲が収録されていて、それで何とかトータル29分になっています。この「ウッドストック・メドレー」について、ワタシはてっきり時間調整のために新録されたものだと思っていましたが、実は2021年に録音されていたものでした。

ライナーによるとこの年、ベノワはガラルディのテーマを取り入れたオーケストラ曲を手掛けていて、その合間にこの曲の録音をしたのだそうです。参加ミュージシャンは「チャーリー・ブラウンのイースター」のオリジナル・ベーシストのスワード・マッケインと、「チャーリー・ブラウンの感謝祭」のドラマーのマイク・クラーク(ハービー・ハンコックともやっていた人ですね)で、マッケインはフルートも演奏しています。更にレコーディング・スタジオも「チャーリー・ブラウンのイースター」と同じ場所だったそうです。この偶然的な拘りが違和感なくアルバムに収まった要因だったんでしょうな。

しかしガラルディは心臓発作で夭折してしまいましたが、こうやって一緒にセッションした人はまだ存命してるんですな。ジャズマンもドラッグとかで早死にした人も多いですが、長寿な人も多いですよね。つくづくガラルディは残念です。

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ガラルディとギターについて。

このサントラでもガラルディはギターをガンガンに弾いていますが、効果的にはもう完全にギタリストのそれですね。しかし、デリック・バングによるとこの年の春のライヴからはエレクトリックからアコースティックへ回帰していったそうです。スワード・マッケインによるとガラルディは飽きたということのようなんですが、TVスペシャルでは電気楽器を使用し続けていますし、"You're A Good Sport, Charlie Brown" というエレクトリック・ガラルディの最高峰も誕生しています。この辺のことは新たなサントラ盤が発売になった際に色々と判明してくるんでしょう。楽しみに待ちます。

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しかし、このライナーを読んで色々と気になることが増えてしまいました。

まず、デヴィッド・ベノワの2022年のガラルディのテーマを使ったオーケストラ曲ですね。ライヴをやったそうですが全然知りませんでした。

あと、2009年に "In Full Bloom: Peanuts at Easter" というドキュメンタリー番組が作られていたそうで、これらは調べないとイカンと思いました。

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2025.04.03

タウンショップ新宿店、4月25日オープン

タウンショップについて記事を書くのはかなり久々だと思います。昔は結構追いかけていたんですよ。坪数とかをリストにしてデータベースを作っていたこともありましたが、PCが壊れてそれっきりになってしまったり…あのデータ消失は自分的には痛かったです。

フェイスブックにニュースがあったんですが、今月だけで3店もオープンするんですね。

4月1日に「広島パルコ店が4月18日オープン」というニュースがあって、今日4月3日に「名古屋パルコ店が4月25日オープン」と「新宿店が4月25日オープン」というニュースが出ていたようです。で、新宿店が33店舗目で名古屋と広島がどちらも32店舗目なんだそうです…だってそう書いてあるんだもん。

タウンショップ関連の記事はずっとスルーしてきた、といいますか、全然引っ掛かってこなかったので知らなかったんですが、タウンショップというのは「しあわせは…あったかい子犬」がテーマなんだそうで、これは知りませんでした。うーん、いつからこうなっていたんでしょうか?

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それはそれとして、『おかいものスヌーピー』のサイトにも久々に行ってみたんですが、いつの間にか書籍の取り扱いを辞めていたんですね。

これまでも取扱商品一覧の一番最後に書籍があって、そんな扱いに憂いていたもんですが。いやあ、遂に極まったか、って感じですね。

まあ効率とか在庫リスクとか色々と考えたんでしょうな。書籍を買いたい人は書籍専門のサイトを使ってくださいという事なんでしょうし、恐らくほとんどの人がそうしていたんでしょう。売れていなかったんでしょうし、仕方が無いですかね。

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それでも敢えて書きますが、

原作著者についての紹介ページが無い公式サイト

原作書籍を取り扱わない公式通販サイト

本当にこんな事でいいんでしょうかね?

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2025.03.27

再考:ピーナッツ日本上陸〇〇周年の根拠とは?

2018年は「ピーナッツ日本上陸50周年」と言われ、いくつか催しがあったと記憶しています。2028年には60周年が祝われることが濃厚です。あと3年ありますが、3年しかないとも言えますので、今のうちに少し整理を始めるのもいいかと思います。

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当時の産経新聞に記事では、『ソニー・クリエイティブプロダクツ(東京都港区)によると、日本で初めてピーナッツのキャラクター商品が作られたのは昭和43年』と書かれていました。言い出しっぺはライセンシーであるソニーということなんでしょうが、1968年に何があったのかは明記されていません。

普通に考えますと、そのキャラクター商品が何であるのか写真付きで紹介されていそうなものですが、そういった具体的な話は一切なく、ただ1968年という数字だけがまかり通っているという感じでした。

何が1968年に登場したのか?。候補と考えられるのは主に3つです。鶴書房のピーナツブックスと、ファミリアのぬいぐるみと、サンリオのグッズ、といったところでしょう。

まずピーナツブックスですが、「全日本出版物総目録 昭和44年版」によりますと、『4月、12月 12冊 各240円』という記述とともに1巻から12巻までのタイトルが羅列されていますので、1969年4月に刊行開始されたと考えられます(他の書籍でも裏付けは取れていますが割愛します)。ということで、除外です。

ファミリアのぬいぐるみはどうでしょう。「実践・キャラクター戦略:イメージアップの商品学」(1975年刊)を見ますと、創業者である坂野淳子専務が『四十五年四月からスヌーピーのぬいぐるみを売り出したが』と取材に対して語っていますので、これも1970年ということで除外ですね。

最後にサンリオはどうでしょうか。「日本ライセンシング年鑑 1983~84」という本にサンリオがピーナッツのライセンシーになった時のことが書かれていますが、『サンリオ・グリーティングがホールマークの日本代理店として発足した昭和44年には』という記述があります。また、「実例・企業の競争戦略シリーズ 2」(1977年刊)のサンリオについての記述でも『四十四年、平凡社、日本クロスと資本金一億円のサンリオグリーティングを設立、アメリカのホールマークカード社のライセンシーをとる』となっており、サンリオが1968年にはピーナッツのグッズを発売していなかったことが裏付けられますので除外となります。

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では、1968年に発売されたキャラクター商品とは何だったのか?”日本で初めてピーナッツのライセンシーになったのはサンリオ”という通説を信じるのであれば、日本企業ではなく必然的に海外企業ということになります。

「実業の世界」(1976年刊)の『いま見直される「キャラクター戦略」』という章の中で『昭和四十八年頃から「ホールマーク」ブランドのグリーティング・カードの専用機が、百貨店や一般販売店々頭に登場したことは、ご記憶だろうか』と書かれています。ホールマーク社は日本市場を視野に入れて60年代後半からグリーティングカードの販売を始めていました。恐らくはこのホールマーク社の上陸というのが日本上陸のことではないか、と推測されます。

ホールマーク社の歴史についてはまだあまり資料を読み込めていませんので、ここは継続して調べようと思います。

因みに、日本にはそういうカード文化が無かったため売り上げ不振で一旦撤退し、のちにサンリオがライセンシーとなりますがサンリオはカードではなくキャラクターを使用した別商品を販売し、それがヒットにつながっっていった・・・という流れになっていきます(複数の本に書かれていたことを雑多にまとめるとこんな感じです)。

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改めて考えてみますと「日本上陸」の定義って何なんでしょうね。輸入品であってもそれが初めてであれば初上陸ということになるんでしょうか(確かに上陸という表現は合っていますが)。消費者庁にでも問い合わせれば指標を出してくれますでしょうか。

しかしそれを言ってしまいますと、1966年にリリースされたロイヤルガーズメンのレコード「SNOOPY VS. THE RED BARON」はどうなんだ、とか、同じく1966年に日本の出版社により刊行された「ピーナッツ福音書」はどうなんだ、とか、色々と異論が浮かんできてしまいます。

個人的には2028年になっても何の催しも行われず自然消滅して無かったことになるのが一番平和的解決策のようにも思えますがね。

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